No. 1036. ナゴヤサナエを見に行った.2024.7.24.

今日はナゴヤサナエを見に行きました.県内へ行こうかとも思いましたが,思い切って県外へ出かけてみることにしました.現地へは8:20ごろに着きました.川面をながめると,オスが数頭飛んでいました.やはり朝早くから活動しているのですね.ここは個体数は多そうです.


▲川の真ん中あたりを飛ぶナゴヤサナエのオス.▲

あちこち移動して探してみましたが,最初の場所が一番多く飛んでいました.9:30あたりになると,飛んでいたオスが止まり始めました.面白いことに同じところにやって来て止まるんですね.たまたまかもしれませんけど.


▲同じところへ集まってきて止まるという不思議な習性がある.▲

撮影を終えるときに草の茎を投げてみますと,7頭飛び立ちました.写真以外にもまだいたのですね.午前中はメスの姿を見ることができませんでした.

さて,次に,高い山に上がってみることにしました.暑いので避暑も兼ねています.山に上がると,ミヤマアカネがいっぱい飛んでいました.周りに流れや池などないように思えるのですが,どこかにあるのでしょうね.ミヤマアカネはあまり移動しないトンボ(だと思っています)ですが,まさか麓から上がってきているのではないでしょう.


▲ミヤマアカネのオスとメス.まだ未熟な状態だ.▲

オニヤンマも久しぶりに道路の上空を往復し摂食している姿を複数見ました.最近オニヤンマも減っている感じがしますものね.


▲摂食飛翔するオスと,道路に止まっていたオス.▲

これ以外には,オオヤマトンボが道路上を行き来して摂食するという,あまり見たことのない行動を観察しました.ウスバキトンボは非常に数が多く,高い山で群れ飛んでいるのは,ここから遠方へ飛び立っていくのでしょうか?

ナゴヤサナエの生態を観察できたので,今度は県内のナゴヤサナエの確認に行ってみることにします.

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No. 1035. 急に思い立って西表島へ.2025.7.16-17.

思うところがあって,西表島へ調査に行ってきました.何しろ急だったので,飛行機やホテルがとれる日程ということでこの日になりました.前後それぞれ1日は移動日になっています.あまり計画性がなかったためか,大型美麗種にはお目にかかることはありませんでしたが,いたトンボたちの観察がゆっくりと出来ました.ただ,春から初夏にかけて行ったときと比べて,トンボの個体数が「著しく」減っていました.夏に入ると端境期にでもなるのでしょうか.一部のトンボをのぞいて本当に何もいないという感じでした.

そんな中でまず観察したのは,サイジョウチョウトンボです.驚いたのは,チョウトンボのように,山道の上空を群れて飛んでいたことです.こういう姿は相当に個体数が多くないと見ることができないと思うのですが,...数が増えているのでしょうか?


▲サイジョウチョウトンボが樹冠の上を群れて飛んでいた.メスの雑種らしいのも(中)いる.▲

一方で止水にも飛んでおり,オスに警護されて産卵するメスがいました.サイジョウチョウトンボの,雑種ではない純粋なメスは初めて見ました.チョウトンボのように打水産卵をしていましたが,すぐにオキナワチョウトンボに追われて退場していきました.


▲翅胸背面に黄褐色条が出ていないので純粋個体だと思われる.▲

次に観察したのは,ホソアカトンボの産卵です.前回来たときに産卵を見ているので,今度はねらって撮れるでしょう.ホソアカトンボは初夏に来たときに比べても,それほど数が減っている感じはしませんでした.年中だらだらと発生しているのでしょうかね.


▲ホソアカトンボのオスたち.南のトンボという感じがする.▲

産卵は二例ほど見ました.やはり薄暗いところなので,メスの姿は見えません.勘で位置を決めての撮影です.メスは腹部の中程から先をわずかに曲げ,水滴を飛ばして産卵しているようです.いわゆるオオシオカラトンボ的な産卵です.ですからメスは何かの対象物に向き合うようにして定位します.


▲岸や何かの対象物に向かって定位し水滴を飛ばす.▲

ホソアカトンボを観察していると,オオメトンボが飛び始めました.オオメトンボもすぐ近くで産卵を始めましたので,途中からこちらに気をとられて,観察対象を変更しました.それがよかったようで,産卵を3例観察しました.このトンボは,オスがものすごい速さで薄暗いところを飛び体も真っ黒なので,写真に撮るのは至難の業です.結局のところ,数百枚シャッターを切ってたったの1枚だけなんとか見られるのが写っていました.


