No. 831. コサナエとホンサナエと.2022.5.6.

今日は一日遅れのアップです.

コサナエ属の3種の産卵行動を観察できました.ここまで来ると,仕事は完璧にしないと...などと勝手な理屈をつけて,兵庫北部へコサナエの産卵を観察に出かけました.この時期ホンサナエが活動していることもあって,どちらかといえば,こちらが本命です.今日は,コサナエのいる池にヨツボシトンボがたくさん集まっていて,例年2,3頭ぐらいしか見ないのに,20-30頭はいたように思います.こちらを見ている方が楽しかったというのが本音です.

コサナエは,到着後ほどなく産卵に訪れ,いわば簡単にミッション・コンプリートという感じになりました.こうなると気が楽です.


▲メスがよく産卵に入る場所にはきっちりとコサナエのオスが止まっていた.▲

産卵ポイントにはオスがきっちりと止まっていましたが,写真を撮った後,驚かせて,ここから退場してもらいました.


▲9:43に産卵に入ってきたコサナエのメス.▲

オスを追い払ったおかげで,この場所に入ったメスは落ち着いて産卵を続けてくれました.コサナエも,時によっては,非常に激しい動きで産卵をするのですが,このコサナエは落ち着いて産卵をしていました.


▲向きをいろいろと変えて産卵を続けるコサナエのメス.▲

2枚目の産卵写真,腹部を振った瞬間ですが,やはり卵は写りません.先に撮影したタベサナエやオグマサナエの卵が写った写真は,例外的なものなのです.その後,ヨツボシトンボを見ているときに,足下で別のコサナエが産卵していました.ただ発見が遅かったせいか,すぐに産卵を終え飛び去ってしまいました.


▲足下で産卵をしていたコサナエ.▲


▲コサナエのオスは,さらにメスを待ち続けているが,私はヨツボシに...▲

コサナエを待っているときに,クロスジギンヤンマのメスが産卵に入りました.今日は池がにぎやかです.


▲クロスジギンヤンマのメス.のんきに産卵しているが...▲

ここに着いたときから,クロスジギンヤンマのオスが飛び回っていました.メスはほとんど「無防備」に(そんな感じに見えた)産卵を続けていますが,これはオスに見つかるのではないかな,と思っていましたら,案の定その通りになりました.ただ,メスが頑強に抵抗したためか,オスは諦めて飛び去りました.


▲オスがメスにタンデムになろうと挑みかかったが,メスの抵抗にあい諦めた.▲

このあと,ヨツボシトンボの観察中に,もう1頭メスが入りました.このメス,上のメスと同じ個体かどうかは分かりませんが,オスが現れたら敏感に反応し,すぐに飛び去ってしまいました.


▲岸から垂れ下がっている草に産卵しているとき,にらめっこ状態になった.▲

さて,合間ができると,飛び回っているヨツボシトンボに気をとられ,ついついそちらに行ってしまうようになりました.今年ヨツボシトンボを探しに行かねばならないかと思っていたので,これは収穫です.メスも次々と産卵に入り,そのメスを2,3頭のオスが追いかけ回し取り合いをする,といった,数が減った最近ではなかなか見られない光景を楽しむことができました.


▲この池にはヨシは全く生えていない.そこで,岸から垂れている草に止まる.▲

ヨツボシトンボは,止まっているより飛んでいる方が本来の姿です.特に午前の早い時間帯には,飛び回って活動しています.オスは飛んでいる最中しょっちゅうホバリングします.しかしそれは1秒程度で,カメラを向けてピントを合わすのには微妙に短い時間なのです.もちろん移動しているときはものすごい速さで,ファインダーに収めることすら難しい状態になります.それでも頑張ってトライしてみたら,何枚も没になった中で,2枚だけピントが来ていました.


▲飛び回るヨツボシトンボのオス.▲

オスに比べると,メスの産卵は,狭い範囲で打水を続けるので撮影はかなり楽です.たくさん産卵していた中で,2頭分だけ撮影をしました.


▲岸近くの藻が生えているあたりで打水産卵する.▲


▲動き回って産卵を続けるメスたち.▲

こうやって産卵をしている間にも,オスがこのメスを見つけて,しつこく追いかけ回します.そのたびにメスは産卵を中断して逃げ回ります.時には,オスにつかまって交尾に至ることがあります.交尾は十数秒で終わります.今日は交尾の写真は撮れるチャンスに恵まれませんでした.まあそんなですから,メスはときどき嫌気がさして,池の堤上の草に止まって,休憩というか,オスをやり過ごします.


