No. 1015. タベサナエの確認に.2025.5.4.

オグマサナエに集中し,フタスジサナエばかりやって来て,タベサナエがおろそかになっていましたので,今日はタベサナエの確認に行きました.朝のうちちょっと作業をしていたので,現場に着いたのが10時前でした.ちょっと遅かったか,産卵にやって来たのは1頭だけでした.


▲タベサナエの産卵.▲


▲産卵メスに近づくと不思議と足下に入ってくる.よって真上からアングル.▲


▲首から下を手前に回転させて放卵.▲

オスたちは一ヶ所にじっととどまらず,ちょっと顔を見せては飛び去るといった感じでした.待っていた場所が日陰でしたので,彼らも涼しくてじっとしていられないのかもしれません.


▲ちょっと顔を見せてはすぐにいなくなる.今日は日陰ではちょっと涼しいか..▲

あと待っていても産卵メスは来ず,引き上げることにしました.帰り道,フタスジサナエがシオカラトンボに食われていました.次のシーズンのトンボが現れると,前のシーズンのトンボが食われて減っていきます.あとになるほど体躯の大きいトンボが現れる感じですね.もっともオジロサナエやヒメサナエのような例外はありますが.


▲まだ若いフタスジサナエがシオカラトンボに頭から食いつかれている.▲

あとアオモンイトトンボ,アジアイトトンボを見に行きましたが,ほとんど出ていません.この池今年はちょっと感じが変です.ということで今日は終了.連日フィールドに出てちょっと疲れが出たようです.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1015. タベサナエの確認に.2025.5.4. はコメントを受け付けていません

No. 1014. トラフトンボの産卵.2025.5.3.

一昨日,久しぶりにトラフトンボが活発に活動しているのを見て,産卵のシーンを写真に撮ろうと,今日は他には目もくれずそれだけを求めて観察に出かけました.だいたいトラフトンボは10:00を過ぎたあたりから12:00ぐらいにかけて繁殖活動が活発になるので,朝はゆっくりと出かけました.産卵場所を探す交尾態は5ペアほどやって来ました.また池の上でメスを見つけて交尾になったペアも2ペアほど見ました.交尾は樹木の高いところで行われたため観察は出来ませんでした.産卵場所を探すペアのメスによる卵塊形成もまた,高いところへ上がってしまうようで,なかなかうまくいきません.この池と周辺のつくりがそのような行動を引き起こす構造になっているのかもしれません.

また,交尾が終わって,交尾態で産卵場所を探しに飛び回るペアも,なかなか近いところで旋回することがなく,しかもこの池ではすぐに姿が見えなくなってしまいます.池の周囲に木が生えているので追い続けることができず,なかなか難しい池です.

そんななか,1ペアだけが,視界の開けた場所で,産卵場所探しと産卵をやってくれました.まず産卵場所を決める行動です.このペアは本来の交尾は終了しています.


▲産卵ポイントを探し回り水面を飛び回る交尾態ペア.▲

水面に太陽光が射し,逆光のようになってくらい感じになってしまいました.池の中ほどを飛んでおり,ストロボの光も届いていないようです.


▲産卵ポイントが決まったようだ.そろそろメスを放す時が来た.▲


▲産卵ポイントの上でオスがメスを放し始めた.まだつながっているが交尾は切れた.▲


▲オスがメスを放した瞬間.下がオスで上がメス.▲


▲オスはメスに寄り添うようにして飛ぶ.本当は,多分逃がさないようにしている.▲


▲放されたメス(左)は卵塊形成に必要な水分を含ませるためか,必ず一度打水する.▲


▲打水したメス.実はこのメスはこのあともう一度打水した.▲

打水したメスは一気に樹木の高い位置に飛び上がり,見えなくなりました.卵塊形成はやはり見られませんでした.ただ,このメスは目の届くところで打水して卵塊形成に移行したので,多分ここに降りてくるでしょう.待つしかありません.

待つこと6分あまり.目の前に卵塊を付けたメスが産卵に訪れました.しばらく確認のため周辺を旋回します.


