続 トンボ歳時記
No.591. アオサナエの観察.2018.5.25. Part-1.

今日も,5月20日のミヤマカワトンボの時のように,ダブルヘッダーの予定を組みました.5月の,出現期間のあまり長くないトンボが集中的に出てくるこの時期,こんな快晴の日ですから,無駄に過ごす手はありません.午前中が観察適期のアオサナエの産卵,午後が観察適期のサラサヤンマの産卵,一日で両方の観察,果たしてうまく成功するか,皮算用だけはしっかりやって,とにかく出かけました.

アオサナエは割合朝早く産卵に来ることがあります.現地に入ったのは7:30くらいでした.空は晴れ渡り,一昨日の雨の影響もほとんど消えている川の水量.アオサナエを待ちました.7:41,オスが入ってきました.オスが来ればメスも来る,とにかく一安心です.

▲7:41,オスが入ってきた.私と同じ範囲を狙っているようだ.

▲その後次々とオスがやって来る.斑紋を見ると,異なるオスのようだ.

ところが,9:00になっても産卵にはやって来ません.私の観察地の周辺は数年前に浚渫が行われ,明るく開けた感じになってしまっています.そしてさらにその上流部がこの冬に浚渫されてしまいました.この影響が出ているか? と心配しました.と思ったとき,産卵メスが入ってきました.

▲9:02,産卵に入ってきた.腹端に卵がぶら下がっている.

▲私が近づいたらやや警戒したのか高度を上げた.卵がかなり高い位置から落ちている.

▲小さな卵塊が腹端に着いている.

▲顔をこちらに向けた写真は,これだけがなんとかピントが来た.

最近本当に乱視がひどくなったせいか,せっかくの産卵でしたが,ピントの甘い写真ばかりになってしまいました.かろうじて使えそうなのが以上の4枚です.

これでまずは一安心できました.あとはもっとやって来るのをひたすら待つのみ.オスたちは止まり場所を変えながら,ときどき水面上を猛スピードで飛んで,私と同じようにメスを待っています.上の写真を撮ったときも10mほど向こうにオスが止まっていたのですが,この距離では見つけられないんですね.「私の縄張り」に入ってきたオスは,水をかけて追い払います.いやはや,トンボのオスと「闘争」をしているのです.でもこうしておかないと,せっかく入ってきたメスを持って行かれてしまいます.

▲「私の縄張り」に止まったオス.お水をかけて退散してもらう.

ところが,後が続きません.10:30を過ぎたあたりから気温がグンと上昇したようで,アオサナエのオスたちも姿を消しました.アオハダトンボだけが,どういうわけか下流から上流の方へばかり飛んで移動しています.ダブルヘッダーなので11:30に止めることにしました.11:20,突然それまで姿を消していたオスが出てきました.

▲今までオスも姿を消していたのに,突然「私の縄張り」に入ってきた.

そして,本当にいつも嘘のような気がしますが,帰る直前,11:25に,メスが産卵にやって来ました.このメスもなかなか近寄らせてくれませんでしたが,ピンボケにならないよう,慎重にピントを合わせながら撮影しました.

▲11:25,産卵に入ってきた,太陽が高く真夏のお昼のような日差しである.

▲卵塊が水面に落ちた瞬間がとらえられている.卵が落ちると(白矢印)水紋ができるのだ.

▲卵塊を落としながらあちこち移動して産卵する.

▲水面のうねりは私が歩いたために生じたモノである.

▲例によって顔拡大写真.今年はこれがクセになりそうである.

まあ,今度はなんとかモノになりました.アオサナエはシーズン終盤の方が,産卵時の動きが少なく,撮影しやすいような気がします.いずれにしましても,これで本日の第一試合は終了です.午後に向かって食事を取りました.(Part-2.に続く)