トンボ歳時記
No.329. この時期に!? キトンボだらけ(1). 2011.12.29.

今日は午前中は晴れて気温が高くなり,暖かい一日になるとの予報でした.ということで今日もキトンボの生き残り調査に出かけました.少し家を早く出て,定点の池に10時前に着くようにしました.日当たりは良好でしたがまだ気温が低く,吐く息が白くなります.10:30ころまで待ちました.しかし,キトンボの姿はありません.そこで,今日は別のサイトBへ,キトンボを探しに出かけることにしました.

サイトBには11:10ころに着きました.天気は上々で風もありません.ただ池の表面には広い範囲に氷がはっていて,夜間に水温がかなり低くなっていたことをうかがわせます.目を凝らしながら池の横の道を歩くと,早速キトンボが飛び立ちました.結構素早く,近づけてもらえません.追いかけ回して,やっと接近した写真が撮れました.来てすぐにいることが分かると,気持ちは軽くなります.

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▲上:サイトBの池の写真.中:最初に出迎えてくれたオス.
 下:池をのぞくと,そこにタンデムのキトンボがいた!

このオスの個体は,すぐに飛び立ち,池の方に降りていきました.まだなわばりでもやってるのかと思い池をのぞき込んでみると,そこには,タンデムのキトンボが止まっていました.そしてしばらく観察を続けていると,産卵を始めたのです.この時期に産卵をしているのです.こうなってはもう,池岸に降りるしかありません.藪をかき分けて池の岸に降りました.すると,キトンボがあちこちに止まっています.季節が1ヶ月戻ったような光景でした.

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▲あちこちに止まっているキトンボのオスたち.

キトンボは,白っぽい石の上に止まるものがほとんどで,暖かいとはいえ,トンボたちにとっては絶えず体を温めておく必要があるのでしょう.この池の岸は南向きで背後には木が生えていて,風も当たらず,陽の光を存分に受け止められる環境になっています.

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▲キトンボたちが飛び回っている池岸.
 青矢印のところにキトンボが止まっている.

多くのキトンボは,陽の光をもっとも多く受け取れるように,垂直な石の面に止まるものが多くいました.彼らはそういう感覚を持っていることの証ですね.

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▲垂直な面に止まるキトンボたち.

オスたちを観察していたとき,目の前にタンデムのペアが止まりました.さっきのペアと同じかどうかは分かりません.このペアも,陽の光を十分受けるように止まり,体温を上げているように見えました.まだ若さの感じられる個体です.これは産卵するに違いないということで,このペアに張りつくことにしました.

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▲目の前に止まったタンデムのペア.

(2)へ続く...