▲いっぱいにふくらんだ卵塊を腹部先端に抱え,打水ポイントを見極めるメス.▲


▲どうやら打水ポイントが決まったようだ.少しの間停止飛翔する.▲

トラフトンボの打水産卵は,チョンと打水する感じではなく,水面を引きずるように移動して卵塊を水中へと放ちます.放たれたカエルの卵のような卵塊は,水中の植物の茎などに絡みつきます.


▲放卵が始まりました.このあとこのままの状態で少し前に進みます.▲


▲少し前に進みました.体を起こし,そろそろ水面を離れる準備をしている.▲

毎秒6コマの連写をしていますので,2コマにしかこの状態が写っていませんので,長くとも3/6秒,つまり0.5秒程度で打水は終わったことになります.


▲打水が終わると急旋回して水面から遠ざかっていく.▲

一枚一枚の写真では連続性があまりはっきりとしませんので,上の4枚を重ねて処理してみました.


▲水面を少し引きずっていることが分かる.▲

こうやって卵塊を引き延ばすようにしてひも状にし,水中の植物の茎などに絡みつかせるのですね.


▲トラフトンボのひも状の卵.2013.5.6. 別の池にて.▲

今日は少し離れたところで産卵したので写真がもう一つ鮮明ではありませんが,なんとか説明できるほどに彼らの産卵行動が記録できました.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1014. トラフトンボの産卵.2025.5.3. はコメントを受け付けていません

No. 1013. トラフトンボとヨツボシトンボ.2025.5.1.

今日は,昨日訪れた池へ,トラフトンボの卵塊づくりの撮影にチャレンジしに行きました.トラフトンボが数飛ぶ池で写真が撮れそうな池はあまり多くはありません.昔,通っていた定点池が完全に改修されて環境が激変したため,新たな観察地を探していたところでした.すぐ間近にトラフトンボが飛ぶ姿が見られ,それなりに数も多いので,きっと交尾態で飛ぶペアが見られるでしょう.

現地には9:20くらいに入りました.まだどことなくひんやりしていましたが,春のトンボにはちょうどいいくらいでしょう.すでにヨツボシトンボは活発に活動をしていました.トラフトンボも元気に飛び回り,他のオスやヨツボシトンボオスともバトルを繰り広げていました.飛んでいるトラフトンボを撮りながら交尾態を待つことにしました.


▲池面を飛び回るトラフトンボのオス.▲

オスはあちこち向きを変えて飛び回るので,なかなかうまく撮ることができませんが,それでも何枚かはピントが来ました.全部で10頭近くが飛んでいました.


▲旋回する時,頭部はそのままの位置で,首から下だけを回転させる.▲

トラフトンボの交尾態は,のべ6回入って来ました.しかし短時間飛び回って,植生の陰に入ったかと思うと,姿が見えなくなりました.結局オスがメスを放す瞬間を見ることができず,卵塊形成の観察はお預けになりました.こればかりは運に左右されますので,仕方がありません.辛抱強く通えば,いつかは当たるでしょう.

トラフトンボを待つ間,ヨツボシトンボが数回産卵に訪れました.ただ水際から一段高い位置から見下ろすような場所で産卵しますので,あまりうまく狙えません.


▲足下の方向で産卵するヨツボシトンボのメス.▲


▲ハリガネムシが肛門から出ているヨツボシトンボのメス.▲

メスが産卵する時オスは警護します.少し離れたところでホバリングすることが多いです.単独でメスを待っている時のオスは1秒程度しかホバリングしませんのでなかなか写真に撮れませんが,警護中のオスは比較的長時間ホバリングしてくれるので,写真に撮れます.


▲少し離れた位置で産卵メスを警護するオス.▲

この池には水際がなだらかでスゲ類が生えているところがあって,ここで産卵するメスがいたので,横の向きを撮ることができました.


▲なだらかな岸辺で産卵するヨツボシトンボのメス.▲

オスたちは岸辺でバトルを繰り返しています.オスは確実に10頭以上いました.そんな中で1頭だけ翅が黄色く光る個体がいました.プラエヌビラ型か?とも思いましたが,ふつうの個体でした.上のホバリングするオスがそれです.下のオスはそれと同じ個体です.


