トンボ歳時記
No.087. 徳島県遠征記(2) ネアカ・マルタン. 2009.8.1.

さて次は,ネアカヨシヤンマとマルタンヤンマです.兵庫県では,ネアカヨシヤンマの多産地は環境が変化してほぼ壊滅状態,マルタンヤンマはなかなか多産地がありません.調査地は湿地で,カンガレイをはじめ湿性植物が生えています.現地に着いたのは10:40ころでした.ここもまた晴れ.すぐ手前の峠は雨がぱらついていたのに,ウソみたいにここだけ晴れている!? 本当につきまくりです.

入っていくと,早速ネアカヨシヤンマが飛んでいました.あちこちで産卵したそうに草の中へ下降するのですが,すぐに上昇し,場所を移動してしまいます.どうも産卵基質が見あたらないようです.そこで少し「やらせ」をやることにしました.枯れ木を1本寝かせて,産卵基質にしたところ,案の定,そこに止まって産卵を始めました.あまり期待していなかったので,写真のことまで考えず,草がじゃまになってしまいました.止まったのはこれ1回きりでした.

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▲「やらせ」の枯れ木に止まって産卵するネアカヨシヤンマ.

ネアカヨシヤンマは,11:30を過ぎると,あまり湿地に降りてこなくなりました.こうなってくると,天気がいいのが恨めしい....,とにかく暑い暑い.汗がどんどん流れます.待っていると30分に1回くらいはメスが湿地に降りてきましたが,すぐに上昇して林に帰っていきました.

14:00くらいになると空に雲が広がって,少し涼しさが感じられるようになりました.そうすると一気に数頭のメスが降りてきて,産卵場所を探し始めました.やはりネアカヨシヤンマも暑いのですね.そんな中で土に産卵するメスの写真が撮れました.

さらに粘って待ちました.16:30ころになると,今度はマルタンヤンマのメスが入るようになりました.カンガレイの中へ,垂直に下降して入っていきます.かなり敏捷で近づくのが難しい...

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▲何度も何度も近づいて,やっと撮影できたマルタンヤンマの産卵シーン

やっとのことで近づいて撮影ができました.マルタンヤンマはその後18:00過ぎまで次々に降りてきて産卵をしていました.全部で延べ20頭以上は産卵に来ていたように思います.

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▲上左:産卵場所を探すネアカヨシヤンマ
 上右:土に産卵するネアカヨシヤンマ
 中左:近づくとすぐに垂直に上昇しホバリングをするマルタンヤンマ
 中右・下左右:たくさん産卵に来ていたマルタンヤンマのメス

さて,長い1日が終わり,いよいよ仕上げの黄昏飛翔です.曇っているせいか17:30ころからぽつぽつ飛び始めました.マルタンヤンマのメスが多かったので,オスが飛ぶかもしれないと思い,網を持って1時間ほど頑張りましたが,見つけることはできませんでした.トンボはものすごく高いところを飛んでいます.個体数は結構多いようです.ネアカヨシヤンマとマルタンヤンマとギンヤンマ,そしてヤブヤンマらしいのが1頭だけ飛んでいました.

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▲黄昏飛翔.あまりに高いので黒い点にしか写らない.数は多い.

6時に出て家に着いたのが22時,いやはや疲れた一日でした.赤トンボさんどうもありがとうございました.