No. 1013. トラフトンボとヨツボシトンボ.2025.5.1.

今日は,昨日訪れた池へ,トラフトンボの卵塊づくりの撮影にチャレンジしに行きました.トラフトンボが数飛ぶ池で写真が撮れそうな池はあまり多くはありません.昔,通っていた定点池が完全に改修されて環境が激変したため,新たな観察地を探していたところでした.すぐ間近にトラフトンボが飛ぶ姿が見られ,それなりに数も多いので,きっと交尾態で飛ぶペアが見られるでしょう.

現地には9:20くらいに入りました.まだどことなくひんやりしていましたが,春のトンボにはちょうどいいくらいでしょう.すでにヨツボシトンボは活発に活動をしていました.トラフトンボも元気に飛び回り,他のオスやヨツボシトンボオスともバトルを繰り広げていました.飛んでいるトラフトンボを撮りながら交尾態を待つことにしました.


▲池面を飛び回るトラフトンボのオス.▲

オスはあちこち向きを変えて飛び回るので,なかなかうまく撮ることができませんが,それでも何枚かはピントが来ました.全部で10頭近くが飛んでいました.


▲旋回する時,頭部はそのままの位置で,首から下だけを回転させる.▲

トラフトンボの交尾態は,のべ6回入って来ました.しかし短時間飛び回って,植生の陰に入ったかと思うと,姿が見えなくなりました.結局オスがメスを放す瞬間を見ることができず,卵塊形成の観察はお預けになりました.こればかりは運に左右されますので,仕方がありません.辛抱強く通えば,いつかは当たるでしょう.

トラフトンボを待つ間,ヨツボシトンボが数回産卵に訪れました.ただ水際から一段高い位置から見下ろすような場所で産卵しますので,あまりうまく狙えません.


▲足下の方向で産卵するヨツボシトンボのメス.▲


▲ハリガネムシが肛門から出ているヨツボシトンボのメス.▲

メスが産卵する時オスは警護します.少し離れたところでホバリングすることが多いです.単独でメスを待っている時のオスは1秒程度しかホバリングしませんのでなかなか写真に撮れませんが,警護中のオスは比較的長時間ホバリングしてくれるので,写真に撮れます.


▲少し離れた位置で産卵メスを警護するオス.▲

この池には水際がなだらかでスゲ類が生えているところがあって,ここで産卵するメスがいたので,横の向きを撮ることができました.


▲なだらかな岸辺で産卵するヨツボシトンボのメス.▲

オスたちは岸辺でバトルを繰り返しています.オスは確実に10頭以上いました.そんな中で1頭だけ翅が黄色く光る個体がいました.プラエヌビラ型か?とも思いましたが,ふつうの個体でした.上のホバリングするオスがそれです.下のオスはそれと同じ個体です.


▲飛んでいると翅が黄色く輝いていたが,こうやって見るとふつうの個体だ.▲

さて,こんな感じで,トラフトンボとヨツボシトンボとで賑やかな,暖かい春の午前でした.そうそう,多分昨日と同じ個体のオグマサナエが,ずっと一緒でした.


▲フタスジサナエに混じって孤独にメスを待っているオグマサナエのオス.▲

今夜からは天気が崩れるようで,雨が降ったあと,曇天の後の晴れこそが産卵の狙い目です.オグマサナエとトラフトンボをまた見に行くことにしましょう.

今日見たこれら以外のトンボは,フタスジサナエ多数,ハラビロトンボ3頭,クロスジギンヤンマメス1頭,ホソミオツネントンボ1頭,クロイトトンボ多数,などでした.

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No. 1012. 春のトンボが出そろった感じ.2025.4.30.

今日も昨日に続いてオグマサナエの産卵を見に行きました.結果はダメでした.なかなか手強いというか,数が少ないのでしょうね.もっと早朝に行く必要があるかもしれません.今日もやって来たのはフタスジサナエ.2回産卵にやって来ました.


▲フラスジサナエの産卵.9:30くらいである.▲


▲やはり産卵途中で止まる.▲


▲今日,2回目の産卵.▲


▲フタスジサナエは比較的動きが少ないので追いやすい.▲


▲メスは日陰で産卵するのに,オスは日向にいる.フタスジサナエのオス.▲

目的は果たせそうになかったので,タベサナエを見に行くことにしました.でも時間がもう11:00になっており,タベサナエは,オスたちが活動しているのを見ただけでした.


▲タベサナエオスのもぐもぐタイム.▲

オスは,縄張り活動をしている時にも,目の前を餌が飛ぶとパッとくらいつきます.また,私がそばを通ると,ヤマサナエがそうするように,飛び上がってホバリングします.様子をうかがっているのでしょう.


▲飛び上がってホバリングするタベサナエのオス.▲


▲もうお昼が近いためか,休んでいるオスもいた.タベサナエ.▲

今日はオグマサナエのオスもあまり入って来ず,1頭がちょっと顔を見せただけでした.


