デジタルトンボ図鑑
クロイワカワトンボ
  Psolodesmus kuroiwae Matsumura et Oguma in Oguma, 1913
クロイワカワトンボ
♂.沖縄県.1992.5.10.(左),♀,沖縄県.1992.5.11.(右)./ スケール:1.0cm. 100% on 150ppi.
<分類学的位置>
 トンボ目 Order Odonata
 カワトンボ科 Family Calopterygidae
 キヌバカワトンボ属 Genus Psolodesmus

<分布>
 日本特産種であり,石垣島と西表島に分布する.

<特記事項>
 光線の加減で翅がパール色に輝いて見えることがある.翅の先端には褐色の部分があり,その他は全体に透き通っている.♂♀ともに偽縁紋がある.この地域に分布するカワトンボでは他に類似種はいない.

 2018年6月現在,国内で出版されている図鑑類では,本種は,種 Psolodesmus mandarinus の八重山諸島亜種 Psolodesmus mandarinus kuroiwae とされている(例えば,井上・谷,2017; 尾園他,2007; 尾園他,2012など).しかし,Lin et. al.,(2014) の,ミトコンドリア及び核の DNA を使った Psolodesmus 属の再検討によって,種 Psolodesmus kuroiwae に昇格した.

 ところで,種 Psolodesmus mandarinus は,McLachlan によって,新属・新種として1870年に,アモイ(現 Xiamen 中国) から得られた標本をもとに記載された.このことから,Psolodesmus mandarinus は,台湾のほか,中国にも分布しているという記述が図鑑類等に記載されてきた(例えば,津田,2000; 尾園他,2012など).しかし,Hämäläinen (2004)は,「Psolodesmus mandarinus McLachlan, 1870 の,アモイでの古い記録は疑わしい」と記述しており,さらにまた,Lin et. al.,(2014) は,その後中国本土から Psolodesmus mandarinus の記録がないことや,Hämäläinen (2004) の「このタイプ標本はおそらく台湾で採集されたものがアモイからヨーロッパへ送られたものである」という記述を引用して,これらの種・亜種は台湾の固有のものであるとしている.
M. Hämäläinen, 2004. Caloptera damselflies from Fujian (China), with description of a new species and taxonomic notes (Zygoptera: Calopterygoidea). Odonatologica 33(4):371-398.
Sue-cheng Lin, Young-fa Chen, Sen-her Shieh & Ping-shih Yang, 2014. A revision of the status of Psolodesmus mandarinus Basec on molecular and morphological evidence (Odonata: Calopterygidae). Odonatologica 43(1/2):51-66.
井上清・谷幸三,2017.新装改訂版 トンボのすべて.トンボ出版,大阪.