アオヤンマは兵庫県ではもっとも絶滅が危ぶまれるトンボの一つです.1990年代前半頃には,神戸市内でも10カ所ほどの生息地を見つけていました.小さな一つの池に30頭近くが飛んでいるところもありました.神戸市外の兵庫県下に目を向けると,私が知っているだけでこれに7カ所ほどの生息地が追加されます.さらに文献記録を見るとこれらとは別に20カ所あまりの生息地が記録されています.このころは,写真1のように,ヨシやマコモが密生している池を見つければ,必ずそこにアオヤンマが飛んでいたというほど,比較的見つけやすいヤンマでした.
しかしこれらの生息地のほとんどから,現在姿を消しています.兵庫県下を非常によく調査されている友人の私信でも,2011年以降の記録は皆無です.現在知りうる生息地は1カ所だけ.ここも生息地の状態はよくありませんので,いなくなる可能性は高いです.ベッコウトンボ,マダラナニワトンボに次いで,兵庫県から姿を消すトンボになりそうな予感がします.
アオヤンマの本来の生息環境は,おそらく川の河口周辺に広がる,低湿地のようなところや,氾濫原にできた浅い池のようなところではなかったかと思います.高標高地には記録がありません.その名残か,1990年頃の神戸市の生息地は,ほとんどすべてが平地や丘陵地の住宅街の中に取り残された池でした.そういったところにしがみつくように生活していました.面白いエピソードがあります.住宅街のまっただ中の池で,アオヤンマを捕獲しようと網を振ったら,網の枠がアオヤンマの体に当たり,失敗しました.ふつうならトンボは池から飛び出して逃げていくところです.しかし,このアオヤンマ,いったんは高く飛び上がりましたが,まわりは家ばかり,行くところがないと判断したのか,また池に舞い降りてきました.生息地が分断化され孤立化していると感じた出来事でした.
しかしこれらの生息地のほとんどから,現在姿を消しています.兵庫県下を非常によく調査されている友人の私信でも,2011年以降の記録は皆無です.現在知りうる生息地は1カ所だけ.ここも生息地の状態はよくありませんので,いなくなる可能性は高いです.ベッコウトンボ,マダラナニワトンボに次いで,兵庫県から姿を消すトンボになりそうな予感がします.
アオヤンマの本来の生息環境は,おそらく川の河口周辺に広がる,低湿地のようなところや,氾濫原にできた浅い池のようなところではなかったかと思います.高標高地には記録がありません.その名残か,1990年頃の神戸市の生息地は,ほとんどすべてが平地や丘陵地の住宅街の中に取り残された池でした.そういったところにしがみつくように生活していました.面白いエピソードがあります.住宅街のまっただ中の池で,アオヤンマを捕獲しようと網を振ったら,網の枠がアオヤンマの体に当たり,失敗しました.ふつうならトンボは池から飛び出して逃げていくところです.しかし,このアオヤンマ,いったんは高く飛び上がりましたが,まわりは家ばかり,行くところがないと判断したのか,また池に舞い降りてきました.生息地が分断化され孤立化していると感じた出来事でした.