▲産卵ポイントに顔を見せたオグマサナエのオス.▲

こんな感じで午前中の観察を終えました.今日は一日中快晴で,気温はやや低い感じです.春のトンボにとっては,夏日は暑すぎるようで,今日のように22℃ぐらいがちょうどよいように見えます.そこで,お昼からもまだ大丈夫だろうと,先日フタスジサナエの羽化をたくさん見た池に行くことにしました.

池に着くと,ヨツボシトンボが飛び,トラフトンボも水面上をすいすいと飛行していました.トラフトンボは5頭程度,ヨツボシトンボは10頭以上オスが活動していました.トラフトンボのオスがメスを捕らえ樹林の方に飛び去るのを見ました.これが帰ってくるのを期待しながら,トンボの観察を続けました.


▲ヨツボシトンボは池の周囲に止まり活動をしている.▲

この池はヨシやガマなどの抽水植物は生えていませんが,ヨツボシトンボの数は多いようです.彼らはあまり気にしないのでしょうか.


▲トラフトンボが水面を行き交う.まさに春ですね.▲

ヨツボシトンボやトラフトンボが飛び交う姿は,春の盛りを感じさせます.それにしても,20世紀末ころに比べて,トンボの活動時期が早まっているような気がします.こういう姿は5月の連休あたりに見られるものでした.まあ,数日早いだけですけど.


▲水面ではクロイトトンボたちがたくさん繁殖活動をしていた.▲


▲オツネントンボの姿もまだ見られた.メス.▲


▲池の周辺ではハラビロトンボが成熟を待っていた.▲


▲フタスジサナエはもちろん数多く見られた.▲

先日ここを訪れた時,どうもオグマサナエらしい羽化殻を見ました.実は今日それを確かめたいというのも目的の一つでした.止まっているコサナエ属一つひとつを確認しながら歩いていると,おやっと思う個体を見つけました.


▲オグマサナエらしい個体.腹部背面の淡色条が長く伸びる.▲

フタスジサナエは,腹部背面の淡色条が,腹部第6,7節くらいになると,伸びずにほぼ点になります.この個体は長く伸びています(矢印).これはオグマサナエの特徴です.タベサナエもほぼ点です.上の方の写真で比べてみてください.あと胸の横の黒条を確認できれば文句なしです.ただ止まっている位置が悪く,うまくのぞき込めません.なんとか池にはまらないように注意しながら撮ってみました.


▲黒条は1本,でも何か黒い点が見えたりして...▲

黒条は1本のように見えましたが,なんか汚れが付いているのか,2本が消えかけているようにも見えます.どうもすっきりしないのですが,一度飛んで止まる場所を変えた時,尾部付属器上の突起を確かめてみました.


▲尾部付属器上に突起が確認できる.オグマサナエである.▲

ずいぶんと手間がかかりましたが,やはりこの池にはオグマサナエがいました.あと写真にはなりませんでしたが,クロスジギンヤンマが飛んでいました.ということで,今日の観察を終えました.14:00でした.そうそう,交尾態で飛んでいったトラフトンボのペアは,時間内には戻ってこなかったようです.

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No. 1011. フタスジサナエの産卵.2025.4.29.

今日は,北海道では雪が降ったくらいで,とても涼しいというか肌寒い朝でした.太陽は顔を出していて日向では温かいので,オグマサナエの産卵を観察しに行きました.現地の産卵ポイントは日陰になっているので,じっと立って待つわけですが,風も冷たく,セーターを着ていて正解でした.ちなみに車の外気温計では,日陰では14℃を表示していました.

さて,到着したのは9:20くらいで,産卵ポイントで待つ作戦にしました.すると5分もしないうちにメスが入って産卵を始めました.産卵ポイントに立っているので,メスは足下で産卵しています.人を物陰のように感じているのでしょうね.長靴のまわりで産卵しています.ただメスはフタスジサナエでした.


▲足下で産卵するので上から見下ろしたアングルになってしまう.フタスジサナエのメス.▲


▲フタスジサナエの産卵メスは,途中でよく止まる.▲

フタスジサナエは産卵の途中でよく静止します.休憩なのか,卵塊をつくっているのか,とにかくよく止まります.しばらくするとまた産卵再開です.


▲今度は私も少ししゃがんで,産卵を観察できる位置に態勢を整えた.▲


▲再び静止.▲


▲少し離れていって,そのまま逃げていった.▲

2回目の産卵はすぐに終わりましたが,これは逃げたメスが帰ってきた可能性もあります.しばらくすると,またメスが入ってきました.残念ながらまたフタスジサナエでした.


▲このメスもやはり止まる.▲

この3回目の産卵のあとも,すぐに次のメスが入ってきましたが,これも非常に短時間で産卵を終えました.きっと,上と同じメスが戻ってきたのでしょう.しばらくするとまたメスが入ってきました.やはりフタスジサナエです.


▲翅の先が少し傷んでいて,前の個体とは違っている.▲

このメスもすぐに産卵を終えて飛び去りました.今日見たのべ5頭のフタスジサナエは,いずれも淡色部が黄色で,新鮮な感じがします.今日は気温が低いせいか,オスたちは日向にあまり出てきていません.そんな中,足下に1回だけオスがやって来て止まりました.


