No. 1025. 続々イトトンボ探索.2025.6.4.

何か,やり出したら止まらない性格というか,また今日もマクロレンズを片手にイトトンボ探索に出かけました.今日はモートンイトトンボです.モートンイトトンボは,兵庫県ではもっとも小さなイトトンボの一つです.これをクローズアップでうまく撮れるか,細部が綺麗に表現されるかといったことを試そうというわけです.確実に出会うために兵庫県北部へ行ってみました.今年はたくさんモートンイトトンボが発生していました.


▲モートンイトトンボのオス.複眼にピントを合わせると脚先が被写界深度外になる.▲

このオスは,少し離れたところから撮っていて,まだ最接近ではありませんが,それでも被写界深度の浅さが撮影を難しくしています.


▲モートンイトトンボの成熟メス.ほごトリミングなしといってよい.▲


▲メスの未熟.▲

細部までかなりはっきりと見える写真になっています.ふつうのズームレンズですと,かなりトリミングして大きくするために画像が粗くなって,それが写真の解像感を損ねることになります.本当のところ三脚を使ってマニュアルでピントを合わせ被写界深度内に全身を収めるのが理想なのでしょうが,植物を撮影するようなわけにいかないのがトンボの難しいところです.

オオイトトンボを見つけましたので,それも撮ってみました.


▲オオイトトンボのオス.▲


▲オオイトトンボのメス.▲

イトトンボのなかまは拡大してみるとその美しさが際立つので,マクロレンズの映像は気に入っています.さて,この撮影現場に行く途中で,道路に止まっていたホンサナエのメスに出会いました.


▲ホンサナエのメスがいた.▲

これはかなり離れたところから撮影し,トリミングしたものです.結構シャープに写っています.たったこれだけですが,当初の目的は達することができました.

あと時間があったのでヒヌマイトトンボを見に行きました.さすがにまだ出ていませんでした.老熟したシオヤトンボがいましたので,複眼を大きくクローズアップして撮ってみました.ただちょっと老熟しすぎていて,マリンブルーから少し彩度が落ちた色になっていました.写真はかっちり写っていました.


▲シオヤトンボの老熟オス.▲

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1025. 続々イトトンボ探索.2025.6.4. はコメントを受け付けていません

No. 1024. 続イトトンボ探索.2025.6.1.

前回アジアイトトンボを見つけることができなかったので,今日午後晴れ間が出たのを幸いに,再びアジアイトトンボの探索に出かけました.最初の池ではアジアイトトンボは見かけず,モノサシトンボがいました.メスはまだ脚が赤くなっていないようでした.


▲モノサシトンボの未熟なメス.▲

次は今日の本命です.毎年のようにアジアイトトンボを見ています.ところが池に着いてびっくり.太陽光パネルが池に敷設されていました.この池は秋にはオオキトンボが飛ぶ池です.どうもオオキトンボが飛ぶ池によく太陽光パネルが設置されるようです.これで4カ所目です.オオキトンボの敵は外来魚や薬剤等の水質汚染などではなく,太陽光パネルかもしれません.遠浅で植生がある程度ある池がねらわれているようです.遠浅はパネルを設置するには都合よく,植生はため池の運用には邪魔者ですから,一石二鳥なのかもしれません.まあ,池の四分の一程度の面積でしたので,他の池の状況から見て,秋にオオキトンボはやってくるかもしれません.

さて,肝心のアジアイトトンボですが,いました.


▲アジアイトトンボのオスとメス.▲

今日も単焦点のマクロレンズを使っています.下のメスなどはほとんど記録サイズと同等です.ただ難しいのはフォーカス面に全身を入れるためには,アングルが限られてしまうことです.同じような写真ばかりになってしまいます.


▲アジアイトトンボのオスとメス.▲

次の写真はアオイトトンボがたくさん羽化していた池で,ちょっとマクロレンズの特長を出させるような写真を撮ってみました.


▲アオイトトンボの未熟なオス.胸側に粉を吹いていない.▲


▲頭部と胸部をトリミングにより拡大してみた.▲

均翅類の顔面をこれほどシャープに撮れるのは,さすがマクロレンズです.このレンズ優れものですね.

ということで,やっとアジアイトトンボに出会えたわけですが,アジアイトトンボを見つけるのに二日間かかるなんて,ちょっと考えられません.トンボの減少は知らぬ間に各地に広がっているように思えます.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1024. 続イトトンボ探索.2025.6.1. はコメントを受け付けていません

No. 1023. イトトンボ探索.2025.5.28.

