トンボ歳時記
No.281. キイロサナエを探して. 2011.7.10.

今日は午後から所用があったので,午前中,キイロサナエだけを探しに出かけてきました.

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▲観察地1.

川に着いて,川沿いを歩き始めました.やはりまだ端境期で,ほとんどトンボの姿がありません.と思っていると,帽子にトンボが止まりました.どうしようもないのでゆっくりと帽子を脱ぐと,トンボは逃げずに止まったままです.アオサナエのオスが,何かを捕まえて食べていたのでした.

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▲上:帽子に止まったアオサナエのオス
 中:川のそばの林縁に止まっていたグンバイトンボのオス.
 下:羽化して飛び立ったウスバキトンボ.

その後,川のそばや,河畔の林縁を探し歩きました.ハグロトンボはたくさん飛んでいましたが,ほかのトンボはまったく見つかりません.ウスバキトンボが,水田の方から飛んできました.羽化直後の処女飛行に飛び立った個体のようでした.そろそろ終わりにしようかというとき,川の石の上にキイロサナエが止まりました.カメラを構えようとするやいなや,飛び立ってしまい,それでおしまい! 最後に,林縁にいたグンバイトンボのオスを見つけ,それでこの場所は終わりにしました.


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▲観察地2.

次の観察地は,かつてキイロサナエが多産した川です.しかし,久しぶりに訪れてみると,川は浚渫され,修景されていて,昔の面影はまったくありませんでした.それでもトンボを探して歩きましたが,いたのは,シオカラトンボとコオニヤンマが1頭ずつでした.いずれもメスで,休息しているようでした.川で活動しているわけではありません.もう,ほぼこの産地からキイロサナエは消えたといってよいでしょう.この場所で,以前地元の方とお話をしたとき,「このあたりはホタルがものすごい数飛んで,夜でも川の流れがホタルの光で分かるほどだった」と言っておられました.そんな川だったのに,残念ですね.

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▲未熟なコオニヤンマのメスとシオカラトンボのメス.

ここでも川の土手の上に桜並木が植えられていました.幼虫をすくってきた経験から感じていることですが,これをやると,川の昆虫相が非常に貧弱になるような印象を持っています.サクラにウメケムシの殺虫剤を撒くからかもしれないなどと想像しています.いたしかたないこととはいえ,河川改修や植物の人為導入によって,トンボ産地がどんどんと消えていきます.今日出会ったキイロサナエはたったの1頭.キイロサナエに確実に出会える県下の川を探さねばならなくなりました.

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▲同じ場所の今昔.上は今日の景色.下は1996年の景色.

少し角度は違っていますが,キイロサナエがたくさんいたころの川の写真と今日の写真を比べて,今日は終わりにします.