▲ヨツボシトンボのメス.腹部は幅広くずんぐりした体型である.▲

こんなヨツボシトンボたちの喧噪も,11:00ごろには落ち着いてきました.メスが入らなくなり,飛んでいたオスも止まるようになりました.日も高くなり,結構気温が上がってきました.ほかのトンボはいないかと水面を見回しましたら,ホソミオツネントンボ,オオイトトンボが飛んでいました.オオイトトンボは数が減った気がします.

さて,ここはこれぐらいにして,今年テーマにしている,とある造成湿地のトンボ調査に向かうことにしました.歩いていると,ムカシヤンマが止まっていました.写真を撮ろうと近づくと飛んで逃げました.飛んだあたりに行ってみましたが姿がありません.仕方がないので,さらに歩き進めていると,なんと,このムカシヤンマ,私に左腕の裏側に止まっていたのです.カメラを向けてシャッターを切ってみましたが,うまく写りません.そこで,カメラを置いて,セルフタイマーで撮ってみました.うまくいきました.


▲私の左腕の裏側に止まってムカシヤンマ.セルフタイマーで撮影.▲

もっと撮ろうとしていたとき,そばを小さな虫が飛びました.これに反応してムカシヤンマが飛び立ち,すぐ向こうの木の柵に止まりました.


▲捕食中のムカシヤンマのオス.▲

さて,湿地調査の方はあまりたいした成果もなく,シオカラトンボが産卵しているぐらいでした.


▲シオカラトンボの警護産卵.▲

お昼過ぎになりました.本命のホンサナエは夕方なのですが,実は朝一番に立ち寄って様子を見たのです.しかしこのとき,1頭だけそれらしいのが飛んだだけで,成虫を全く見なかったのです.そういう状況だったので,ひとまず夕方の観察をするかどうか決めるために,ホンサナエたちが集まっていいるかどうかだけを,産卵ポイントへ確かめに行くことにしました.


▲いました,いました.いつものコンクリート岩壁に上に止まっていました.▲

いつも必ずと言っていいほど止まっているコンクリートの岩壁の上に,2頭のホンサナエのオスが止まっていました.今年も集まっていたようです.ホンサナエというのは,ある年突然姿を消すということがあるので,ちょっと不安になっていましたが,いて,安心しました.そこで,川に入り,もうちょっと探してみました.


▲ホンサナエたちは,夏のような日差しにも負けず,飛んだり止まったりしていた.▲

写真に時刻を付けたのは,実はこの後,長い観察になったからです.まあ,いずれにしても去年並み(去年は少なかった)にいたので,夕方の産卵観察を決行することにしました.

この後,木陰に車を止めていねむり.身体がほてってきたのでソフトクリームを食べて冷やしたりと,休憩時間をとりました.そして16:30,いよいよ観察開始です.水量が少し多かったためウェーダーをはいて川に入り,完全装備で臨みました.


▲16:30から17:00過ぎまでの間,西日を受けながらオスたちは活動していた.▲

この時点で,オスを5頭確認しました.去年より多い感じです.去年の観察では,だいたい17:20ごろにはオスがいなくなって,メスの卵塊づくりが見られました.そろそろと期待感も膨らみます.しかし,今年はオスに全く去る気配がありません.むしろもっと数が増えたように思えます.そして止まるより水面を飛翔することが多くなりました.


▲日陰を飛ぶと,もう暗い感じの写真になってしまう.▲


▲日がだいぶん西に傾き,光にあかね色が差してきたが,まだ飛んでいる.▲

18:00になっても,全然オスたちが山へ帰る気配がありません.それよりもっと飛翔が活発になって,オス同士の追いかけ合いも激しさを増しています.この追いかけ合いは,なわばり活動ではなく,飛んでいるトンボがメスかどうかを確かめに近寄っているように見えます.これだけオスがいたら,メスが来てもゆっくりと卵塊などつくっていられないだろうなと思うぐらいの状態です.

