トンボノート
No.675. やっと春が動き出しました.2019.4.18.

ここのところ暖かい晴れの日が続いています.一昨日もトンボを見に行ったのですが,まったくトンボに出会えずでした.さて今日はどうでしょう.今日は,家庭菜園をやっている家内がサナエトンボを見たというので,まずは地元の池を訪れてみました.

▲木々も若葉色に芽吹き,いよいよトンボの出現季節になった感じです.

暖かい日差しを浴びながら農道を歩いていますと,シオヤトンボが飛び立ち,さらにコサナエ属のトンボが飛びました.出ているようです.どんどん歩いて上の写真の池のあたりまでやって来たとき,トンボが飛び立ちました.近づきますと,シオカラトンボでした.シオカラトンボはこの個体以外にも,もう1頭羽化直後の個体がいました.

▲日当たりのよい草原を飛び回る未熟なシオカラトンボのメス.

池の堰堤を歩きますと,黄色いトンボが飛び立ちます.見ただけでシオヤトンボだと分かりました.シオヤトンボは合計で3頭見ました.

▲シオヤトンボのの未熟なメス.

1時間ほど探し回りましたが,コサナエ属のトンボには,最初に出会ったきり見つけることができませんでした.この近くではオグマサナエを見つけたことがありますので,上の池の写真の感じからも,たぶんオグマサナエだろうと思っています.また,機会がありましたら確かめに来てみたいと思っています.神戸市内ではコサナエ属のトンボが見られるところがあまりありませんから.

さて,地元を調べ終わりましたので,この数回行っている同じ場所へ出かけました.トンボの出現のタイミングを計る意味では,同じ所へ行くのが一番です.

▲今日は日当たりのよい一番明るい池を選んで慎重に探してみました.

3月下旬からトンボ観察を続けていますが,どうも,成虫越冬種に出会うことが少ないのです.昨年もオツネントンボの姿をまったく見かけることがありませんでしたし,ホソミイトトンボも止まっている成虫を見ただけでした.そこで,今日は,ホソミイトトンボに焦点を当て,いくつかある池の中で,日当たりがよく,ヨシが芽吹いている池を選んでみました. 池にはたくさんのオタマジャクシがいて,塊になって泳いでいます. ヨシの芽吹きをのぞきますと,アジアイトトンボの姿を見ました.

▲蘆の枯れ茎の先に止まるアジアイトトンボのオス.

このアジアイトトンボ,近づく前にどこかへ飛んで逃げました.目を凝らして逃げたアジアイトトンボを探していますと,ホソミイトトンボが飛ぶのを見ました.やっと出会えたという感じです.

▲ホソミイトトンボ越冬型のオス.青色が濃く鮮やかである.
▲ホソミイトトンボのオス.全部で2,3頭いたようだ.オタマジャクシが水面を泳いでいる.

少し気をよくして,枯れヨシの間を探してみますと,交尾しているペアを見つけました.別に珍しい光景ではないはずですが,ずいぶん久しぶりの感じがしました.

▲ホソミイトトンボの交尾.

交尾を終え,産卵を始めるのをかなりの時間待ちましたが,残念ながら交尾をなかなか終えてくれません.それでも待っていると,サナエトンボが池から飛び上がりました.羽化していたようです.近づいてよく見てみますと,フタスジサナエです.この池のある一帯はタベサナエが多いのですが,フタスジサナエもちゃんといるんですね.



池から飛び出したフタスジサナエの未熟個体.下は羽化不全のようだ.いずれもメス.

羽化したあたりの池面を見てみますと,羽化殻がありました.さらに目を凝らして探してみると,羽化殻はあちこちに付いています.羽化の最盛期に入ったようですね.羽化殻は全部で十数個ありました.

▲フタスジサナエの羽化殻.

その後,ホソミイトトンボの交尾もなかなか解けないし,フタスジサナエの羽化途中の個体を探しても見つからないし,ということで,タベサナエやオグマサナエを探しに場所を移動することにしました.ここからそれほど離れていないので,また帰ってきてからホソミイトトンボの産卵を探すということにしました.

▲タベサナエのオス.だいぶん成熟が進んできている.
▲下から撮ったので種名がはっきりとした.

タベサナエはいましたが,1頭だけでした.池から処女飛行に飛び立ったコサナエ属のトンボがいましたけれど,それ以外はトンボの姿がありません.ということで,再びホソミイトトンボのいたところへ帰りました.ホソミイトトンボのオスがいましたが,産卵しているペアは見つけることができませんでした.そうしていると,池からコサナエ属のトンボの処女飛行個体が次々と飛び出しました.まだ羽化しているんですね.時刻は12:45でした.春のトンボは朝の内に羽化してしまうということはないようです.多分一番いい時を選んで羽化するんでしょう.

そこで,今度はちょっと気合いを入れて,羽化途中の個体を探してみることにしました.羽化殻は次々と見つかりました.そして,ついに1頭のメスが羽化しているのを見つけました.よく目立つ,開けた日当たりのよい場所で羽化しています.

▲すでに羽を伸ばし始めていたが,羽化途中のフタスジサナエを発見した.

やっと春が来た感じで,暖かい日差しを浴びながら,最後まで観察をすることにしました.フタスジサナエの羽化は,やはり集中羽化するためか,毎年よく出会うのですが,タベサナエやオグマサナエの羽化には,なかなか出会えませんね.







▲翅が伸び,腹部が伸び,腹部が細くしまって,いよいよ処女飛行を待つばかり.

翅を開いた瞬間を撮ろうと身構えていましたが,このまま飛び立ちました.こんなこともあるのですね.一番最後の,飛び立つ直前の写真を,角度を少し変えて,最後に掲げておきます.

▲飛び立つ直前のフタスジサナエのメス.

さて,これから忙しくなりそうです.この週末にはいろいろなトンボが一斉に出てくるような予感がします.