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 K016.セスジイトトンボ Paracercion hieroglyphicum 
 ▲オスの静止.2009.5.30.,神戸市西区.


各区の記録状況 (記録のなので実際の分布状況とは異なります)
北区 西区 垂水区 須磨区 長田区 兵庫区 中央区 灘区 東灘区
× × × × ×

 セスジイトトンボは川にも池にも生息している種ですが,神戸市において川などの流水環境よりもむしろ池などの止水環境に多くその姿が観察されます.過去の記録でも止水環境に多いようですが,私は流水環境にむしろ適応しているトンボであるように感じています.武庫川のとうとうとと流れる川面をすばしこく飛行する本種を見ていると,とくにそう思います.

 石田他(1988)によると流水生息環境としてかんがい用水路をあげており,浜田・井上(1985)では,植生の多い池沼に産するとあります.いずれも河川に生息するとは記述していません.これは,幼虫が河川では発見できていないためにそうなっているのかもしれません.

 私は北区の川で多数の本種幼虫を採集しています.ですから河川に生息するトンボといってもよいと考えています.本種は,河川の中下流に広がる,なだらかな氾濫原に広く生息しているトンボで,その地域の河川や池沼に入り込むのだと思います.ですから,急流しかない六甲山の表側の長田区から東灘区にはその姿が見られないのでしょう.

 本種の成虫は5〜6月頃に出現の第1のピークがあり,続いて9月〜10月にもう一度ピークが見られます.この後半の個体は少し小さいように感じます.7月下旬から8月の記録が意外と少ないです.おそらく年二化目の個体が存在するのでしょう.

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