No. 844. アオハダトンボなどの確認に.2022.6.4.

今日は,特別大きな狙いを持たず,例年出かけているアオサナエとアオハダトンボとグンバイトンボの生息地の様子を見に行きました.現地に着くと川の水位が極端に下がっていました.今年は雨があまり降っていないからでしょう.水田への取水時期でもあります.何年か前に浚渫されてから大分経ち,川の状態はかなり復活してきています.アオハダトンボはたくさんいて,十分以前の状態にまで戻っているように見えました.


▲アオハダトンボのオスとメス.十分に回復しているように思えた.▲

ただ,川の植生は,ツルヨシは生えているものの,以前見られたエビモやコカナダモなどの沈水植物の復活がまだまだという感じで,均翅類の産卵環境としてはちょっと物足りないという感じです.そのせいかどうかはわかりませんが,きょうはグンバイトンボが全く見つかりませんでした.川の流程は長いので消えたと断言することはできませんが,ちょっと心配な感じではあります.

サナエトンボ類は,アオサナエが3個体,ヤマサナエが1頭飛んだだけで,コヤマトンボもいませんでした.アオハダトンボだけがやたら賑やかにしている状態でした.ただし,オジロサナエだけはあちこちで羽化していました.


▲あちこちで羽化したオジロサナエが飛び立った.▲

オジロサナエというのは不思議で,先日行った川でもそうでしたが,たくさん羽化しても成虫はそこではまず見つかりません.よく言われているのが幼虫の流下説で,繁殖地はもっと上流だというのです.一度突き止めたいとは思っても,どこを探してよいのか見当がつきません.

さて,これ以外にはミヤマカワトンボがそこそこの数いました.以前はあまり目立たなかったカワトンボですが,今日は結構目立っていたように思えます.


▲ミヤマカワトンボのオス(上)とメス(下).▲

アオハダトンボが復活していることが確認できましたので,次はムカシヤンマやサラサヤンマをねらいに行くことにしました.これいつものコースです.

現地の谷筋に着きました.さっそく心当たりを次々に当たっていきましたが,全くトンボがいません.シオカラトンボすらいません.唯一ハラビロトンボのオスが1頭草地に止まっていただけです.この時期であれば,ヤマサナエなどが姿を見せてもいいはずですし,ニホンカワトンボの生き残りがいてもいいはずです.特にこの場所はトンボの出現が少し遅いので,今頃がちょうどよい時期だと思うのですが...現に2年前の6月7日にはたくさんのトンボがいました

変な感覚を抱きながら,農道を奥に入っていきますと,やっとのことで,春のトンボの生き残りに出会いました.ホソミオツネントンボ1頭,シオヤトンボ1頭,アサヒナカワトンボ2頭,タベサナエ3頭です.


▲成虫越冬種のホソミオツネントンボ.▲


▲春一番のトンボ,シオヤトンボのメス.▲


▲アサヒナカワトンボのメス.▲


▲タベサナエのメス.淡色部が黄色のままの個体と淡緑色になっている個体.▲

本当に不思議なくらいトンボがいません.後で考えてみると,トンボのいない場所は水田をやっている場所より下流側で,春のトンボの生き残りが見られたのは,それより上です.なんか,きつい薬剤を使ったのではないかとふと考えてしまいました.まあ,2020年6月7日の記事には,お昼過ぎにはヤマサナエは全部山に帰ってしまったと書いています.今日は暑すぎたのかもしれません.

最後にサラサヤンマの湿地に入ってみましたが,ここも全く何もいません.サラサヤンマは,1頭だけ,湿地横の農道上を飛んでいました.

今日は肩すかしを食らったような印象を持ちました.この数日の疲れも出てきたようですので,また元気を取り戻して再探索することにしたいと思います.

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No. 843. ムスジイトトンボの繁殖行動の観察.2022.6.3.

今日は昨日に引き続いて,ムスジイトトンボの繁殖活動の観察です.県外での観察によりますと,ムスジイトトンボは潜水産卵が中心です.潜水産卵をするトンボは,一瞬のうちに水面下に没してしまうことが多く,産卵している個体を探すこと自体がかなり大変です.潜る瞬間を目撃できないと,もうどこで産卵を行っているかほとんどわかりません.

昨日の観察で産卵活動は午後であることがわかっています.12:30ぐらいに現地に着くように出かけました.今日も天気は晴れ.ゴールデンウィークといい,梅雨入り前といい,晴れが続くパターンが多いので嬉しい反面疲れます.12:59,最初のタンデムペアを発見しました.


