トンボノート
No.681. フタスジサナエ最盛期.2019.5.4.

今日も絶好の天気.しかしトンボの出現が遅いので,天気を持て余している感じです.ということで,春を感じようと,一昨日の,フタスジサナエの最盛期にはいっている思われる池に行って,1時間ほどフタスジサナエを眺めることにしました.

▲池でメスを待っているフタスジサナエのオス.

池に着くと,私に驚いたようで, 数頭のオスが 池から飛び出してきました.こういう何気ない風景ですが,なんか幸せを感じてしまいます.長い間トンボ観察を続けていますと,次々とトンボが減ったり消えたりしていくのばかりを経験するのですが,こういう場所が残っていることが嬉しいのでしょうね.フタスジサナエは池の畔で追いかけ合いをしながら,メスを待っているようです.今日はフタスジサナエを見に来たので,片っ端から写真に収めました.









▲たくさんのオスたちが水辺に集合して,繁殖活動を行っていた.みんな成熟している.

9:15くらいに池に着き,オスたちと遊んでいました.これだけオスが多ければ,メスは持って行かれるかななどと考えていると,ちゃんとメスが草陰で産卵していました.本当にメスはオスから見えないような位置に入り込んで,動きを小さくして目立たないように産卵していますね.オスとメスのだまし合いです.

▲目立たないように産卵しているフタスジサナエのメス.産卵途中での静止.


▲草の間で産卵して,オスからは見えないようだ.
▲このメスはよく止まった.これを最後に飛び去った.

このメスは9:44に産卵に入ってきました.淡色部の色が黄褐色をしていて,オスとよく似た色彩です.止まっている個体を見たとき,オスなのか? と思ったほどでした.さて,もう1つくらい来てほしいなと思い,しばらく待つことにしました.すると,9:48,またメスが産卵に入ってきました.連続しています.今度は先の個体より淡色部は黄色みを帯びていました.

▲本日2頭目の産卵メス.淡色部が黄色く,普通のメスである.


▲池の畔で産卵を続ける.打空するときは岸の方に向く.
▲珍しく,飛び散る卵が写っている.

以前,コサナエ属の打空産卵では,卵が写真に写らないと書いたことがありました.今日は珍しく,飛び散る卵が写った写真が撮れました.水平にホバリングした後,草地の上で身体全体を振って,放卵します.たまたま焦点面に卵が入ったのでしょうね.

来て1時間ほどで産卵も観察でき,フタスジサナエたちの観察を終えました.まだ10:00頃で時間があります.オツネントンボをビデオに収めたいので,定点池に寄ることにしました.オツネントンボはオスが1頭だけ飛んでいました.もうかなり老熟しているように見えます.今年はオツネントンボは諦めねばならないかも知れません.

▲オツネントンボのオス.身体が黒っぽくなって,老熟を感じさせる.(ビデオの切り出し)

この池には,今日もトラフトンボの交尾態が入ってきましたが,これは飛び去りました.またヨツボシトンボが戻ってきていました.クロイトトンボ,ホソミイトトンボ,ホソミオツネントンボなども活動していました.トラフトンボは,メスのテネラルな個体がひらひら飛んで摂食しているのも見ました.まだトラフトンボも完全に繁殖活動期を迎えていませんね.

▲ヨツボシトンボのオス.全部で3頭いた.
▲水面を飛ぶクロイトトンボのタンデムペア.

今年はトンボの出現が遅くなっていますが,こういう年は成長の個体差が引き伸ばされ,だらだらと羽化することが多いようです.そしてたくさんの個体が集まって一斉に繁殖活動をするというよりは,少数が繁殖活動をだらだら続けるという感じになりがちです.