トンボノート
No.879. アカトンボの顔を見に。2022.9.30.

例年であれば,この時期,アカトンボたちの繁殖活動を見に行くことになっています.今日は繁殖活動にこだわらずに,一日でどれくらいのアカトンボに出会えるかということをやってみました.最近アカトンボが減っている感じがしますので,とにかく既産地をめぐってできるだけ多くの種類を見るという努力をしてみて,実際の結果はどうかということを見てみようというわけです.天気は快晴で,気温も高く,条件は問題ありません.

まずは去年オオキトンボやタイリクアカネを観察した池に行ってみることにしました.しかし残念なことに今年は水を落としていなくて,いたのはコノシメトンボ1頭のみ! あとは全くアカトンボの姿を見ませんでした.何もいない!? 去年の賑やかさはどこに行ったのでしょう.


▲池に1頭だけぽつんと止まっていたコノシメトンボ...

コノシメトンボは4番目に立ち寄った池でも飛んでいましたので,一緒に掲載しておきます.そこでは3頭飛んでいました.


▲水面上でホバリング飛翔するコノシメトンボ.

全く話にならないので,つぎはマイコアカネに会いに,2番目の池に行くことにしました.すぐ近くの池ですので,さっと移動していつも止まっているところを歩いてみました.でもなかなか見つかりません.やっとのことで,合計3頭のオスを見つけました.メスは見つかりません.なんか数が減っています.


▲マイコアカネのオスたち.

この池には,気の早いキトンボが1頭やってきていました.まだ腹部にあまり赤みが差していない,薄黄色のキトンボです.


▲キトンボのオス.まだ腹部が黄色っぽく,若いキトンボである.

オオキトンボは数頭いて,あちこちに止まっていたり,水面をホバリングしていました.まだ水を落としていないのですが,この池には毎年やってきて,満水でも打水産卵をしています.


▲オオキトンボ.そろそろオオキトンボの活動時期の盛りが近づいている.

この池にはタイリクアカネもよくやってくるのですが,まだ姿を見せていません.マイコアカネの数が少なかったので,もう一つのマイコアカネの池に行ってみることにしました.しかし,この3番目の池では,マイコアカネは1頭姿を見ただけでした.水は満水で,産卵場所はあったのですが,姿がありません.ただ,この池ではオオキトンボが産卵していました.


▲オオキトンボの9月の産卵.

この池では,アオイトトンボ,ギンヤンマ,オオヤマトンボなどが活動しており,オオヤマトンボは産卵していました.

次に行った4番目の池では,ナニワトンボに会うのが目的です.この池は毎年ナニワトンボの数が多く,簡単に出会えるだろうと思っていましたが,ナニワトンボはほとんど姿を消していて,オスを2頭見かけただけでした.あとはリスアカネがちらほら,コノシメトンボとタイリクアカネが水面を飛んでいました.その他のトンボとしては,ギンヤンマ,アオイトトンボぐらいでした.例年見かけるマユタテアカネがいませんでした.


▲4番目の池で見つけたナニワトンボ.たったの2頭だけ.信じられない...

そこでこの近くのもう一つの池にナニワトンボを見に行くことにしました.ところがこの池でもナニワトンボの数は少なく数頭見かけただけでした.ナニワトンボよりは数は多かったですが,リスアカネもちらほらという感じです.あとはギンヤンマ,アオイトトンボ,タイワンウチワヤンマ,シオカラトンボというところです.この池も嘘のようにアカトンボが少ないです.以前はリスアカネなどはいっぱいいて,ナニワトンボも2mおきぐらいに止まっていました.


▲5番目の池で見たナニワトンボのオス.


▲リスアカネもそれほど多くいたとは感じられなかった.

お昼がやってきましたので,昼食をとって,ミヤマアカネを見に行くことにしました.ちょっと場所が離れているので時間がかかりましたが,ミヤマアカネはいました.去年も書いたと思いますが,この場所のミヤマアカネも本当に数が少なくなりました.やがて姿を消すのではないかと感じます.ミヤマアカネ以外にはハグロトンボがいただけです.


▲ミヤマアカネのオスとメス.

ここまでで,8種類のアカトンボを見ました.タイリクアカネだけ,止まらず飛び回っていたので,写真が撮れていません.時間的に15:00が近くなりましたので,今日はここまでとしました.

実はこのミヤマアカネを見る前に,ルリボシヤンマが来ていないか山の池をのぞいてみました.しかしまだそこはオオルリボシヤンマがいっぱいいて,ルリボシヤンマは,たとえいたとしても,オオルリボシヤンマに追い出されてしまうと思われる状況でした.ここで,1頭のマユタテアカネを見ました.これでアカトンボは9種類です.


▲オオルリボシヤンマの産卵.

それ以外に見た,2番目の池のアオモンイトトンボ,5番目の池のタイワンウチワヤンマの写真を掲げておきます.


▲春から秋まで,午前中には交尾しているアオモンイトトンボ.


▲タイワンウチワヤンマは例年10月に入るまで見られる.

今日は全部で7カ所回って,アカトンボを探してみました.一番感じたことは,池とその周辺に定着して生活しているアカトンボが極端に少なくなっているということです.マイコアカネには5頭,マユタテアカネには1頭,ナニワトンボには5,6頭しか出会いませんでした.リスアカネやミヤマアカネはここまで少なくはないですが,少し前から数が減っています.特にマユタテアカネに出会わなかったというのが衝撃です.7カ所も回ればあちこちで出会うのが普通です.一番いそうにないオオルリボシヤンマの池だけで姿を見ています.

対して,オオキトンボ,キトンボ,タイリクアカネ,コノシメトンボなどは,大なり小なり移動するトンボです.移動性のあるアカトンボはそれなりに姿が見られました.

出会えなかったトンボは,ノシメトンボ,マダラナニワトンボ,ヒメアカネ,ネキトンボ,ナツアカネ,アキアカネです.マダラナニワトンボは多分県内絶滅状態ですから出会えないでも仕方ありませんが,湿地性のヒメアカネを除いて,あとのトンボは今日の池巡りでは出会ってもいいトンボばかりです.

それらの現状を述べておきましょう.ノシメトンボはかなり前から兵庫県では姿を見るのが難しくなっています.アキアカネは10月の後半くらいには姿を現すでしょう.ナツアカネがいないのは不思議です.ネキトンボはたくさんいるトンボなのに今日は出会えませんでした.

今日の努力結果から見て,やっぱりアカトンボは減っていると感じました.