▲12:59,タンデムペアを発見した.▲

このペア,産卵行動に移行してくれるでしょうか.あちこち移動するのを追いかけながら待ちましたが,残念ながら少し沖の方で交尾に入りました.ムスジイトトンボは,池でメスを待っているようで,メスが単独で池に入ったところを捕まえるみたいです.現にその瞬間を後で目撃しています.


▲上のペアは,少し沖の方に飛んで,交尾を始めた.▲

交尾が始まったのは13:19.今日は完全装備で,ウェーダーをはいて池に入っていますので,沖に出られても,植物が生えているあたりまでなら,追いかけていくことができます.今日は時間制限がありませんので,この交尾が終わるのを待つつもりです.

13:46,さらに沖の方をタンデム態のペアが飛びました.見ているとメスが水面に止まり,産卵をするように腹部を曲げています.この交尾態のペアを見守るか,あちらへ行くか,迷いました.


▲13:46,さらに沖の方で産卵行動を行っているペアを発見した.▲

しばらくあちらのペアを見ていますと,メスがオスを引きずり込むようにして,潜水していくのを見ることができました.こうなるともう我慢ができません,目の前の交尾ペアを驚かせないように,潜ったあたりへ移動しました.交尾ペアはこれに気づいて飛び立ちました.しかしそれは放っておいて行きました.ところが,潜ったあたりの水中をいくら探しても,産卵ペアは見当たりません.やはり相当な早さで潜っていったようです.

仕方なく引き返して,先ほどの交尾ペアを探しましたら,タンデム状態で止まっていました.少し逃げたので追いかけると,また交尾を始めました.私が驚かせたので交尾を中断したのかもしれません.


▲13:55,再び交尾を開始(上),14:02,交尾を解く(下).

今度は短時間で交尾を解きました.さて,いよいよ産卵か...と思ったら,ものすごいスピードで,水面ギリギリを沖の方に飛び去っていきました.とても追いつけません.

どうやら,交尾したあたりで産卵を始めるのではないようです.県外での観察でも,かなり深いところで産卵していました.深く潜水産卵を行うので,浅いところより,水深のあるところがいいのでしょう.そういうことならば,もう産卵を始めるペアを見つけるしかありません.先ほどの潜水産卵の観察で,潜水を始める前には,水面で腹部を曲げて産卵動作のようなことをするのを確認しましたので,そういうペアを見つける以外にないと思いました.

これがなかなか見つかりません.ちょっと絶望感が強くなってきました.シオカラトンボのオスメスが妙に接近して警護産卵していたり,アオモンイトトンボが産卵したりするのを見て,とにかく待っていました.ムスジイトトンボの方は,相変わらず交尾態のペアがよく見つかります.


▲妙に接近して警護をするシオカラトンボのオス.交尾がしたいのかも…▲


▲アオモンイトトンボも午後に産卵するが,ここでは普通にそれが見られる.▲


▲相変わらず交尾態はよく見つかる.30分ほどやっているので目につきやすい.▲

14:30,沖の方の水面ギリギリを飛ぶタンデムのペアを見つけました.どんどん追いかけました.ウェーダーをはいているとはいえ,腰あたりの深さの場所まで追跡しました.でもその甲斐あって,このペア,水面で産卵動作を行いました.そして次々と場所を変えていきます.先ほどと同じ行動です.潜水する場所を探しているのでしょうか?


▲メスは産卵行動をしたり,だらしなく水面に浮かんだりする.▲

メスは腹部を曲げて産卵行動をしますが,どうも真剣にやっているみたいに思えません.産卵するというより,潜水産卵ができる場所を探っているような感じです.そして,時々力を抜いて水面に浮かびます.こういった動作を延々と繰り返しています.


▲こんな感じのかなり深い場所で,浮かんだり産卵動作をしたりを繰り返す.▲


▲浮かんだ状態では,オスがいくら羽ばたいても,メスは動こうとはしない.▲

こんなことをひとしきり続けていました.といっても長く感じたのはこのペアをあちこち追いかけて,引っ張り回されている私だけかもしれませんが,14:36,やっと,メスは潜水する場所を見つけたようです.今度はしっかりと潜り始めました.オスが抵抗しても頑としても引き下がらず,オスを水中に引きずりこもうとしています.


