新 トンボ歳時記
No.376. ヒメサナエの観察 2012.7.21.

ここ数日は本当に天気が不安定です.今日明日と予報では曇,場所によっては豪雨? ということで家で様子を見ていましたら,またまた日が差し始める始末... 予定していたヒメサナエとオジロサナエの観察に行ってみることにしました.朝から散髪などをしていたため,出かけるのが遅れ,現地到着は11:30.午前中の一番いい時を過ぎていました.

この両種の観察は,これで確か4年目.毎年来ています.いいトンボの生息地は必ずといっていいほど数年内にだめになることが多いので,トンボに出会えるときには可能な限り訪れて記録を取っておくのが原則です.ここは,比較的観察の難しいサナエトンボ2種が同時に観察できるポイントで,これほどの場所はなかなかありません.

さて,到着して10分もしないうちに,ヒメサナエが産卵に訪れました.気持ちがまだ集中できていないときでしたので,ちょっとあわてました.そしてその10分後,また1頭入りましたが,近づき方が荒かったためか逃げてしまいました.まだ来ると信じ,ポイントを決めて腰を下ろして待っていますと,まさにそのポイントにぴたりと産卵メスが入りました.近寄る必要もなく,腰を下ろしたまま記録できました.

ヒメサナエは,水面近くでホバリングしながら卵塊をつくり打水して放卵します.この3頭目のメスは,静止して卵塊をつくるのが好きなようで,産卵中に3回静止しました.静止中に卵塊が大きくなるのが観察できましたので,間違いないと思います.そして飛んで放卵します.オスたちもいつの間にか集まり,5,6頭ほどが周辺の石の上などに止まっています.

12:00にやってきた上の3頭目のメスを最後に,産卵にやってくる個体の姿が見られなくなりました.オスも腹部挙上姿勢を取り始めました.こうなるとここの生息地の産卵はだいたい終結です.オジロサナエの方は,残念ながら,産卵に来るメスはありませんでした.まだ先日降った雨のためか水量が多く,オジロサナエの好きな環境より少し水の流量が多いような感じでした.

今日は用事があるので13:00には現地を後にしました.わずが1時間半だけでしたが,3頭のメスが産卵に入ったので,成果はあった感じです.なお,帰り道,峠越えの道でゲリラ豪雨に出会い,予報は当たっていました.観察地の付近だけが晴れていたのでしょうかね?