トンボノート
No.914. 神戸のトンボ調査(8)2023.6.3.

台風一過,今日はお昼前からよく晴れたので,神戸市内のトンボ調査に行ってきました.3年前にいただいた情報で,サラサヤンマを見つけたというのがあったので,今日はそこへ行ってみることにしました.湿地のようなところがありましたが.残念ながらトンボはいませんでした.

そこで,周辺の池を順番に回っていくことにしました.しかし本当にトンボがいません.2時間半ほど歩き回って,シオカラトンボが10頭あまり,ギンヤンマが4頭ほど,そしてタベサナエが1頭でした.


▲老熟したタベサナエのオス.

30年ほど前に神戸市内の調査を盛んにやっていた頃,本当にタベサナエの姿がありませんでした.フタスジサナエばかりという感じでした.今年はこれで2カ所目です.前回見つけた場所とは山続きにはなっています.神戸でタベサナエが増えつつあるのでしょうか.

まあそれはいいとして,景色のいい田園地帯を歩いても,全くトンボがいないというこの状態,なんか本当に恐ろしさを感じます.このサイトを始めた頃は,神戸市内にはたくさんのトンボが見られました.今日来たところも,以前何度もやって来たことがあります.アオヤンマ,ネアカヨシヤンマ,ヤゴをすくえばマルタンヤンマなどが採れ,チョウトンボ,オニヤンマ,コシアキトンボなどが飛び交っていました.かつて「トンボ飛び交う街 神戸」というNHKの番組に出て神戸のトンボを紹介したことがありましたが,もうあの頃の面影は皆無です.

今はほとんど何もいません.下の写真は,今日調べた一つの池です.池の上流部に湿地が見えています.さらにこの上にも池があります.集水域には水田はありません.この景色の中にトンボが全くいないのです.いや,シオカラトンボはいました.2頭だけ.こんな田園地帯,全く信じられません.


▲今日調べた池の一つ,ものすごく見た目の環境はいい.


▲上の写真の上側にある池.イトトンボ1匹飛ばない.

さらにいくつかの谷筋の池に入ろうとすると,あちこちに「立入禁止」の立て札が立っています.最近よくニュースになる作物の泥棒でも入るのでしょうか? 入るなという根拠が何も書かれていないので,おそらく農家の方が入ってきてほしくないからなのでしょう.私有地ならそう書くはずですから.こんなこともあり,トンボを調べられません.神戸市内ではだんだんとトンボの調査がやりにくくなってくることを感じます.六甲山などでも,観光開発のせいでしょうか,あちこち立入禁止になっていますし,車を止めるのも駐車料金がいります.先日ムカシトンボを見に行ったときは,駐車料金や交通機関のお金で2,200円ほどかかりました.

このサイトのタイトルは「神戸のトンボ」ですが,なんか,神戸にはたくさんのトンボがいるという紹介ではなく,「トンボが衰退していく街 神戸」の記録になりそうで悲しいです.

ということで,今日は愚痴ばかりになりましたので,「観察記」ではなく「エッセイ」にしました.