▲今までと違って,ここが気に入ったのか,メスが潜り始めた.▲


▲オスは近くの茎につかまって抵抗しているが,メスはお構いなしに潜っていく.▲


▲オスは茎から引き離され,もう抵抗の足がかりがなくなった.▲

こうなっては,もうオスもどうしようもありません.メスに引きずられるようにして,水中に体が沈んでいきます.


▲かなり深いところで潜水を始めているのがわかる.▲


▲そしてとうとうオスも体全体が水面下に没した.▲

このまま深く下降していくかと思いましたら,このオスは潜水が嫌いなようで,間もなくメスを放して水面から外へ出,近くの茎の上に止まってしまいました.一方のメスは抵抗するものがなくなったせいか,するすると一気に深いところまで下降していきました.


▲水面に出てきたオス.左の沈水植物で産卵している.▲


▲メスはかなり深いところまで一気に潜っていった.▲

こうやって,一連の観察を終えました.まとめると以下のような感じです.

繁殖活動が始まるのは午後になってから.オスたちは午前中には水面に出て活動をしていますが,正午が近くなるほど水面で活動する個体数が増えてくるように見えます.午後になるとメスが単独で池に入ってきます.オスはそれを捉えてタンデムを形成し,水面上で交尾に至ります.交尾の継続時間は30分程度.交尾が終わると水面を沖の方の深いところまで飛んで,潜水場所を探します.そのときメスは,腹部を曲げて産卵動作をしたり,水面に浮かんでみたりといった行動を繰り返し行いますが,潜水する気配はありません.気に入った場所をメスが見つけると,オスのことなどお構いなしに,後ずさりしながら潜水を開始します.このとき,オスも一緒に潜水して産卵するものと思いますが,途中でメスを放して水面に出てくるものもあります.どちらが一般的かは,観察例が少なく何ともいえません.またどれぐらい潜っているかまでは今回確かめていません.

潜水するまであちこちに移動して短時間産卵動作をするというのは,ルリイトトンボでも見たことがあります.潜水する場所,つまりつかまって潜り産卵するための植物の適合性を検査するための行動かもしれません.

ということで,今日の観察を終えました.長かったようですが,2時間半ほどの効率よい観察でした.

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No. 842. ムスジイトトンボの観察.2022.6.2.

なかなか数多くの個体が集合している場面に出くわさないムスジイトトンボ,今年はこのチャンスに巡り会えたので,記録をとるためにここはひと頑張りの必要があります.ムスジイトトンボがたくさん集まっている場面に出会ったのは,兵庫県内では実に21年ぶりです.このときはルートセンサスで数を数えたのですが,115頭いたと記録に残っています.おそらくこの池にも全体では100頭を越えるくらいはいると思われます.ムスジイトトンボは決して珍しいイトトンボではありません.あちこちで偶然2,3頭の姿を見ることは結構あります.しかし生態を知るにはやはりたくさんいる場面で観察することが重要です.

先日のロケハンで,それなりの数がいることはわかっていましたので,今日はメスを探すことと,繁殖活動を観察することが目的です.ムスジイトトンボの繁殖活動については,私はまだ十分理解していないところがありますので,楽しみです.池には10:00過ぎに入りました.まだオスの姿すらぽちぽちで,移動性の高いこのトンボ,まさかいなくなったわけではあるまいと思いながら,時間が経つのを待ちました.空は快晴,申し分ありません.


▲はじめ少なかったオスたちだが,午前中だんだんと数が増えてきた.▲

そのうち,だんだんとオスたちが水面を飛び始めました.しかし,タンデム状態のペアなどは全く姿を見せません.そもそもメスの姿が見えないのです.今日はメスを探すのも目的の一つですので,変化のない水面はしばらく放っておいて,もっぱら草むらを探し回りました.なかなか見つかりませんが,今日は後には引けません.しばらくして,やっと,1頭のメスが摂食している姿を見つけました.もう11:30を過ぎているのですが,まだメスは摂食しているようです.もっともこのメスまだ若く完全成熟していない感じです.胸部が橙色ではなく黄緑色です.しかし腹部側面にはコバルト色が出ています.こういう感じのメスは初めて見ました.


▲やっと見つけたメス.まだ胸部が橙色になっていなくて黄緑だ.▲

成熟したメスはまったく見つかりません.これはどうやら繁殖活動が始まるのが午後になりそうだと思い,昼食をとることにしました.いったん池を離れてラーメンでも食べに行くことにしました.その途中,池を出たところで,もっと未熟なメスに出会いました.


