オニヤンマ科は,以前はオニヤンマ亜科とミナミヤンマ亜科に分けられていたが,ミナミヤンマ亜科を科に昇格させたため,日本産のオニヤンマ科には,オニヤンマとヒロオビオニヤンマの2種が含まれるだけである.ヒロオビオニヤンマは石垣島と西表島にのみ分布し,沖縄本島以北の地域に生息するものはすべてオニヤンマである.なお沖縄本島と石垣島の間の島々には,オニヤンマ科のトンボは分布していない.
01.オニヤンマ科の幼虫はミナミヤンマ科の幼虫と似ているので(右図),次の2点で区別するとよい.まず側刺毛の数が異なり,通常,オニヤンマ科は6本,ミナミヤンマ科は4本である(a).また,オニヤンマ科の幼虫には第8,9腹節に小さな側棘が認められるが,ミナミヤンマ科にはそれが認められない.細長い体形はヤンマ科に似ているものの,オニヤンマ科は下唇がスプーン状で顔の下半分をマスクのように覆っており(b),板状の下唇を持つヤンマ科(c)とは明らかに異なる.さらに,オニヤンマ科は翅芽がハの字に広がっている(右図).