カトリヤンマは,一年の最後を飾るヤンマです.主に水田の生活者で,同じく水田の生活者であるアキアカネと同様,この20年ほどで激減しました.県外のある生息地では,今でも,多数のナツアカネ,ホソミオツネントンボに混じって,カトリヤンマの幼虫がうじゃうじゃ採れる所があります.ここは私有地内の水田で,まったく薬剤を使っていません.やはりカトリヤンマの減少に,薬剤の影響を疑わずにはいられません.
水田の縁で産卵をし,幼虫は水が入った水田の縁に生える草や泥の中にもぐりこんでいます.稲に着いた羽化殻を観察したこともあります.水田以外では,水をほとんど落として底にひび割れができるようなため池に,秋に集まって産卵をしていることがあります.これは,ふつうのため池でときどき幼虫が採れることからも,うかがい知ることができます.
カトリヤンマは,かつては盛夏の黄昏時に地面すれすれのところを無数の個体が飛び,立っていると足に当たるくらいでした.黄昏飛翔にヤンマを採集に行ったトンボ屋も,カトリヤンマは無視して,マルタンヤンマやヤブヤンマばかり採っているといった感じで,あまりに当たり前にいたトンボでした.次のような観察記録があります.
1990.9.11.「田圃の広がっている谷筋にため池が3つ続いていて,その横の雑木林の中に水路がある.この薄ぐらい水路に沿って多数のカトリヤンマが潜んでいた.歩くとあちこちから飛び出した.」
しかし,これほどたくさんいたカトリヤンマは,知らぬ間にほとんど姿を消してしまいました.今では,生息地に何日も出かけて,やっと出会えるといった程度になっています.トンボ歳時記を始めてからの出合いはわずかしかありません.
カトリヤンマは,6月の記録もありますが,多くは7月に羽化します.神戸市内での採集例では,6月下旬の終齢幼虫はまだ翅芽がうすっぺらく,すぐに羽化するようには見えません.また自宅羽化の記録はすべて7月に入ってからでした.羽化した成虫は樹林にもぐり込んで,うす暗いところで未熟な期間を過ごします.この時期には,夕方の摂食飛翔が盛んで,他の黄昏ヤンマより遅くまで活動しています.
カトリヤンマの消長図を見ると,秋に現れるアカネ属やアオイトトンボ属のそれと大きく違って,未熟な時期である7,8月にも非常に多くの発見例があります.これは,樹林にもぐり込んでいるカトリヤンマが割合多く発見されることや,夏の黄昏時に飛ぶ個体を多く見ることができるからだと思われます.
水田の縁で産卵をし,幼虫は水が入った水田の縁に生える草や泥の中にもぐりこんでいます.稲に着いた羽化殻を観察したこともあります.水田以外では,水をほとんど落として底にひび割れができるようなため池に,秋に集まって産卵をしていることがあります.これは,ふつうのため池でときどき幼虫が採れることからも,うかがい知ることができます.
カトリヤンマは,かつては盛夏の黄昏時に地面すれすれのところを無数の個体が飛び,立っていると足に当たるくらいでした.黄昏飛翔にヤンマを採集に行ったトンボ屋も,カトリヤンマは無視して,マルタンヤンマやヤブヤンマばかり採っているといった感じで,あまりに当たり前にいたトンボでした.次のような観察記録があります.
1990.9.11.「田圃の広がっている谷筋にため池が3つ続いていて,その横の雑木林の中に水路がある.この薄ぐらい水路に沿って多数のカトリヤンマが潜んでいた.歩くとあちこちから飛び出した.」
しかし,これほどたくさんいたカトリヤンマは,知らぬ間にほとんど姿を消してしまいました.今では,生息地に何日も出かけて,やっと出会えるといった程度になっています.トンボ歳時記を始めてからの出合いはわずかしかありません.
カトリヤンマは,6月の記録もありますが,多くは7月に羽化します.神戸市内での採集例では,6月下旬の終齢幼虫はまだ翅芽がうすっぺらく,すぐに羽化するようには見えません.また自宅羽化の記録はすべて7月に入ってからでした.羽化した成虫は樹林にもぐり込んで,うす暗いところで未熟な期間を過ごします.この時期には,夕方の摂食飛翔が盛んで,他の黄昏ヤンマより遅くまで活動しています.
カトリヤンマの消長図を見ると,秋に現れるアカネ属やアオイトトンボ属のそれと大きく違って,未熟な時期である7,8月にも非常に多くの発見例があります.これは,樹林にもぐり込んでいるカトリヤンマが割合多く発見されることや,夏の黄昏時に飛ぶ個体を多く見ることができるからだと思われます.