これは日が沈むまではムリかと思いました.やがて,太陽が山の稜線に隠れ,この場所における日没になりました.しかし,オスたちの飛翔はまったく緩む気配がありません.一種の黄昏飛翔です.川面をビュンビュン飛ぶホンサナエのオスたちの群れ,こういうのは初めて見るので,ある意味卵塊づくりの観察より興奮を覚えました.日が沈むと,川は薄暗くなりはじめ,トンボも,下の写真のように,影だけが見えるという状態になりました.


▲ストロボを使わず,その場の雰囲気を表現するように撮影したもの.▲


▲ストロボを使うとこんな感じである.▲

18:20,川下の方から,水面ギリギリを一直線で飛ぶトンボと,それを追って,2,3頭のオスが追跡するシーンが展開されました.メスが入ったのですね.メスの飛び方はオスのように上下動がなく,ホバリングもなく,こういうオスが集まっている場所では一直線に飛ぶのが特徴です.こんなに暗くなってから来るか...


▲もう一度ストロブボ使用(上)となし(下)の比較.もう影だけを追って撮影.▲

その後,1頭のメスをお持ち帰りしたオスを目撃しました.このメスには,私は全く気づきませんでした.空はまだ明るいのですが,川面は薄暗く,もうトンボは水面に反射する空の明るさのなかの影でしか確認できなくなりました.ほとんどのトンボが,腹部を持ち上げて頭を下にした格好でホバリングするように飛んでいるのですが,一方いつまでたっても飛ばず,ひたすら止まってメスを待っている,サボりというかグウタラというか,そんなオスもいます.トンボにも個性があって面白い.

▲このオス,ずっとコンクリートの岩壁に止まって,メスを待っている.▲

メスはその後も1頭入りましたが,オスに追われて出て行ったようです.しかしさすがに18:30近くになると,知らぬ間にオスの数が減っていました.上のサボリなオスもいつの間にやらいなくなりました.


▲最後まで飛んでいた(と思われる)オス.▲

18:41に,別の場所に止まっていた最後のオスが飛び去り,とうとう,というかやっとオスがいなくなりました.過去3回ほど観察に来ていますが,こんなに遅くまでオスが飛んでいたのは初めて見ました.さて,ホンサナエのオスに負けじと,私はもう少し粘ることにしました.オスのいないこの状態を待っていたのですから.

その後3回,メスが足下を飛びました.まだメスは飛んでいるんですね.ただ,通過しただけで,卵塊形成には至りませんでした.いやひょっとしたら,どこかに止まっていたかもしれませんが,もう見えません.ということで,18:55,観察を終えることにしました.


▲すっかり夕方の雰囲気になっている.日が沈んだ山の稜線.▲

今日は朝から大変長い観察になりました.ホンサナエだけでも2時間半,川の中に立ちっぱなし,でも,時間を忘れるぐらい興奮して,アドレナリンが出っぱなしの状態.疲れは感じませんでしたが,明日ぐらいに堪えるだろうなぁ.自宅到着は22:00前でした.

まだまだトンボには不思議がいっぱいです.未経験な知らないことばかり.これなので,トンボ観察はやめられないのです.

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No. 830. 意地でもオグマサナエ.2022.5.5.

昨日はオグマサナエだけ産卵行動を観察することができませんでした.そこで,今日もまた晴れたので(今年のゴールデンウィークは連日晴れ!),ちょっと足を伸ばして県境を越え,オグマサナエの産卵を「意地になって」見に行くことにしました.

現地に着いたのが9:20ごろ.ちょっと遅かったような気がしました.でもまだ朝起きられないのです.池は静まりかえった状態で,5,6頭のオグマサナエのオスが飛んだり止まったりしているだけでした.去年はもっと多かったのですが,今年は少ない年なのかもしれません.個体数変動というものはあるものですから...


▲オスが日向に止まっているだけで,池は静かです.オグマサナエのオス.▲


▲オスはときどきホバリングを交えて飛ぶ.▲

私は岸辺の状況が産卵に適していると思われる日陰の場所で待っているので,日向の喧噪は感じられず,本当にトンボに動きがないような,ちょっといやな雰囲気でした.それでも日が高くなって暖かい空気が流れ,私の立っているところにも木漏れ日が差すようになってくると,オスがふわっと訪れてすぐに去って行くというような行動が見られるようになってきました.


▲ときどき足下に止まりに来るオスたち.皆,池の方を向いて止まる.▲

そんな中に1頭だけタベサナエが混じっていました.ここはほとんどオグマサナエばかりですが,昨年もメスが1頭だけ産卵にやってきました.少数混じっているようです.


