神戸のトンボたち
K017. オオイトトンボ Paracercion sieboldii
オスの静止.2006.9.2.,神戸市北区.
オスの静止.2006.9.2.,神戸市北区./神戸市RDB:
 アオモンイトトンボが西区を中心とした平野部に多いのに対して,オオイトトンボは北区を中心に見つかっています.ただ2010年代に入って一度本種を求めて北区の池沼を調査したことがありましたが,本種の姿は見られませんでした.かなり数が減っているように感じられます.写真の池は,放棄され,現在はなくなってしまいました.
 神戸市での観察・採集地をアオモンイトトンボと比較すると,ほとんどその生息地が重なりません.同じことは,確認例が少ないのですが,ムスジイトトンボとオオイトトンボについても言えそうです.オオイトトンボは,神戸市ではどちらかといえば内陸部〜山間部のため池や水田を好んで生息しているように感じられます.アオモンイトトンボ,ムスジイトトンボは海岸近くにむしろ多いという記述もあり(石田他,1988),このような傾向が神戸市でもはっきり出ているのかもしれません.
 交尾・産卵は日中に行われるようで,昼から午後にかけて産卵しているペアが見られます.潜水産卵といって,水にもぐって産卵する姿も見られるます,だいぶん古い話になりますが,NHKニュースワイド近畿で放映されたオオイトトンボの潜水産卵は,北区で撮影されたものです.
 一度だけ川に現われた産卵ペアを確認したことがありましたが,ほとんどの場合は池沼,水田で生活しています.