ムカシトンボは源流域に棲んでいて,流畔に生えているフキやジャゴケに産卵する.よって源流域に産卵のために植物が生えていることが生息の必要条件となる.一般的に源流域の水温は低く,また曝気されることが多いので,溶存酸素量も高い.ムカシトンボの幼虫の腹側は石のカーブに沿って曲がるようになっていて,小さな幼虫は写真のように石によくくっつく.おそらくこういったところで,カゲロウやカワゲラの幼虫をつかまえて生活しているものと思わる.幼虫期間は非常に長く,飼育によると5〜8年といわれている.

図1.ムカシトンボの生息環境.

図2.流れの石にはりつくように歩くムカシトンボの幼虫.

図3.林の中の羽化殻(矢印).
羽化一カ月くらい前には水から出て陸上で生活し林の中などで羽化する.
羽化一カ月くらい前には水から出て陸上で生活し林の中などで羽化する.

図4.ジャゴケを始め,様々な植物に産卵する.