▲まだコバルト色が出ていなくて,複眼に茶色が残っている.▲

昼食から帰ってきたのが13:30ごろ,池に入りますと,足下を高速でタンデム状態のペアが飛びました.やはり午後だったようです.こうなったら,目を凝らしてタンデム状態のペアを探すことになります.そのとき,メスを見つけました.なんと,タンデムのオスの頭部と胸部が何者かに食いちぎられ,腹部だけがメスの前胸をつかんでいるという,ちょっぴりかわいそうなメスでした.


▲角!をつけたムスジイトトンボのメス.▲

こんなメスではありましたが,やっと,成熟した胸部が橙色のメスに出会うことができました.ただ,まだ「生きた」タンデムのペアは見つかりません.ムスジイトトンボ君は,なかなか出し惜しみするみたいですな.14:03,やっとのことで,タンデムになっているペアを発見することができました.


▲タンデムのペアをやっとの事で見つけた.▲

このペア,産卵行動に移るかどうか期待しましたが,交尾に入りました.交尾は延々と続いています.


▲産卵せずにまずは交尾から…という感じ.▲

実は今日は夕方から所用があって,この交尾が終わるのを待つことができません.遅くてもここを14:30には出ないと,間に合わないのです.繁殖活動は午前中かと思っていましたが,これは誤算でした.そこで明日またチャレンジすることを決め,今日はここで引き上げることにしました.

ムスジイトトンボのタンデム態を探し回る間,いろいろなイトトンボ類の活動に出会いました.最後にそれを紹介しておきます.まずはアオモンイトトンボ.最近はアオモンイトトンボをわざわざ見に行くことが多かったのですが,ここでは,ついでに見ることができました.


▲アオモンイトトンボは午前中が交尾の時間.メスを探す合間に発見.▲


▲アオモンイトトンボの未熟なオレンジ色のメス.▲


▲オレンジ色から鶯色へと変化しつつあるメス.▲


▲午後には,複数の個体が産卵を行っていた.▲

次はアジアイトトンボ.アジアイトトンボはここでも個体数は少なかったです.アジアイトトンボが群れているところが意外と見つかりません.


▲アジアイトトンボのオス.アオモンイトトンボに混じって少数が見られた.▲


▲アジアイトトンボの産卵.この個体はまだうっすらとオレンジ色が残っている.▲

そのほかには,クロイトトンボがいました.それとウチワヤンマの羽化殻があちこちに浮かんでいました.


▲クロイトトンボのオス.ムスジイトトンボに混じって活動していた.▲


▲ウチワヤンマの羽化殻.本当にウチワヤンマは早く出てくるようになった.▲

今日はイトトンボばかりの特集になりました.あすもまたムスジイトトンボ一色のブログになりそうです.(明日に続く).

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No. 841. ミヤマカワトンボの潜水産卵.2022.5.31.

今日は午後から晴れ.半日なのでダビドサナエの探索に行くことにしました.過去の記録地,私の以前に写真撮影したところなどを3カ所回りましたが,全くダビドサナエの姿がありません.もう時期的に遅かったのかもしれませんが,それでも,1,2頭は見つかっても良さそうなものです.というのもそんなに見るのが難しいトンボではないからです.ニホンカワトンボなどももう時期的には終わりですが,それでも少しは見つかります.


▲ニホンカワトンボのオス.3カ所目.▲

ちょっとこの頃ダビドサナエを見ることがないので,心のどこかで少し心配しています,かなり減少したのではないかなどと,...ヤマサナエやアオサナエなどは見つかりますので,サナエトンボが減っているという感じでもありません.


▲ヤマサナエのオス.1カ所目.▲


▲アオサナエのオス.3カ所目.▲

そんな中で,2カ所目,3カ所目の川にミヤマカワトンボがたくさん発生して活動していました.このトンボはお昼から午後に産卵することが多いので,川に転がっている枯れ枝や倒木を見て回りました.


▲ミヤマカワトンボのオス(上)とメス(下).▲

ミヤマカワトンボは夏のトンボというイメージが私の中では強かったのですが,最近はアオハダトンボと同じ春の終わりから初夏のトンボという感じがしています.今日はとにかくたくさん活動していました.2カ所目では産卵している個体は見つかりませんでしたが,同じ川の,より下流部の3カ所目で,2頭のメスが潜水産卵しているのを見つけました.ラッキーなことに翅の一部が水面から出ていたので発見に至ったのです.