今日は午後から曇ってくるとの予報で,遠くへ行くのはやめて,近隣でイトトンボ類を探しに行くことにしました.目標はアジアイトトンボを見つけることです.先日ダビドサナエに会いづらくなったことを書きましたが,イトトンボ類ではアジアイトトンボに出会いにくくなっている気がします.そこで,過去にアジアイトトンボの記録があったところを中心に回ることにしました.あわせて今日はレンズを変えマクロレンズで小さなイトトンボを大きく撮ることを試してみました.

まずは近所の公園に行ってみました.ここはクロイトトンボが多いところです.案の定クロイトトンボはたくさん飛んでいましたし,まだまだ羽化が続いていました.


▲スイレンの葉の上で羽化するクロイトトンボ.▲

すぐ向こう,タンデムになったペアが,一生懸命移精行動に移ろうとしていました.しかしこのオス,移精行動に移るのが下手なんですね.何度もやり直ししています.


▲すぐ向こうで移精行動に移ろうとしているペア.▲

今日は105mmのマクロレンズなので,上の写真はかなり小さいのをトリミングしました.しかし観察していると近づいてきましたので,思い切り寄って撮ってみました.


▲移精をしようとしているクロイトトンボのペア.▲


▲移精行動に成功したように見えたが,実はすぐに離れてやり直しした.▲

やはり単焦点レンズはシャープに写ります.ただ,上の下の方の写真,オスが少しこちらに動いたため,ピントがわずかにずれました.上の方の写真はオス・メスともピントが来ています.マクロレンズでぐーんと寄って撮影するとき,被写界深度がとてもシビアに影響を与えてくることが分かりました.イトトンボの場合,ほぼ真横から撮影をしないと,全身が被写界深度内に入らない感じです.マクロ撮影のとき三脚を使う理由が分かりますね.ただトンボ撮影には無理ですけど.ちなみにこの写真 f7.1,1/1600,ISO800 でシャッターを切っています.

少し移動すると,フタスジサナエがまだ頑張っていました.これもマクロレンズで撮ってみることにしました.いやはや画面いっぱいに入ります.なんせ等倍撮影ができるので,最短で撮影するとフタスジサナエが画面からはみ出てしまいます.撮ってみて,やはり腹部先端にピントが来ていません.撮影する角度が若干悪いんですね.難しい.


▲活動するフタスジサナエのオス.▲

クロイトトンボに混じって,アオイトトンボが羽化をしていました.角度が難しいことが分かってきたので,今度は注意してライヴビューにして羽化している位置と同じ高さのローアングルで撮ってみました.


▲アオイトトンボのメスの羽化.別アングル写真の産卵管の形状で判断.▲

やはりトンボが被写界深度内に入ると,すみずみまでシャープに写ります.いつもはズームレンズで撮っていて,ロング端で撮ると周辺がどうしてもぼけてしまうのですが,それがあまり目立ちません.これは癖になりそうですね.

ここはこれくらいにして次に行くことにしました.次はアジアイトトンボがいた池ですが,アジアイトトンボには出会えませんでした.いたのはアオモンイトトンボばかり.まだ朝の時間帯なので,あちこちで交尾をしています.


▲あちこちで交尾しているアオモンイトトンボたち.▲

全体を被写界深度内に収めるため,例によってライヴビューでローアングル撮影を行いました.この写真で気づいたのは,寄りすぎるとストロボの光がまわらないということです.上の3枚の内,真ん中の写真は少し離れて撮っていますので,ストロボの光がまわり,影が消えています.あとの2枚はかなり寄ったので,ストロボの光が回っていなくて,太陽の影がトンボにはっきりと出ています.むしろこちらの写真の方が自然でいいという感じもしますが,まあ好みの問題かもしれません.

それにしてもアジアイトトンボがいませんので,次の池に行くことにしました.ここも最近アジアイトトンボが減っているように感じている場所です.


▲いたのはアオモンイトトンボばかりだった.これはメス.▲


▲ここにはセスジイトトンボが1頭だけ見られた.▲

やはりアジアイトトンボには出会えませんでした.本当にアジアイトトンボはどうしていないんでしょう?.次に行くことにしました.ここでは,モノサシトンボやキイトトンボなど,イトトンボ類の数がかなり多いところです.


