新 トンボ歳時記
No.338. キトンボの生き残り調査 2012.1.9.

朝起きたときに曇っていた空は,8:30ころからあっという間に雲がなくなり,快晴状態になりました.予定通り,今日もキトンボの生き残り調査に出かけてきました.もし産卵が行われるなら今日が最後のチャンスではないかと思い,ちょっと気合いを入れて出発しました.

現地についたのは10:00過ぎ.空は雲一つない青空.風もなく本当に暖かく穏やかな天気です.池に入る道で地元の人に声をかけられトンボを見に行くといったら怪訝な顔をされました.まあそうでしょうね.今よく姿を見るのは鳥くらいかもしれません.早速池に入り一通り岸辺を歩いてみました.でもトンボの姿はなしでした.もう一往復してみると,早速キトンボが止まっているのを見つけました.石積み護岸の垂直に近い壁に止まって暖を取っています.前にも書きましたが,太陽光線が体に直角に当たるような角度の場所を選んで止まるようです.1頭見つかると次々に見つかるもので不思議です.

それぞれに暖を取るキトンボたち

いつものことですが,朝一番に出てきたときのキトンボはとても敏捷です.近づくこともままならず,すぐに飛び立ってしまいます.今日は暖かいせいか飛び方も秋のシーズンのようで,池の上に飛び出て,時々ホバリングまでしています.といってもやはり長時間の飛翔はせず,すぐに岸に戻って止まります.1頭のオスは,向こう岸まで一気に渡ってしまうような飛び方をしました.

今日,オスを少なくとも3頭は見つけました.でもよく飛ぶので正確な数が分かりません.そこで1枚1枚,見つけるたびに丹念に写真を撮っていき,個体識別をすることにしました.現場では3,4頭だろうと見ていましたが,家に帰って写真を詳細に検討した結果,全部で6頭写真に写っていました.つまり少なくとも6頭いたことになります.

オスの個体識別.

さて,12:00ころまで暖かい中待ちましたが,産卵に来る気配は全くありません.今日のような好条件で姿を現さないということは,もうメスは死に絶えてしまったという可能性が高いのではないでしょうか.この好条件ですので待てるだけ待とうと考えていましたが,12:00を過ぎたとき,一気に空に厚い雲が広がり,日射しが遮られました.雨すらぽつぽつ来る始末です.こうなっては気持ちが一気に萎えてしまいました.例によって逃げそびれたキトンボがいましたので,また手でタッチしてみました.

曇ってきて飛べなくなったキトンボが逃げたのは木の枝の中.

キトンボには簡単に触れることができ,やはり低温で動けなくなってしまったようです.軽く押さえつけるとさすがにいやがって無理に飛び立ちました.弱々しい飛行でしたが,木の枝の中に止まり,しばらく翅をふるわせてから静止しました.天気が悪くなると樹上で休むようです.いやひょっとしたら今回は驚いたからなのかもしれませんけど...

さて,いつまでキトンボが見られるか...

ということで今日の観察は終えることにしました.やはり1月の寒さの中での産卵などというものは,なかなか見られるものではありませんね.残念ですが次の週末まで観察に来ることができません.今日は6頭もいたので,生き残っていることが少しは期待できそうです.頑張って生きのびて楽しませてくれるといいのですけど...