▲タベサナエが,同じようにやってきて止まったが,すぐに飛び去った.▲

時間だけがどんどん過ぎていきますが,全く産卵に来る気配がありません.快晴の状態でもこんな感じの日がときどきあるんです.時刻は12時になろうとしています.やはり来るのが遅かったのでしょうか.諦めようかという気持ちがちょっとよぎりました.しかし,帰っても別にやることはないし,足がまだだるいので歩きたくもないし,結局ここでオスたちと待ちぼうけ覚悟を決めました.


▲退屈そうにメスを待っているこのオスは他のオスを捕まえタンデムになった.▲

12:01,メスが入ってきました.私のいつもの観察地では,こんな時刻にオグマサナエの産卵に出会ったことはありません.さっそくカメラを構えて接近,なのですが,ここのオグマサナエはオスもメスも非常に敏感に動くものに反応し,すぐに逃げてしまうことを思い出しました.まずは記録することを重視して,少し遠くから撮影しました.


▲やっとオグマサナエの産卵を見ることができた.▲


▲1回だけ,足下に飛んできたが,ストロボを炊くとすぐに距離をとった.▲

オグマサナエの産卵は,フタスジサナエやタベサナエに比べると,動きが素早いように思えます.ときどきはじっとホバリングしますが,たいがい体をひねっては卵をぶちまけるといった,なかなか豪快な産卵をしています.ただ写真に撮るのは難しくなります.


▲まず体を垂直な岸壁の反対側にひねってから....▲


▲次に体を垂直な岸壁の方にねじって卵を飛ばす.▲


▲もう一度,体を岸とは反対側にねじって....▲


▲今度は岸の方にひねって放卵する.▲


▲ときどきは普通の姿勢でホバリングする.▲

とにかくよく動くので,ほとんどがアウトフォーカスになってしまいました.日陰で暗いこともありますし...でもこれで元気が出ました.2時間半以上待った甲斐がありました.でも経験的に産卵時刻は集中するので,1頭のメスが産卵したくなったということは,産卵意欲のある他のメスも同じように反応するはずです.今度は,必ずまだ来るという確信に燃えて,次を待ちました.

やってきました,12:53です.ここは去年も14:00ごろに産卵に来ましたから,やはり所変われば品変わるですね.まずは産卵の動き,4枚連続写真から.

▲2頭目の産卵メス.3枚目の写真には飛び散る卵がきれいに写っている.▲

昨日タベサナエの卵が放出される瞬間をとらえた写真が撮れましたが,今日もまた,オグマサナエの卵が飛び散っているところが撮れました.これはあえて少し遠くから撮影したことがよかったようです.一粒ずつバラバラに飛び散っているようすがはっきりと写っています.しかも背景が暗いのではっきりと分かります.また,それまで腹部第10節を下の方に折り曲げるようにして飛んでいましたが,放卵の瞬間は,腹部第10節(と尾毛)がピンとまっすぐ伸びているのが分かります.

逃げるといやなので遠くから撮っていましたが,大分撮れたので,どんどん近づくことにしました.すると,オグマサナエのメスも,こっちにやってきました.波長が合ったみたいです.


▲日陰で産卵しているので夜のような写真になってしまった.▲


▲少し高く飛ぶと,明るい水面が背景になって,なんとか昼の写真となった.▲

写真に撮って分かりますが,本当にじっとしていなくて,体をひねりまくっていることが分かります.

まあ,これでなんとかコサナエ属3種の産卵活動を観察することができました.オグマサナエの産卵行動は,やはりフラスジサナエやタベサナエとは少し違う感じがします.ダイナミックで力強い産卵です.ということで,今日は終わりです.めでたしめでたし.

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No. 829. コサナエ属の活動と.2022.5.4.

今年の連休はよく晴れる日が続きます.晴れるとこの時期見たいトンボが立て込んでいるので,ついつい連日出かけてしまいます.昨日の疲れが出ていて体がだるいのですが,座って観察できる対象ということで,コサナエ属の産卵を見に行くことにしました.うまく3種とも見ることができればいいのですが...

まずはフタスジサナエねらいです.8:20に現地に入りました.本当はもう少し早いほうがいいのですが,朝起きることができませんでした.オスたちは程なく出てきました.このオスが出てくる前がいいのですけど.遅かったようです.