▲うまく被写界深度内に入ると,こういう角度でも全身にピントが来る.▲


▲モノサシトンボの未熟なオス(上)とメス(下).メスは少し角度が悪い.▲


▲キイトトンボもたくさんいたが,まだ未熟な個体がほとんどだった.▲


▲数は減ったものの,フタスジサナエもまだ元気に活動していた.▲

あと,クロイトトンボがいましたが,アジアイトトンボは姿がありませんでした.まだ空は晴れていますので,もう一つ別の公園へ行ってみることにしました.ただ,ここは惨憺たる状態で,イトトンボ類が全くいませんでした.この公園の一つの池は,以前茂っていた沈水・浮葉植物がほとんど姿を消しました.多分アメリカザリガニです.そしてウシガエルがたくさんいて,トンボを捕食しています.ヤブヤンマにさえ食いついているのを見たことがあります.産卵基質を失い,わずかに残された産卵基質で産卵していた個体はカエルに集中攻撃されたのかもしれません.広い自然公園で池も複数ありますが,この時期にまったく均翅類がいないというのは明らかにおかしいです.フタスジサナエとシオヤトンボなどがいました.


▲すっかり黄色みが取れたフタスジサナエのメス.▲


▲日陰にはシオヤトンボが止まっていた.▲

ということで,空腹でふらふらしてきましたし,それに雲がかかり始めましたのでここまでとしました.今日はマクロレンズを使って,その良さと同時に撮影の難しさを感じることができました.ただ小さなイトトンボ類は,画面いっぱいに撮影できることによってディティールが潰れずに写るので,今後もうまく利用していきたいと思いました.

それにしても,半日歩き回ってアジアイトトンボに出会えない.先日のダビドサナエといい今日のアジアイトトンボといい,普通種のトンボに気を配らないといけないと感じます.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1023. イトトンボ探索.2025.5.28. はコメントを受け付けていません

No. 1022. アオヤンマの確認.2025.5.27.

今日はアオヤンマの確認に出かけてきました.アオヤンマは数頭のオスが飛んでいるのを確認できました.兵庫県下では激減していますので,この産地は貴重です.


▲抽水植物の間をパトロールするアオヤンマ.▲

ここではまだヨツボシトンボが元気に活動していました.


▲ヨツボシトンボは軽く10頭以上いた.▲

林縁ではコシアキトンボたちが摂食飛翔をしていました.春のトンボから夏のトンボへの移り変わりが始まったようです.


▲摂食飛翔するコシアキトンボのオス.▲

散歩がてらよった場所ですが,トンボたちは確実に季節を進めているようでした.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1022. アオヤンマの確認.2025.5.27. はコメントを受け付けていません

No. 1021. ダビドサナエを探して.2025.5.23.

ダビドサナエはもっともふつうなサナエトンボの一つだ,という意識がありました.過去形で書いているのは,かつて私は幼虫をすくって調査をしていましたので,どこの川でも網に数多く入るからでした.しかし,私の過去の記録を見てみると,フタスジサナエなどと比べてみると,成虫があまり記録されていません.さらに最近はダビドサナエの姿を見る機会がほとんどないことが,気になっています.

そこでダビドサナエの成虫を探しに出かけることにしました.過去に記録のあるところを4ヶ所まわってきました.まず第一の場所では,ヤマサナエ,アオサナエ,ミヤマカワトンボ,ニホンカワトンボがいました.ダビドサナエは姿が見られませんでした.


▲ヤマサナエのオス.▲


▲アオサナエのオス.▲


▲ミヤマカワトンボのメス.▲

そこそこのトンボがいるのに,かつては複数いたダビドサナエがいないのは変な感じです.第二の場所はこの場所のさらに上流です.しかしシオヤトンボがいただけで,サナエトンボの姿はありませんでした.やはりダビドサナエには会えません.

第三の場所は,かつてダビドサナエの産卵を撮影した川です.しかし川にはラン藻がたくさん生えていて,なんかかつて訪れたときのような清流の感じがしません.いたトンボも,アオサナエが1頭,ミヤマカワトンボが1頭だけでした.ここはダビドサナエ,ヤマサナエ,ミヤマカワトンボ,ニホンカワトンボがたくさんいた場所です.でもダビドサナエはもちろん,今はほとんどが姿を消していました.

最後に,ダビドサナエ成虫をまだ見ていない場所を選びました.ここはヒメサナエをよく見に来る場所です.ここでやっと2頭のオスを見ることができました.


▲2頭のダビドサナエのオス.▲

この状態がふつうなのか,かつてより数が減っているのか,まだはっきりとしません.ただ,以前は見ようと思えば成虫を見つけることはそれほど難しくないトンボでした.最近普通種と思っていたトンボがいつのまにか数が減っているということがあります.ノシメトンボなどはそのよい例です.ダビドサナエ,今後もちょっと注意してみていく必要がありそうです.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 1021. ダビドサナエを探して.2025.5.23. はコメントを受け付けていません