トンボノート
No.718. アキアカネを見に行ってみた.2019.10.9.

そろそろ秋の風が吹き始めましたので,今日は兵庫県北部へ,アキアカネの様子を見に行ってきました.タンデムのアキアカネがたくさん空を飛ぶ姿を見に行こうと思ったわけです.しかし,ちょっとまだ時期が早かったようです.アキアカネが目指す水田の稲刈りが終わっていませんでした.しかしアキアカネはもう山から下りてきていて,草地などで盛んに摂食飛翔をしていましたし,木々の枝のてっぺんにもたくさん止まっていました.アキアカネに混じってナツアカネも止まっていました.

▲木のてっぺんに止まるアキアカネ.
▲ナツアカネも混じって止まっている.


▲草原に止まって摂食しながら休んでいるアキアカネ.

アキアカネはもう成熟はしているようですが,まだ全体として繁殖開始のタイミングではなかったようです.もう少し涼しい日々が続けば,繁殖が始まるといった印象を受けました.しかし数個体ですが,タンデムになって空を飛び回ったり,交尾をしたり,さらに,お昼ころになると,産卵をしたりするものもありました.

▲アキアカネの交尾.


▲産卵活動を行うアキアカネたち.まだ産卵する個体の数は少ない.

お昼過ぎになって暖かくなってくると,水田の鹿避けの柵の先に止まるアキアカネが増えました.今年も,あと10日ぐらい後にはたくさんのアキアカネがタンデムで飛ぶ姿が見られそうです.今日はちょっと早かったみたいです.



▲鹿避けの柵に止まるアキアカネたち.

アキアカネ以外のアカトンボもまだやや早い感じで,キトンボの若い個体が1頭いました.一方でネキトンボはもうシーズンの終わりのようです.1か月前に観察に来たときに最盛期みたいでしたから.

▲まだ体色が淡い,若いキトンボ.
▲ナツアカネの交尾.ナツアカネは1か月前に来たときにも産卵していた.
▲濃い赤になってもっとも脂ののった感じのネキトンボ.2頭見られただけ.

アキアカネの数はたくさんいましたが,アカトンボの活動は今ひとつでした.一方で,夏のトンボの生き残りが,本当に最後に近い活動をしていました.まずはショウジョウトンボ.オスが2頭,そしてメスが産卵をしていました.



▲ショウジョウトンボのオス(上)と産卵するメス(下).

ショウジョウトンボを見ていたら,もうよぼよぼと言っていいほどくたびれた風情のシオカラトンボのメスが足下に飛んできました.また池の縁では,おそらく二化目のアジアイトトンボのオスやメスが活動していました.こちらは,この季節にも普通に活動していますね.

▲翅も破れ,よぼよぼの感じだが,複眼の輝きだけはまだしっかりとしている.シオカラトンボ.


▲アジアイトトンボのオス(上)とメス(下).この時期に見られるのは普通である.

そして,これも夏の生き残り,ハグロトンボがまだ数頭活動を続けていました.オスは産卵基質のそばに陣取って縄張りを形成し,メスを捕まえ,移精行動,交尾,そしてメスは産卵をしていました.オスの翅は,おそらく度重なるオス同士の闘争でボロボロになっています.でもこれは彼の勲章ともいえる,ここまで勝ち抜いてきた証でしょう.

▲流れの石に上に止まって縄張りを監視するハグロトンボのオス.脚もちぎれている.




▲メスが入ってきたので簡単なディスプレイをした後,タンデムに,そして移精行動,交尾へと.
▲メスはオスの警護の下で産卵を始める.




▲いろいろと移動しながら産卵を続けるメス.

まあこんなで,今日は夏と秋の端境といった感じでした.それにしても,もう10月9日なのに,季節の進行が遅いように感じますね.ついこの間まで30度近い気温だったのが影響しているのでしょうか...もう少し季節が進んでからまた来てみようと思っています.