▲頭部がちょっとアウトフォーカスだったが,なんとかオオメトンボと分かる写真が撮れた.▲

オオメトンボというのは,体が黄褐色をしているという認識がありましたが,写真のオスはもうほぼ真っ黒状態です.オスに対しメスは,浮遊物などに往復飛翔して産卵しますので,まだねらいがつけやすいです.今回撮った写真を見ると,打水している瞬間と,浮遊物に卵を貼り付けていると思われる瞬間が写っていましたので,腹端を水に濡らしてから浮遊物に卵を貼り付けるのか,それとも水面上・水面下どちらにも貼り付けるのか,ちょっと分かりません.なんせ暗くて速いので目視確認は不可能です.


▲一例目の産卵.浮遊木の水面上の位置をたたいている.▲


▲同じく一例目の産卵.浮遊木の際の水面をたたいている.▲

上の写真では,浮遊木の水面上の位置をたたいているのがわかりにくいですが,たたいた拍子に腹部先端が少し外側に曲がっているので,腹部が当たっていることが分かります.


▲二例目の産卵.浮遊木の水面上の位置をたたいている.▲


▲同じく二例目の産卵.浮遊木の手前の水面をたたいている.▲

二例目の産卵でも,水面をたたくのと,水面上の浮遊木表面をたたく場合の両方が観察できます.こちらの写真の方がはっきりとしています.

次は三例目の産卵です.この個体は上記2個体と違って,体が茶褐色をしています.そして上の2個体より腹部が太いように見えます.まさかコフキオオメトンボではないと思うのですが,真っ白なトンボは飛んでいませんでしたし,翅の付け根に褐色斑が見られますので,やはりオオメトンボでしょう.どうも見慣れないトンボは,写真だけでは同定に不安を覚えてしまいます.


▲三例目の産卵.若いメスだろうか.下の写真では翅の付け根に褐色斑が見える.▲

さて,写真には撮れませんでしたが,川の調査に入ったときミナミトンボが産卵する姿を見ました.行ったり来たりしながら水しぶきを上げて打水産卵していました.また水面上をパトロールするオスの姿も見ることができました.そして嬉しいことに道路上を摂食するオスに出会うことができました.ただこれもまた非常に速く飛ぶので,ほとんど写真になりませんでした.


▲ミナミトンボのオス.道路上を行ったり来たりして摂食をしていた.▲

あと本当にトンボが少なく,オキナワチョウトンボ,リュウキュウベニイトトンボなどが産卵活動を行っていました.コフキショウジョウトンボはふつうに見られました.アカスジベッコウトンボはオスがメスを追いかけ回しているのを見ましたが,翅がボロボロのもいて,シーズンの末期のような感じでした.そんなトンボたちを少し紹介して今日の記事を終わっておきます.


▲コフキショウジョウトンボ.これは数はそれほど減っていなかった.▲


▲ボロボロのアカスジベッコウトンボ.去年来たときよりも数が顕著に減少していた.▲


▲ヤエヤマオオシオカラトンボ.コフキショウジョウトンボに混じって飛んでいた.▲


▲コナカハグロトンボ.川の調査では数が多かった.他はアカナガイトトンボぐらいであった.▲

さて,また明日から地元のトンボを見に行くことにしましょう.

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No. 1034. ナニワトンボの未熟個体探し.2025.7.14.

6月12日以来,ずっとナニワトンボの未熟個体を探しに出かけていました.例年であればアオハダトンボやヒメサナエなどを見に行く時期なのですが,それらをすべてキャンセルしてこれ一本に絞った探索を続けました.生息地の池を訪れ,枝先を見て回ります.今日は到着と同時にやっとナニワトンボを見つけましたが,なんと,もう青白い粉を吹いていました.実はこの場所は6月12日以来で,今までは別の場所へ行っていました.


▲ナニワトンボのオス.もはや粉を吹いている.▲

その後も丹念に探しましたが,ナニワトンボ自体が見つかりません.しかしリスアカネが結構たくさん止まっていました.リスアカネとナニワトンボはだいたいセットですから,これがたくさんいるということは,可能性は十分あります.しかしリスアカネも,すでに腹部が赤くなっている個体もいて,ちょっと時機を逸したかなと思ってしまいました.