▲1頭目の潜水産卵のメス.ミヤマカワトンボ.▲


▲産卵をやめて,少し顔を出し,流れに身を任せている.▲

1頭目は見つけたときに産卵し終わったタイミングだったのか,水底に止まるような仕草や,流れに身を任せるような仕草をしたかと思うと,私が位置を変えようと動いた瞬間に水から出て飛び去ってしまいました.ちょっと残念な気持ちになりましたが,うまいことに,少し向こうにもう1頭翅が水面に出ている状態のメスが見つかり,今日はついていると思いました.


▲木漏れ日の中で潜水産卵するミヤマカワトンボ.▲

潜水産卵している川のトンボを写真に撮ると,体の線がぐにゃぐにゃになるので面白いです.このように最初は翅の一部が水面から出ていますが,ミヤマカワトンボは横に寝るように姿勢を変えて,やがて翅全部が水中に没します.


▲少し体を横に倒し,翅も全部水面下に没した.▲

今度は慎重に移動して,もう少しいい位置から写真を撮ることにしました.できれば光が水の中に射している感じがいいので,逆光で体を横向きにねらえる位置がベストです.


▲狙ったような感じの写真になった.▲

今日はダビドサナエを探しに来たのですが,例によって,そこにいたトンボを観察するという鉄則で,最後はミヤマカワトンボとかなりの時間過ごしました.もちろんビデオにも撮りました.最近のカメラはビデオも撮れるので本当に助かります.

ところで,今日この場所へ来たのは,実はもう一つ理由があります.昨日書いたように,道路工事で潰れたヒメサナエやオジロサナエの産卵観察場所がどうなっているかを見に来たのです.結果は,ほぼ完全に改修されていました.


▲道路工事の関連工事によってコンクリートで三面張りにされてしまった.▲


▲2013年,同じ場所の状態.コンクリートタイル張りの古い護岸はそのまま.▲

護岸が崩れて,右斜面から湧き水が流れ込んでいるところが,オジロサナエの産卵場所になっていました.またその前の川の流れはヒメサナエの産卵場所でした.工事は5年ぐらい前から始まってやっと終わりました.産卵ポイントは改変されてしまっていますが,付近は意外と元の通りに復元されていて(最近の工事はかなり環境に配慮されていると感じた),この初夏にヒメサナエやオジロサナエを調査してみる価値はありそうです.

ということで,今日はここまでです.

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No. 840. アオヤンマの生存確認調査.2022.5.30.

今日は午前中は晴れるとのことでした.午後からは雨になる模様で,短時間で行える調査として,昨年姿が見えなくなったアオヤンマの確認に出かけてきました.昆虫の場合,一年で消滅を語るのは困難です.もっとも,見つけられなかったときは悲観的になるものですけど...

着いたのは9:00少し前.もう空は雲が全天を覆っていて,時々その隙間から日が射す程度になっています.生息地はコシアキトンボが摂食飛翔している以外,トンボの動きはありません.30分ほどしても全く飛びません.ただ,コシアキトンボではないようなトンボが時々樹木から抽水植物帯の方に降りてくるのが見えます.でも遠くの方で,種名が確認できません.仕方ないので,付近の池に避難していないか回ってみましたが,やはり姿はありません.

最後にもう一度最初の池に戻りました.すると,1頭だけアオヤンマと確認できるほど近くを飛ぶ個体がありました.生き残っていたようです.アオヤンマは生息地に張り付いたような活動をするので,天気のよい日に1時間も待っていると必ず姿を見ることができるトンボです.それが,これほど見つかりにくいのは,個体数が非常に少ないことを意味しているのだと思います.やはりこの場所では絶滅に近い状態であることは間違いないでしょう.翅の先が破け,見るからに末期的なイメージを漂わせるオスでした.


▲ただ1頭活動していたアオヤンマのオス.▲

昨日今日と,トンボの危うい状況ばかりをお伝えしています.でも,こうやって,一カ所,また一カ所とトンボの活動している場所が消えていくのです.生息地の消失,改変,また見た目の環境は全く変化ないのに消失,と10年以上も観察を続けていると,減少傾向を肌で感じることができます.ここのアオヤンマが生き残っていってほしいものです.

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