前ページへ 目次へ 次ページへ

 K018.ムスジイトトンボ Paracercion melanotum 
 ▲メスの静止.2006.9.23.,神戸市西区./神戸市RDB:


各区の記録状況 (●:2005年以降の記録,○:2004年以前の記録,×:公表記録なし)
北区 西区 垂水区 須磨区 長田区 兵庫区 中央区 灘区 東灘区
× × × ×

 ムスジイトトンボは神戸市での記録が比較的少ないトンボです.松本(1982)は,神戸市周辺のトンボとしてムスジイトトンボをあげていますが,生息地は宝塚ファミリーランドとなっていて,本文中にも神戸市内の生息地については記述がありません.もともと南方系のトンボで,南方では普通種で,南大東島のようなところにもいますが,近畿地方では海岸に近い地域から発見される例が多いようです.

 私が神戸市の調査を始めたころは,西区の記録地はあまりにも個体数が少なく,垂水区がほとんど唯一の産地でした.しかしその後いろいろな方から報告が寄せられ,西区に多産地が見つかり,また東灘区にも多数が生息している場所があることが知られるようになりました.垂水区のビオトープにも訪れています.

 さて,本種の生息地のその後のようすですが,垂水区の産地では,1996年に調査したときに全く幼虫が見つからず,おそらく水質の悪化が原因と思われます.東灘区の産地は人工的環境で,土地利用が変わらない限り大丈夫と思えますが,個体数の変動が大きく,いつまでも居続けることができるかどうかは分かりません.現在のただ一つの多産地は西区にあります.

 神戸市では,本種のように海岸地域にある池を好む種が,河川中流にすむ種と同様,常に大きな開発の圧力を受けています.ただ,海岸地方の池沼に生息する種は移動性があるものが多く,本種も同様で,海岸近くのビオトープ池へは,どこからどのようにやってきたのか見当すらつきません.今後もあちこちを移動し,自分にあった生息地をさがしながら,生き続けていくのかもしれません.その移動力によって,仮に神戸市内で絶滅したとしても,また短期間で市外から進入してくる可能性が高い種です.

前ページへ 目次へ 次ページへ