No. 958. ヨツボシトンボの産卵活動.2024.5.5.

今日のターゲット観察種はヨツボシトンボです.以前よく観察に出かけていたヨツボシトンボの池が工事によって完全に改修され,しばらく水のない状態で置かれ,現在植生も何もない池になってしまいました.2020年にそこでビデオを撮ったのが最後で,新しいヨツボシトンボの観察場所を探していました.今回見つけた場所はヨツボシトンボが10~20頭ほど飛んでいて,十分繁殖活動観察が期待できるところです.


▲ヨツボシトンボのオス.10頭以上が飛び回っていた.▲

朝の8:30頃に現地に入り,観察を始めました.9:00過ぎ,対岸にメスが入りました.あちらにすればよかったかとちょっと後悔….しかしすぐに私の待つ側にもメスが入りました.岸に沿ってヒメガマが刈り取られ,細い水路のようになっているところです.メスはここに入るという勘が当たりました.


▲ヨツボシトンボの交尾.飛びながら十数秒で終わる.▲

産卵メスに近づいていきましたが,動き回り,まだ撮影できる状態ではありません.すると,案の定オスに見つかり交尾を強要されました.ラッキーだったのは目の前で,しかも植生があって他からは見えない場所なので,ほぼ同じ位置で停止飛翔しながらの交尾でした.普通は他のオスに追われ交尾状態のまま飛び回り,しかも十数秒で交尾を解消するので,撮影はとても困難な対象なのです.交尾が終わると産卵を再開しました.


▲メスはオスが交尾を解いたあと産卵を再開した.▲

しばらく産卵を続けていると,多分別のオスが,再び交尾を強要しました.ヨツボシトンボは,オスの多い池ではこうやって何度も異なるオスに交尾をされながら産卵を続けます.もうメスも織り込み済みなのでしょうね.ほとんど産卵に影響を与えることもなく,さらに産卵を継続しました.ただ,今度はヒメガマの植生内にもぐり込むようにして産卵を始めたので,撮影はここまでとなりました.


▲再び交尾をされるメス.ここもヒメガマの陰になる場所で,停止飛翔していた.▲


▲ヒメガマの植生内にもぐり込んでいった産卵メス.▲

今日は合計4回,メスを見ました.もっとも1時間ほどトラフトンボの観察に時間をとったので,もっと来ていた可能性はあります.この場所はヨツボシトンボの観察にはよい場所であることが判明しました.

ヨツボシトンボで早々に成果が得られたので,次はトラフトンボの卵塊形成観察といきましたが,こちらは交尾態で飛ぶペアすら見ることはありませんでした.オスたちは池に出て飛び回っていたのですけど...


▲池を飛び回るトラフトンボのオス.▲

これ以外には,フタスジサナエやクロイトトンボがたくさん活動していましたし,ヤマサナエが姿を現していたり,ギンヤンマ,クロスジギンヤンマ,ニホンカワトンボなどが見られました.


▲フタスジサナエは非常にたくさんいたが,今日は産卵を目にしなかった.▲


▲早々にヤマサナエが流れに出てきていた.5月中旬には産卵が観察できそうだ.▲


▲今までここであまり見た記憶がないが,ニホンカワトンボもいた.▲

クロイトトンボは,この池でも次々と羽化個体が飛び立ち,一方ですでに成熟した個体が繁殖活動を行っていました.しかしクロイトトンボ以外のイトトンボは姿を確認できませんでした.


▲羽化して飛び立ったあとのクロイトトンボ.▲


▲昨日若いメスには気品があると書いたが,粉を吹く前の若いオスも気品がある.▲


▲クロイトトンボのタンデム.トンボよりジュンサイを食うハムシの類いが多い.▲

クロイトトンボのタンデムを撮った葉の上には,ハムシ類でしょうか,たくさんくっついて葉を食べていました.こういう小さな虫たちがたくさんいるからトンボの数も多いのでしょう.この池がきつい薬剤を使っていない証拠です.見た目は汚く見えるかもしれませんが,これが自然の姿です.

といった感じで今日の観察を終えました.2時間ほどの観察でしたが,成虫出現調査のおかげで効率よく観察が出来たようです.交尾態で飛ぶトラフトンボを見られなかったのが残念でした.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 パーマリンク