▲8:30ぐらいにはオスたちが続々と出勤してきた.フタスジサナエ.▲

しかしメスは2回入ってきました.1回目はすぐオスに見つかり,持って行かれました.やはりオスはあっちへ行ってもらおうと,枯れ枝でそこらをガサガサやって,追い払いました.その甲斐あってか,2回目の産卵はゆっくりと記録できました.ただこれも最終的には持って行かれました.


▲岸辺の草の上に産卵に入ってきたメス.フタスジサナエ.▲


▲少しずつ移動しながら産卵を続けるフタスジサナエのメス.▲

この2回目の産卵の前に,日陰の岸辺に産卵に入ったメスがいました.タベサナエです.こちらの岸辺は,急勾配の土手になっていて,そこに向かって産卵をしていました.


▲春の花のつぼみが見える草の茂みに向かって産卵をするタベサナエのメス.▲

タベサナエの産卵では,珍しく,卵が放出される瞬間が移っていました.これはコサナエ属ではなかなか写らない代物です.コサナエ属の卵は腹部を振った瞬間にバラバラになって四方へ飛び散るので,なかなかカメラに写らないのです.


▲コサナエ属トンボと放出された卵がこれほどはっきりと写ることは非常に珍しい.▲

さて,2種類の産卵を観察することができたので,次はオグマサナエです.この産卵とは本当に出会いが難しいのです.別に危険はありませんが「虎穴に入らずんば虎児を得ず」的な感じで次の池に出かけました.しかしやはりダメでした.オスは結構いるのですけどね.まあなんとかここで撮りたいので,後日また挑戦です.フタスジサナエは産卵に来ました.


▲オグマサナエのオスは,池の一方側に集中している感じである.▲

オグマサナエを待っている間に,トラフトンボの交尾態が飛びました.産卵ポイントを探しているようです.しばらく飛んでやっとオスがメスを放しました.急いでその付近に行きましたが,メスの姿はありませんでした.卵塊作りは高い木の上でやっているのでしょうね.それならば,降りてきて卵を産み落とす瞬間をねらうしかありません.


▲ぐるぐる周回して卵を産下した.打水の瞬間は没.▲

あとクロスジギンヤンマが産卵に来て,オスも少しの間飛んでいました.11時を過ぎてトンボの動きが鈍くなりましたので,疲れもあるので今日はここまでとしました.

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No.828. 続 ベッコウトンボを見に行った.2022.5.3.

今日はベッコウトンボの観察その2です.今日の観察場所は,掲示板に投稿してくださっている meme9090 さんが,ときどきベッコウトンボを報告してくださる場所と,多分同じところです.

今日は朝から穏やかな天気で,うまくいけば繁殖活動が見られるかもしれないと思いました.もちろんこの場所は初めて訪れるので,行ってみなければ分かりません.この場所にはお決まりの観察ポイントがあるようで,何人かのベッコウトンボ写真撮影の人が陣取っていました.あまのじゃくな私は,そこはやめて,自分の勘で別の場所に陣取りました.そこは,回っているときにメスが産卵しているのを見たからです.


▲ベッコウトンボがなわばりを形成している,このポイントで待った.▲

とにかくここは広いところで,池を一周するだけで結構時間がかかります.ここは地元では結構有名らしく,何人もの人がベッコウトンボを撮影に来ていました.自然観察会なども行われていて親子連れの子供たちがたくさん観察していました.

1時間ぐらい待ちましたが,結局,産卵には来ませんでした.ただときどきオス同士が,コシアキトンボのように並んでホバリングし,一気に追い払う行動をとっていました.面積が広大で個体群密度が低いので,オス同士の追いかけ合いもあまり頻繁ではありません.


▲ときどきオスが出会うと,並んでホバリングを始める.▲

10:00を過ぎるとあちこちにオスたちが止まるようになりました.かなり岸近くにも止まるようになって,接近して撮影できるようになりました.池を一周しながら,みつけたオスたちを次々と撮影していきました.


▲池の周囲を巡りながら,近くに寄れそうなオスたちを撮影した.▲

今日はメスに出会っていません.ただここはあまりに広いのでポイントが絞れません.そんなとき,私が陣取っているすぐそばで,観察会をやっている子供たちが草むらに止まっている何か見つけて,指導者の方にいろいろと説明を受けています.どうやらメスがいるようです.子供たちの集団が行ってしまってから,こっそりと見に行きますと,若いメスが止まっていました.


