<分類学的位置>
トンボ目 Order Odonata
カワトンボ科 Family Calopterygidae
カワトンボ属 Genus Mnais
<分布>
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日本特産種で,北海道・本州・四国・九州に分布する.紀伊半島や四国では中央構造線より南側には分布しない.神戸市内には橙色翅型の♂と淡橙色翅型の♀の組み合わせしかいない.兵庫県には,翅の色に基づく5型がすべて見られる.なお,一例だけ,翅に白濁斑の出ているメスが見つかった(生体写真一番下).
カワトンボ属は,少し前までは,一般的にニシカワトンボ,ヒガシカワトンボ,オオカワトンボの3分類群(研究者によって,1種で3亜種に分類,ニシオオカワトンボとオオカワトンボの2種とニシカワトンボの亜種としてヒガシカワトンボ1亜種など,研究者によってさまざま)に分けられていた.
しかし,最近のDNAを使った系統学的研究によって,若干の例外を除いて,ヒガシカワトンボとオオカワトンボが同一種,オオカワトンボ Mnais costalis としてまとめられた(Hayashi et.al., 2004).
さらにその後,日本蜻蛉学会の標準和名検討委員会においてこれらの和名が改められ,オオカワトンボをニホンカワトンボ,カワトンボをアサヒナカワトンボと称するようになった.したがって,分布境界域では一部例外があるが,おおざっぱに言って,以前のオオカワトンボとヒガシカワトンボがニホンカワトンボに,ニシカワトンボがアサヒナカワトンボに改称されたと考えればよい.一つ注意すべき分布境界域における例外として,房総半島に分布する通称シロバネカワトンボと呼ばれる翅が白濁した♂♀は,以前はヒガシカワトンボとして分類されていたが,二橋・林(2004)によって,カワトンボ(すなわちアサヒナカワトンボ)に帰属させられている.
ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの区別は思ったより難しい.橙色翅型の♂で前縁沿いに不透明な部分が広く広がる個体(写真一番上)はアサヒナカワトンボに類似のものがいないのでニホンカワトンボとしてよい.また,東北地方と北海道には,上記のうち橙色翅型♂と透明翅型♂と透明翅型♀の組み合わせで存在するが,アサヒナカワトンボが分布しないのですべてニホンカワトンボとしてよい.アサヒナカワトンボと混生するそれ以外の地域では形態的に区別するよりない.図鑑等ではいろいろな区別点が紹介されている(→カワトンボ科の区別点参照).
<生体写真>
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トンボ目 Order Odonata
カワトンボ科 Family Calopterygidae
カワトンボ属 Genus Mnais
<分布>
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日本特産種で,北海道・本州・四国・九州に分布する.紀伊半島や四国では中央構造線より南側には分布しない.神戸市内には橙色翅型の♂と淡橙色翅型の♀の組み合わせしかいない.兵庫県には,翅の色に基づく5型がすべて見られる.なお,一例だけ,翅に白濁斑の出ているメスが見つかった(生体写真一番下).
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淡橙色翅型♂.佐用郡.1993.5.27. / スケール:1.0cm. 100% on 150ppi.
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無色翅型♂.佐用郡.1993.5.27. / スケール:1.0cm. 100% on 150ppi.
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無色翅型♀.佐用郡.1993.5.27. / スケール:1.0cm. 100% on 150ppi.
<特記事項>カワトンボ属は,少し前までは,一般的にニシカワトンボ,ヒガシカワトンボ,オオカワトンボの3分類群(研究者によって,1種で3亜種に分類,ニシオオカワトンボとオオカワトンボの2種とニシカワトンボの亜種としてヒガシカワトンボ1亜種など,研究者によってさまざま)に分けられていた.
しかし,最近のDNAを使った系統学的研究によって,若干の例外を除いて,ヒガシカワトンボとオオカワトンボが同一種,オオカワトンボ Mnais costalis としてまとめられた(Hayashi et.al., 2004).
さらにその後,日本蜻蛉学会の標準和名検討委員会においてこれらの和名が改められ,オオカワトンボをニホンカワトンボ,カワトンボをアサヒナカワトンボと称するようになった.したがって,分布境界域では一部例外があるが,おおざっぱに言って,以前のオオカワトンボとヒガシカワトンボがニホンカワトンボに,ニシカワトンボがアサヒナカワトンボに改称されたと考えればよい.一つ注意すべき分布境界域における例外として,房総半島に分布する通称シロバネカワトンボと呼ばれる翅が白濁した♂♀は,以前はヒガシカワトンボとして分類されていたが,二橋・林(2004)によって,カワトンボ(すなわちアサヒナカワトンボ)に帰属させられている.
ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの区別は思ったより難しい.橙色翅型の♂で前縁沿いに不透明な部分が広く広がる個体(写真一番上)はアサヒナカワトンボに類似のものがいないのでニホンカワトンボとしてよい.また,東北地方と北海道には,上記のうち橙色翅型♂と透明翅型♂と透明翅型♀の組み合わせで存在するが,アサヒナカワトンボが分布しないのですべてニホンカワトンボとしてよい.アサヒナカワトンボと混生するそれ以外の地域では形態的に区別するよりない.図鑑等ではいろいろな区別点が紹介されている(→カワトンボ科の区別点参照).
Hayashi, F., S., Dobata and R., Futahashi, 2004. Macro- and microscale distribution patterns of two closely related Japanese Mnais species inferred from nuclear ribosomal DNA, ITS sequences and morphology (Zygoptera: Calopterygidae). Odonatologica 33(4): 399-412.
二橋亮・林文男,2004.房総半島(千葉県)におけるオオカワトンボとカワトンボの分布様式.Tombo 47(1/4): 41-46.
<生体写真>
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