▲リスアカネたちもすでに羽化をしていて,腹部が赤い個体もかなりいた.▲

1時間以上探索しても見つかるのは粉を吹いた青白いオスばかりです.6頭ほど見かけました.ダメかと思ったとき,遠くの樹間に止まる未熟個体を見つけました.


▲池に張り出した木の枝の中に止まるナニワトンボのメス.▲

しかしこれはメスです.オスの未熟な個体が見たかったのです.しばらくこの個体を見ていると,飛び立って姿を消しました.池の反対側へ行ったかもしれないと思い,移動しました.そして慎重に木の枝の先を探すと,いました.オスが,それも2頭,さらにメスが1頭も.ほぼ同じ場所に止まっていました.


▲ナニワトンボの未熟個体.上2つはオス,下がメス.▲

枝の高い位置に止まっているので,どうしても見上げたようなアングルになります.いつも思いますが,1つ見つけると,次々に目に付くようになるのが不思議です.1時間以上見つけることができなかったのに.そこで,もう一度戻りつつ,青白い粉を吹いたオスがいたあたりを丹念に探しました.すると,本当に不思議,次々と見つかります.


▲上からメス,オス,オスの未熟なナニワトンボ.▲

いずれも見上げるようなアングルですが,一番最後のだけは目の高さに止まっていました.といってもいずれも水面に延びた枝先なので,近づくことができません.ただ一番下の個体は摂食でしょうか,時々飛んで止まり直しますし,一番近い距離に止まっています.そこで,なんとかふつうの高さのアングルの写真を撮れるよう待つことにしました.オス君との我慢くらべです.そしてついにチャンスが訪れ,飛んで止まった瞬間に横を向き,写真をテイクすることができました.


▲腹部背面が黒みを帯び,粉を吹き始めようとしているのかもしれない.▲

粉を吹いている個体がすでにいることを考えると,未熟な個体を見ることができるのはとても短い間のような気がします.あと1週間もすれば,全部粉を吹いているかもしれませんね.いずれにせよ,ずっと心のどこかにくすぶり続けていたナニワトンボの未熟個体の探索,やっと答えを出すことができました.

全然別の話ですが,6月4日にキイロヤマトンボを探しに行った時に見た,コヤマトンボのように見えた個体が実はキイロヤマトンボだったことも判明し,いまのところ最近調査していないトンボの調査に成果が出ており,やっと気持ちが晴れたような気がしています.

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▲2025.6.4. キイロヤマトンボ.兵庫県北部.▲

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No. 1033. キイロヤマトンボを見に行った.2025.7.9.

最近あまりにも暑くて,出かける気がしません.前回の報告後アカトンボの羽化を見に行ったりしましたが全く姿がないので写真も0枚.ということで記事にもなりません.そんな中,兵庫県では見るのが難しくなったキイロヤマトンボを,県外へ出て見に行きました.6月4日に県内のかつての産地へ出かけはしたのですが,残念ながら飛んだのはコヤマトンボだけでした.

川の堰堤に砂がたっぷりとたまった流れの上をオスが飛んでいました.久しぶりにキイロヤマトンボを見ました.ただ,オスが飛ぶだけで,写真を撮っても同じようなものばかりになります.また飛ぶのが速いので,ピントがほとんど来ません.成功率1%以下でした.


▲砂がたっぷりとたまった緩い流れの上を飛ぶキイロヤマトンボ.▲


▲トリミングで拡大.キイロヤマトンボのオス.▲

キイロヤマトンボの最盛期はもう過ぎており,シーズン的には終わりに近い状況です.夕方になるとメスが来るかもしれないと言われましたが,県外で遠いですし,午前中で観察を終えました.

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No. 1032. ベニイトトンボ調べと,2025.7.3.

もう梅雨が明けてしまって,今日の外気温は37℃.体温越えです.こんなに暑ければトンボたちも大変だろうなと思いつつも,元気にしているか近所の公園へ見に行ってみることにしました.幸い薄雲が多く直接の日差しはあまり強くありません.ターゲットはベニイトトンボの産卵です.

いやはやトンボたちは暑い日差しの中,元気に活動しています.特に元気なのはチョウトンボとショウジョウトンボ.強い日差しが射す公園の池の上を,なわばりを防衛しメスを獲得するために飛び回っています.メスの方も次々に産卵しに来ています.