▲枯れたチガヤの草むらに止まっているベッコウトンボの若いメス.▲


▲上と同じ個体を角度を変えて撮影.▲

昨日見たベッコウトンボのメスは,もう成熟しきっていましたので,今日もそんな個体を想像していました.しかしまだ本当に若い個体のようです.複眼の色から見たら,まだ繁殖活動一歩手前という感じがします.例によって,チガヤの枯れ草の中に潜り込んで止まっていました.子供たちのおかげで現況が分かりました.未熟な個体を探すのならあまり苦労はありません.あと2頭見つけました.


▲ベッコウトンボのメス.下の個体は色が赤っぽかった.▲

お決まりのポイントで撮影していた人は,交尾態の写真が撮れたらしいです.あまのじゃくがよくなかったですね(笑).昨日も今日も,止まっているトンボばかりでした.でも今日はよく晴れていて,写真が映え,見たかったべっ甲色のメスも見られて,そういう意味では,当初の目的は最低限果たせたようです.

昨日はホテルでアップしましたが,今日は自宅です.明日からはまたコサナエ属かな...

カテゴリー: 県外のトンボ, 観察記 | No.828. 続 ベッコウトンボを見に行った.2022.5.3. はコメントを受け付けていません

No. 827. ベッコウトンボを見に行った.2022.5.2.

今日は思い立って,九州まで車を走らせ,ベッコウトンボを見に行きました.兵庫県でベッコウトンボが消えてからもう20年近くが経とうとしています.久しぶりにべっ甲模様のメスを見たくなりました.家から高速道路を7時間ぐらいは走ったでしょうか.身体が今でも揺れています.現地に着いたのは14:00ごろ.風が強く,とてもではありませんが池の上を飛ぶなんてことはできそうもありません.


▲ヨシも樹木の枝葉も,風に吹かれて大きく曲がっている.▲

オスたちは岸の草むらの中に隠れるようにして止まっていました.近づくと飛んで逃げるのですが,風に飛ばされて動きが激しくランダムに飛ぶので,目で追いかけるのに失敗することも多くありました.それでも諦めず追いかけ回して,なんとか写真になりました.


▲ちょっと風がやんだときに木の枝の先に止まったオス.▲


▲追いかけ回してやっと接近できたベッコウトンボのオスたち.▲

オスは少なくとも3頭いました.同時に3頭が見えたからです.ちょっと数が少ないと思いました.もう終盤に近づいているのでしょうか.情報によると,昨年は3月に羽化した個体もあったとのことですから.

さてここまで来たのですから,次はメスです.時刻的にももう多分産卵にはきませんし,この風です.どこかに隠れているに違いありません.池の周辺で風が当たらなくて日が当たってぽかぽかしたところを探して回ってみました.しかし全く姿がありません.木の上にでも隠れているのかな,などと考えながら,最後に池の堤の上を探してみることにしました.ここは風がもろに当たり,歩いている私の足下がおぼつかなくなるほどの状態です.でもその風の中をメスたちが飛んで,いや,飛ばされていました.なんでわざわざこんな過ごしにくいところに集まっているのか,ベッコウトンボは変なヤツです.


▲堤の通り道(草が踏み倒されているのが分かる)に止まるベッコウトンボのメス.▲

ここはオスたちがいるところより風が強いので,一旦飛び立つと,もう風でもみくちゃにされてしまう状態です.飛び上がると吹き飛ばされ,大回りして戻ってきます.


▲草の中に止まるベッコウトンボのメス.▲

メスは4,5頭はいたと思います.上の写真は違う個体を選んで掲げたつもりですが,ひょっとしたら同じ個体がいるかもしれません.止まっている写真ばかりになってしまいましたが,今日は飛んでいる写真はムリというものです.

まあ家から7時間も走ってやってきたので,出会えただけでもよかったと思いました.ここのベッコウトンボ,今後も元気で生き続けてくれるといいと思います.ベッコウトンボ以外には,コフキトンボ,ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,フタスジサナエがいました.今日はここまでです.この写真1枚何円ぐらいかかっているのだろう....

カテゴリー: 県外のトンボ, 観察記 | No. 827. ベッコウトンボを見に行った.2022.5.2. はコメントを受け付けていません