トンボノート
No.706. 北海道のトンボたち(3).2019.7.21.

 昨日の20日は,朝から雨.しばらくすると止んで地面が乾いてきたのですが,空模様はトンボどころではない感じ.そこで自転車で野付半島を走ってきました.細長い不思議な形をした半島です.でも,帰りに雨に遭い,びしょびしょになりました.まあ,トンボを見に行かなく正解でした.

 続く21日,ホテルでの起床.また外は雨が降っていたようです.本当に雨がよく降ります.北海道に梅雨はないと言われますが,これはもはや過去のことではないのかと思ってしまいます.つまり温暖化の影響かと...しかし,今日は網走へ行きます.標津町と斜里町の間の根北峠(こんぽくとうげ)を越えた向こう側の網走はガンガンの快晴の予報.今日の予定も網走方面へ移動.予定のコースで晴れが待っているというのは,この旅を始めてから初めてのことです.やっとトンボの飛ぶ姿を見られそうです.

 最初の観察地は,湿地帯の中にある池です.現地に着くと,道路上をエゾトンボが摂食飛翔をしています.こういうのは一番助かります.エゾトンボは飛んでいるのを見るだけでは種名が分かりません.6頭ほど採ってみました.コエゾトンボ4頭とタカネトンボ2頭でした.他にオオルリボシヤンマの未熟な個体も飛んでいました.

▲道路の上空を飛ぶコエゾトンボのメス.ハネビロエゾトンボのように産卵弁が突き出ている.
▲やはり上空を飛ぶタカネトンボのオス.
▲ヤンマが飛んでいたので捕まえたら,オオルリボシヤンマの未熟なオスであった.

 大体種名が分かったので,湿地帯を抜けて池に行ってみることにしました.しかし,かなり険しい道で,人の通ったあとがあるのですが,何度も足を取られ,下手をすると身動きがとれなくなりそうな予感がしたので,諦めることにしました.一人で来たときは事故があるとそれで終わりになりますから,特に知らない土地では諦めも肝心だと思っています.何しろ歳でもありますので,余計に足下が危うかったです.兵庫県で人の管理しているため池ばかりでトンボを見ている身にとっては,北海道の自然は厳しかったです.

 まあ,コエゾトンボという北海道にしかいないエゾトンボが採れたので,よしとしましょう.次の場所は普通の池です.スイレンがいっぱい咲いている池ですが,スイレンは「外来種」だそうです.池の上をカラカネトンボが飛んでいました.カラカネトンボというのは葉の上にトンボ科のトンボのようにペタッと止まるんですね.初めて見ました.北方の種とはほとんど縁がないので,こういった普通種でもすごく新鮮な体験です.

▲池の上を飛ぶカラカネトンボのオス.
▲葉の上にペタッと止まるカラカネトンボ.エゾトンボ科はぶら下がるとばかり思っていた.

 池の沖の方をオオルリボシヤンマらしいヤンマが飛んでいます.足下ではルリイトトンボが転結産卵をしていました.ルリイトトンボは信州で見たことがありますが,ほぼ例外なくメス単独で潜水産卵をやっていました.ここでは普通に連結産卵しています.ところ変われば品変わるですね.





▲ルリイトトンボの連結植物内産卵.

 見たかったキタイトトンボもあちこちで活動しています.連結産卵もしていましたが,いかんせん岸に近すぎます.上からしか撮影できず,あまりいい出来ではありません.あと,エゾイトトンボも1頭見つけました.クロイトトンボはここでもたくさん飛んでいました.



▲あちこちで飛び回っているキタイトトンボのオス.




▲キタイトトンボの繁殖活動.タンデム,交尾,産卵.
▲エゾイトトンボのオス.写真にうまく撮れないので捕まえた.
▲ここにもクロイトトンボがいました.

 もうすっかり昼を過ぎています.北海道は広いので,移動に時間がかかります.最後は湖の畔に野鳥の観察のための遊歩道があって,そこの水辺にトンボがいるらしいので,そこへ行ってみようというわけです.ところが,二日前の19日にヒグマが目撃されたということで,閉鎖されていました.天気は申し分ないのに,今度はヒグマ! 北海道は楽しい! と皮肉りたくなりました.

▲7月19日といえば一昨日ではないか.まだこの辺にいるかも知れない.

 時刻は14:00過ぎ,ここで一番たくさん時間を潰そうと思っていて行く当てもないので,昼食にしました.コーラにパンケーキです.そしてホテルに早めにチェックインし,エゾトンボ類とイトトンボ類の同定をしました.

 ということで,今日は終わりにしました.明日も網走方面は晴れています.でも,網走周辺はあまり長居をする予定がなく,下調べが不十分です.明日は釧路へ行く予定ですが,釧路は霧が出て曇りの予報.これからゆっくりと明日のことを考えることにします.