▲飛んでいると翅が黄色く輝いていたが,こうやって見るとふつうの個体だ.▲

さて,こんな感じで,トラフトンボとヨツボシトンボとで賑やかな,暖かい春の午前でした.そうそう,多分昨日と同じ個体のオグマサナエが,ずっと一緒でした.


▲フタスジサナエに混じって孤独にメスを待っているオグマサナエのオス.▲

今夜からは天気が崩れるようで,雨が降ったあと,曇天の後の晴れこそが産卵の狙い目です.オグマサナエとトラフトンボをまた見に行くことにしましょう.

今日見たこれら以外のトンボは,フタスジサナエ多数,ハラビロトンボ3頭,クロスジギンヤンマメス1頭,ホソミオツネントンボ1頭,クロイトトンボ多数,などでした.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1013. トラフトンボとヨツボシトンボ.2025.5.1. はコメントを受け付けていません

No. 1012. 春のトンボが出そろった感じ.2025.4.30.

今日も昨日に続いてオグマサナエの産卵を見に行きました.結果はダメでした.なかなか手強いというか,数が少ないのでしょうね.もっと早朝に行く必要があるかもしれません.今日もやって来たのはフタスジサナエ.2回産卵にやって来ました.


▲フラスジサナエの産卵.9:30くらいである.▲


▲やはり産卵途中で止まる.▲


▲今日,2回目の産卵.▲


▲フタスジサナエは比較的動きが少ないので追いやすい.▲


▲メスは日陰で産卵するのに,オスは日向にいる.フタスジサナエのオス.▲

目的は果たせそうになかったので,タベサナエを見に行くことにしました.でも時間がもう11:00になっており,タベサナエは,オスたちが活動しているのを見ただけでした.


▲タベサナエオスのもぐもぐタイム.▲

オスは,縄張り活動をしている時にも,目の前を餌が飛ぶとパッとくらいつきます.また,私がそばを通ると,ヤマサナエがそうするように,飛び上がってホバリングします.様子をうかがっているのでしょう.


▲飛び上がってホバリングするタベサナエのオス.▲


▲もうお昼が近いためか,休んでいるオスもいた.タベサナエ.▲

今日はオグマサナエのオスもあまり入って来ず,1頭がちょっと顔を見せただけでした.


▲産卵ポイントに顔を見せたオグマサナエのオス.▲

こんな感じで午前中の観察を終えました.今日は一日中快晴で,気温はやや低い感じです.春のトンボにとっては,夏日は暑すぎるようで,今日のように22℃ぐらいがちょうどよいように見えます.そこで,お昼からもまだ大丈夫だろうと,先日フタスジサナエの羽化をたくさん見た池に行くことにしました.

池に着くと,ヨツボシトンボが飛び,トラフトンボも水面上をすいすいと飛行していました.トラフトンボは5頭程度,ヨツボシトンボは10頭以上オスが活動していました.トラフトンボのオスがメスを捕らえ樹林の方に飛び去るのを見ました.これが帰ってくるのを期待しながら,トンボの観察を続けました.


▲ヨツボシトンボは池の周囲に止まり活動をしている.▲

この池はヨシやガマなどの抽水植物は生えていませんが,ヨツボシトンボの数は多いようです.彼らはあまり気にしないのでしょうか.


▲トラフトンボが水面を行き交う.まさに春ですね.▲

ヨツボシトンボやトラフトンボが飛び交う姿は,春の盛りを感じさせます.それにしても,20世紀末ころに比べて,トンボの活動時期が早まっているような気がします.こういう姿は5月の連休あたりに見られるものでした.まあ,数日早いだけですけど.


▲水面ではクロイトトンボたちがたくさん繁殖活動をしていた.▲


▲オツネントンボの姿もまだ見られた.メス.▲


▲池の周辺ではハラビロトンボが成熟を待っていた.▲


▲フタスジサナエはもちろん数多く見られた.▲

先日ここを訪れた時,どうもオグマサナエらしい羽化殻を見ました.実は今日それを確かめたいというのも目的の一つでした.止まっているコサナエ属一つひとつを確認しながら歩いていると,おやっと思う個体を見つけました.


