新 トンボ歳時記
No.405. 芝生に産卵するナツアカネ.2012.10.21.

チャンスは逃がすな! の鉄則通り,今日の晴のチャンスを無駄にせず,連日兵庫北部へ.今日はオナガアカネなどの飛来種を探しに行くことにしました.結果は,全く見かけずというところで,失敗に終わりました.3ヶ所回りましたが,それぞれ秋のトンボがいましたので,それを紹介することにしましょう.

最初に行ったのは,休耕田が多い,湿田地帯です.ここはトンボマニアには有名なところです.上の写真のように,アキアカネ,ナツアカネ,マユタテアカネ,ヒメアカネなどがいました.アキアカネは交尾態があちこちで見られ,間もなく産卵開始時刻なのでしょうか... それから,シオカラトンボとオオシオカラトンボのオスがまだ飛んでいました.

オオアオイトトンボも,連結になったのがいましたが,これは,まだ産卵は少し時間が経ってからでしょうね.

次に別の場所に移動しました.ここではナツアカネの産卵に出会いました.今年はアカトンボを順番に追いかけていますので,実はここで今年まだ産卵活動を見ていないナツアカネをひそかに期待していました.

ナツアカネは交尾態で飛び回ります.ここには芝生が植えられているのですが,ここで交尾態で飛び回っているペアを見つけました.まさかと思いましたが,交尾を解いた後,芝生の上で産卵を始めてしまいました.ここには絶対と言っていいほど来年春に水は来ません.全く無駄な産卵です.打空産卵をするトンボは,時々こういった無駄な産卵を行っているのを見ます.

さて,さらに場所を移動しました.ここは有名な公園で,周辺の水田では農薬を使わず意識的に乾燥もさせないせいか,アカトンボ,特にナツアカネとアキアカネの数が非常に多かったのが印象的です.時代が20年ほどタイムスリップしたような風景が見られました.電線ではなかったですが,獣除け用の電気柵の電線に,アキアカネとナツアカネが鈴なりになって止まっていました.

これら水田生活者のトンボの個体数が明らかに他の場所とは違っていて,アカトンボの減少が農薬や乾田化のせいであるという印象を非常に強く持ちました.ここには,これ以外にもいくらかのアカトンボが見られました.写真はありませんが,オニヤンマもまだ飛んでいました.これは遅い記録ですね.

ということで,今日のタイトルは,無駄な産卵をしていたナツアカネ君に焦点を当てたものにしました.