▲産卵に来たチョウトンボのメスたち.下はオス型色のメス.▲

シオカラトンボはちょっとバテ気味で,日陰に入っています.コシアキトンボはもともと日陰が大好きなヤツですから日向には遠慮がちに出てきています.ショウジョウトンボは腹部挙上をして太陽と戦っています.


▲オスが仲良く並んで腹部を持ち上げている.ショウジョウトンボ.翅はボロボロ.▲

さて,ねらいのベニイトトンボは,日向で頑張っていました.ただ,まだ時間が早いのか,オスが単独で飛び回っているだけです.キイトトンボも含め,こういう色が派手なトンボたちは,本当に日差しをものともせず日向で活動しています.


▲オスたちは単独で水際の草に止まっている.▲


▲しばらく探すと,産卵しているカップルに出会った.▲


▲運良く,岸に近づいてきた.▲


▲やがて産卵を再開したが,手前の草が邪魔で,引っこ抜こうとしたら産卵を止めた.▲

このペアは岸近くが好きなようで助かりました.もう1ペア産卵していましたが,こちらは岸から離れるように移動していきました.ということでこの子たちに付き合うことに決めました.オスはかわいそうに翅がちょっと傷んでいますね.


▲30分ぐらい待つと,やっとオープンなところで産卵してくれた.▲

ベニイトトンボは37℃の炎天下でも元気で活動していることが分かりました.これで予定は終わりというところですが,そろそろヤブヤンマが出てくるころなので,林の中にぶら下がっていないか見に行くことにしました.暑いときは薄暗い林の中でのトンボ探しが最高です.

ヤブヤンマはぶら下がってはいませんでしたが,薄暗い池の周囲を飛んでいました.オスです.ヤンマがぶら下がりそうな周辺の木の枝をつつくように見回る仕草が観察できました.これきっとメスを探しているんですね.しばらくすると姿が見えなくなりました.どこかへ行ってしまったか,止まったのでしょう.

ほどなくすると,もう1頭ヤブヤンマが入って来ました.黄色い縞模様が見え,今度はメスのようです.少し飛ぶと池に突き出た枝に止まりました.撮影のチャンスです.近づくと飛び立ちました.するとどこかに止まっていたのですね,先ほどのオスが体当たり,メスをつかんだ状態で道ばたに置いてある枯れ枝の束の中に落ちました.そのまま動きが見られなくなりましたので近づいてみると,枝に絡まるように2頭が引っかかった状態でじっとしています.それでもオスはしっかりと交尾をしていました.


▲枯れ枝の束に引っかかった交尾態.2頭にピントが合う角度では細枝が邪魔になる(下).▲

なんとまあ,ちょうど交尾している部分が細枝に引っかかっているようです.これ下手に動くと交尾が外れそうですね.しばらく観察していると,やがて意を決したように飛び立ち,遠くの木の方へと飛び去っていきました.

以前もヤブヤンマのオスがメスを捕まえたとき,木の枝の中に落ち込んだのを見ました.その後交尾が外れたとき,メスがオスの腹部先端に噛みつきました.いやはやオスも体を張った交尾なんですね.

さてこれを見てしまったので,産卵にも来るかもしれないということで,可能性のある場所へ行ってみますと,きちんとメスが産卵にやって来ていました.当たるときは予想がすべて当たるんです.


▲産卵に来ているまだ若いメス.▲

ヤブヤンマのメスはどこで産卵しようか迷っているような飛び方をしていました.こういうときは追いかけてはダメで,じっと池の畔にしゃがんでいるのが正解です.ヤブヤンマに限らず,メスはオスに見つからないように物体の陰に隠れて産卵するのがが好きなのです.つまり私自身がその陰になる物体と化すのです.思惑通り足下に止まって産卵を始めました.こうまで計算が当たるとなんか恐ろしい感じですね.


▲本当に足下すぐで産卵しているので写真にはむしろ撮りにくい.▲

写真を撮りやすいような位置に少し体を動かすと,このメスはさっと飛び上がってしまいました.まだ若いので,敏感なのでしょう.こうなるともう近づけません.次の場所に止まっても,ちょっと動いただけでさっと産卵を止めてしまいます.やがて,オスが入ってきて追い回し,このメスは逃げていきました.

7月3日にヤブヤンマの産卵を観察したのは初めてでした.帰りにウチワヤンマのメスが池の畔で休んでいるのに出会いました.


▲ウチワヤンマのメス.▲

37℃の中,3時間ほどの観察でした.体重が1kg減りました.汗のせいでしょうね.こんな日はこの辺が限度です.

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