▲フタスジサナエのオスが,様子を見にやって来た.▲

しばらくすると雲が太陽をさえぎり,ますます寒くなってきました.これではだめだということで,近くをうろつきました.タベサナエのオスが小さな流れの畔に止まってメスを待っていました.またシオカラトンボの未熟なメスが日向に止まっていました.シオカラトンボも新鮮なうちは体がみずみずしく輝いています.あとフタスジサナエのオスが地面にペタッと止まっていました


▲流れでメスを待つタベサナエのオス.▲


▲新鮮なシオカラトンボのメス.▲


▲まだ未熟な感じのフタスジサナエのオス.▲

ということで,あまりねばることはせず,オグマサナエはまた次の機会をねらうことにしました.上記以外にはシオヤトンボを1オス2メスほど見かけました.

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No. 1010. オグマサナエの観察.2025.4.27

この9日に観察したオグマサナエの羽化殻と未熟個体,そろそろ成熟虫が池に帰ってきて繁殖活動をするだろうということで,今日はオグマサナエの観察に出かけました.ちょっと涼しい感じの朝でしたが天気は快晴.オグマサナエやフタスジサナエは,涼しい早朝や夕方にも産卵に来ますので,気温は問題なしです.

さて,肝心のオグマサナエですが,オスは水辺に集まって,メスを待っていました.いつものように定住性はあまり強くなく,時々飛んではメスが産卵に来そうな水際を飛んだり,止まる位置を変えたりしています.


▲日向に止まるオグマサナエのオス.▲


▲日陰の木漏れ日のある場所に止まるオス.▲


▲オグマサナエのオスはあちこち移動する.▲

私としては産卵メスを見たかったので,可能性のあるポイントで待ち続けました.すると,1頭のメスが入りました.慌てて近づくと,ちょっと警戒し葉に止まりました.フタスジサナエでした.まだ黄色い色が鮮やかないわば思春期のメスでした.


▲若いフタスジサナエのメス.産卵していて近づいたら静止した.▲

このメスはすぐに池から出て行ってしまいました.あと待てども待てどもオグマサナエは来ず.昨日の晴天で来たのかな,と思ってしまうほどでした.結局諦めて,タベサナエを見に行きましたが,こちらもまだ水辺には見られませんでした.というより,11時を過ぎて気温が上がってきたせいでしょうか,朝のうち活発に池の周囲を飛んでいたオグマサナエや多分フタスジサナエのオスたちも姿を消しました.今日は25℃近くまで上がりそうで,春のサナエには日向は暑すぎるのかもしれません.


▲まだ未熟なタベサナエのメス.▲

結局タベサナエもまだ未熟なメスがひらひら飛ぶのを見ただけでした.

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No. 1009. トンボ出現本格化か.2025.4.21.

今日は朝から快晴状態.気温は春らしく,暑くもなく寒くもなく.これなら春のトンボたちも元気に出てくるかもしれません.今日はじっくりというよりは,急いでいくつかの池を回って様子を見る調査にしました.

まず一つ目の場所.クロイトトンボが羽化しフタスジサナエも羽化していましたが,ヨツボシトンボやトラフトンボの動きがまだ見られませんでした.ここは一昨日に行ったところでもあり,次を急ぎました.アオモンイトトンボやアジアイトトンボの姿をまだ見ていませんので,それらに会に出かけました.池の周囲を少し歩いてみましたが,やっとオスメス1頭ずつがいただけでした.ここはたくさん発生するところなので,まだ羽化が本格化していないようでした.


▲やっと出会えたアオモンイトトンボのメス.▲

アオモンイトトンボが多く見られるもう一つ別の池へ行ってみましたが,まだ全くトンボの姿がありませんでした.そこで少し考えて,今までいったことのない,自然を活かした公園に行ってみることにしました.ここは小さなビオトープや池があるところです.現地に着くと,早速ビオトープにオツネントンボが飛んでいました.全部で4頭くらいいたでしょうか.


▲大分老熟が進んできたオツネントンボのオスたち.▲

あと池の方にはタンデムになったオツネントンボがいましたが,池の向こうへ飛び去ってしまいました.この池にはホソミイトトンボやホソミオツネントンボも見られ,成虫越冬3種がそろっていました.


▲ホソミイトトンボの交尾.あと,単独で飛ぶ個体が数頭見られた.▲

また,ヨツボシトンボが処女飛行に飛び立ち,トラフトンボも摂食飛翔をしていました.クロイトトンボも処女飛行し,ここは春のトンボが出そろっているようですね.何といっても,今日がフタスジサナエの集中羽化に当たったようです.次々と2, 30頭が処女飛行に飛び立ち,周辺の樹上を目指していました.そっと水辺をのぞくと,まだたくさん羽化をしていました.時刻は12:00を回っています.


▲今日が羽化の盛りか,水辺でたくさんのフタスジサナエが羽化していました.▲

羽化殻もあちこちに付いています.1つだけ,どうもオグマサナエらしい羽化殻があって,これはまた成虫でも見に来る必要がありますね.まあ,ここでは春真っ盛りを感じました.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1009. トンボ出現本格化か.2025.4.21. はコメントを受け付けていません