▲オグマサナエらしい個体.腹部背面の淡色条が長く伸びる.▲

フタスジサナエは,腹部背面の淡色条が,腹部第6,7節くらいになると,伸びずにほぼ点になります.この個体は長く伸びています(矢印).これはオグマサナエの特徴です.タベサナエもほぼ点です.上の方の写真で比べてみてください.あと胸の横の黒条を確認できれば文句なしです.ただ止まっている位置が悪く,うまくのぞき込めません.なんとか池にはまらないように注意しながら撮ってみました.


▲黒条は1本,でも何か黒い点が見えたりして...▲

黒条は1本のように見えましたが,なんか汚れが付いているのか,2本が消えかけているようにも見えます.どうもすっきりしないのですが,一度飛んで止まる場所を変えた時,尾部付属器上の突起を確かめてみました.


▲尾部付属器上に突起が確認できる.オグマサナエである.▲

ずいぶんと手間がかかりましたが,やはりこの池にはオグマサナエがいました.あと写真にはなりませんでしたが,クロスジギンヤンマが飛んでいました.ということで,今日の観察を終えました.14:00でした.そうそう,交尾態で飛んでいったトラフトンボのペアは,時間内には戻ってこなかったようです.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1012. 春のトンボが出そろった感じ.2025.4.30. はコメントを受け付けていません

No. 1011. フタスジサナエの産卵.2025.4.29.

今日は,北海道では雪が降ったくらいで,とても涼しいというか肌寒い朝でした.太陽は顔を出していて日向では温かいので,オグマサナエの産卵を観察しに行きました.現地の産卵ポイントは日陰になっているので,じっと立って待つわけですが,風も冷たく,セーターを着ていて正解でした.ちなみに車の外気温計では,日陰では14℃を表示していました.

さて,到着したのは9:20くらいで,産卵ポイントで待つ作戦にしました.すると5分もしないうちにメスが入って産卵を始めました.産卵ポイントに立っているので,メスは足下で産卵しています.人を物陰のように感じているのでしょうね.長靴のまわりで産卵しています.ただメスはフタスジサナエでした.


▲足下で産卵するので上から見下ろしたアングルになってしまう.フタスジサナエのメス.▲


▲フタスジサナエの産卵メスは,途中でよく止まる.▲

フタスジサナエは産卵の途中でよく静止します.休憩なのか,卵塊をつくっているのか,とにかくよく止まります.しばらくするとまた産卵再開です.


▲今度は私も少ししゃがんで,産卵を観察できる位置に態勢を整えた.▲


▲再び静止.▲


▲少し離れていって,そのまま逃げていった.▲

2回目の産卵はすぐに終わりましたが,これは逃げたメスが帰ってきた可能性もあります.しばらくすると,またメスが入ってきました.残念ながらまたフタスジサナエでした.


▲このメスもやはり止まる.▲

この3回目の産卵のあとも,すぐに次のメスが入ってきましたが,これも非常に短時間で産卵を終えました.きっと,上と同じメスが戻ってきたのでしょう.しばらくするとまたメスが入ってきました.やはりフタスジサナエです.


▲翅の先が少し傷んでいて,前の個体とは違っている.▲

このメスもすぐに産卵を終えて飛び去りました.今日見たのべ5頭のフタスジサナエは,いずれも淡色部が黄色で,新鮮な感じがします.今日は気温が低いせいか,オスたちは日向にあまり出てきていません.そんな中,足下に1回だけオスがやって来て止まりました.


▲フタスジサナエのオスが,様子を見にやって来た.▲

しばらくすると雲が太陽をさえぎり,ますます寒くなってきました.これではだめだということで,近くをうろつきました.タベサナエのオスが小さな流れの畔に止まってメスを待っていました.またシオカラトンボの未熟なメスが日向に止まっていました.シオカラトンボも新鮮なうちは体がみずみずしく輝いています.あとフタスジサナエのオスが地面にペタッと止まっていました


▲流れでメスを待つタベサナエのオス.▲


▲新鮮なシオカラトンボのメス.▲


▲まだ未熟な感じのフタスジサナエのオス.▲

ということで,あまりねばることはせず,オグマサナエはまた次の機会をねらうことにしました.上記以外にはシオヤトンボを1オス2メスほど見かけました.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1011. フタスジサナエの産卵.2025.4.29. はコメントを受け付けていません