兵庫県の幼虫ガイド
H021. ホソミイトトンボ Aciagrion migratum
ホソミイトトンボ終齢幼虫
写真1.ホソミイトトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長16mm前後.2019.6.25.
<特ちょう>
 ホソミイトトンボはイトトンボ型の幼虫です.とても小さい幼虫で,尾さいをふくめた全長が16mmほどしかありません.体は,表面がすべすべしていて,やわらかい感じです.尾さいには目立つような模様はありません.腹部の腹面を見ると,腹の節の後ろのへりのまん中に,黒い点が見られます.

ホソミイトトンボの腹面と尾さい アオモンイトトンボの腹面
写真2.ホソミイトトンボの腹の腹面の黒い点と尾さい 写真3.アオモンイトトンボには腹の腹面に黒い点がならばない.


<よく似た幼虫との区別>
 ホソミイトトンボは,アオモンイトトンボアジアイトトンボと似ています.ほとんど見分けることができないくらい似ていますが,ホソミイトトンボには,腹部の腹面に,黒い点がならぶことで区別できます.アオモンイトトンボアジアイトトンボには,この黒い点はありません.さらに,ホソミイトトンボは成虫で冬をこすトンボで,秋から次の年の春までは,幼虫がいません.ですから,この時期に採れた,似た幼虫は,アオモンイトトンボアジアイトトンボです.


<さがす場所のヒント>
 ホソミイトトンボは池の住人です.成虫で冬をこしていますので,春早く,池にうかんだ植物の茎(くき)や葉に卵を産みます.卵はすぐにかえって,幼虫は速く成長します.6月くらいには終齢幼虫になります.これが羽化した成虫は,夏に卵を産んで,もう一度幼虫が成長し,秋ころに終齢幼虫になって,羽化します.したがって,幼虫が採れる期間はとても限られています.

ホソミイトトンボの産卵場所.
写真4.植物がしげりはじめた春の池で,植物に産卵するホソミイトトンボのペア.