■見分けのチェックポイント
羽化殻全長20mm前後.表皮は硬くざらざらしている.触角は通常5節からなる.下唇中片には明瞭な中央欠刻が見られる.下唇側片上に側刺毛はない.第7−9腹節に先端の円い側棘がある.ただし第7節のものは側縁部の広がりのように見える.第10腹節は第9腹節に囲まれるように位置している.肛上片は三角形でその基部横に短い尾毛が接している.肛側片は,背腹方向にぶ厚く左右方向には薄くなっていて,断面は腹面を底辺とする三角形である.原産卵管の先端は第10腹節に届かない.
■分布と類似種
北海道,本州,四国,九州に分布し,隠岐にも分布する.ただし千葉県では見つかっていない.独特の外観で,類似種はいない.
■生態
水量がたっぷりとある河川の源流域に生息している.カワゲラのように流れの石にへばりついて生活している.そのせいか,岩に密着しやすいように腹部腹面がゆるく内側に湾曲している.幼虫期間は長く,5−8年もかかるという報告がある(田原,1984).羽化が迫った終齢幼虫は,羽化の約1ヶ月前には水から出て,林床の落ち葉や石の間に潜り込んで陸上生活をする.兵庫県では4月中下旬に羽化をする.羽化は流れから数m以上離れた場所で行われることが多く(写真),流れに沿った登山道で見られることもしばしばである.