兵庫県の幼虫ガイド
H092. ハッチョウトンボ Nannophya pygmaea
ハッチョウトンボ終齢幼虫
写真1.ハッチョウトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長8mm前後.1992.5.25.
<特ちょう>
 ハッチョウトンボは非常に小さな幼虫です.全長が8mmほどです.写真3は標本で少しちぢんでいて,6mmしかありません.体のはばも2−3mmというところです.こんな小さな終齢幼虫はほかにはいません.終齢幼虫であることさえ確かめれば,ハッチョウトンボでまちがいないでしょう.翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)は糸のように細いです.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.

ハッチョウトンボのそっきょくとはいきょく ハッチョウトンボの触角と背中のはん点
写真2.第8,9節に側棘があり,背棘はありません. 写真3.標本の全形図.左のめもりはものさし.全長6mm.


<さがす場所のヒント>
 ハッチョウトンボは湿地(しっち)の住人です.池でも岸の部分が湿地のようになっていれば,住みついていることがあります.幼虫は,湿地の泥(どろ)の中にもぐって生活しています.金魚をすくうような小さなあみで泥をすくってさがします.しかしあまりにも小さいので,見つけるのはとても難しいです.成虫のメスは,写真4のように,湿地の水面を腹の先でたたいて,卵を産みつけます.

ハッチョウトンボの産卵場所.
写真4.産卵しているメス.湿地の水面を,腹の先でたたいて産卵します.