トンボノート
No.758. コノシメトンボの観察.2020.10.12.

今日は朝から非常に良い天気.空は真っ青.こんな秋晴れの日にはもうトンボを見に行くしかありません.マイコアカネが終わったので,次はコノシメトンボです.コノシメトンボが大量にいるところは,私の知っている場所はもうなくなってしまいましたので,新天地へ行くしかありません.友人にいただいた情報をもとに,まったく行ったことのない池へ出かけてきました.

▲コノシメトンボの交尾.

現地に到着したのは10:00頃でしたが,たくさんのトンボがもう水面を舞っていました.よく見ると,ほとんどがネキトンボで,コノシメトンボが少しだけ混じっていました.この池には膨大な沈水植物が茂っています.それに向かってネキトンボが産卵をしているのでしょう.ここはネキトンボの大産地のようです.藻を食べる外来種が入らないことを祈るのみです.

▲池の中央部の開水面を飛び回って産卵するネキトンボ.

10:20ぐらいになると,コノシメトンボも目立つようになってきました.コノシメトンボはどちらかというと岸近くで産卵するペアが多いようです.そんななか,コノシメトンボではあまり見かけない交尾態を見つけました.産卵はもっぱらビデオで撮影します.1時間以上集中して撮影しますと,さすがに疲れてきました.





▲岸近くで産卵するコノシメトンボ
▲開水面を飛び回って産卵するコノシメトンボ.

家に帰ってビデオを編集していると,以前にも感じたことですが,コノシメトンボの打水行動には興味深い内容が含まれているように思えました.この池は水が澄んでいて,写真で見て分かるように,水中のようすが手に取るように分かります.水面で産卵するときには,魚に注意しなければなりません.ただこれだけ水面が澄んでいると,魚影は上から一目瞭然です.そんなところで産卵するときは,打水後あまり高く上昇しません.オスの頭の位置は打水前後で水面からほとんど変わらないのです.

しかし,草の生えた岸近くで打水するときは,打水後,オス・メスが平行にふわっと上昇します.マユタテアカネやミヤマアカネのようです.これはおそらく草むらに隠れているかも知れないカエルを警戒してのことでしょう.同じ岸近くでも,コンクリート護岸の場所では,見通しがよいせいか,ほとんどそういった上昇行動は見せません.おそらくオスは,捕食者の状況を判断しながら,メスの打水行動をリードしているのだと思います.この辺に注目してビデオを見ていただくとよいかと思います.

今日はコノシメトンボはおそらく20−30ペアが産卵に来たと思われます.ネキトンボも多いですがコノシメトンボもそれに負けないくらいたくさん生息している池です.谷の一番奥にある池は,薬剤が流れてこないためでしょうか.ビデオの冒頭にも紹介したように,無数のトンボが豊かに舞っていました.

さて,産卵の競演も11:45頃には終わり,池から潮が引くようにトンボの姿がなくなってしまいました.先ほどまでの喧噪が嘘のようです.そうそう,こんな10月12日に,ネキトンボが羽化していました.これは相当に遅い記録になりそうですね.

▲羽化して飛び立ったところを成熟オスに襲われ地面に落ちたネキトンボのメス

帰りにオオキトンボとオオアオイトトンボ(これは今年最後の課題のトンボです)の様子を見に行きました.気温が25度を超えており,そのせいか,アオイトトンボ以外はあまり活発な動きを見せてくれませんでした.

▲オオキトンボは1頭だけだった.
▲この池にはマイコアカネもいました.
▲他k巣案いたアオイトトンボ(ダニが着いている?).
▲オオアオイトトンボ.数は少なかった.この池で産卵は見られるだろうか?

ということで今日は終わりにしました.