兵庫県の幼虫ガイド
H080. マユタテアカネ Sympetrum eroticum eroticum
マユタテアカネ終齢幼虫
写真1.マユタテアカネ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長13−17mm.2019.6.21.
<特ちょう>
 マユタテアカネはトンボ型の幼虫です.体全体がやわらかく,表面はすべすべしています.翅芽(しが)は,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)は糸のように細いです.腹の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にあってどちらも短く,写真2のように,第8節のとげが第9節の後ろはしにとどくことはありません.背中のとげ(背棘:はいきょく)は先がするどくとがっていて,腹部の第4−8節にあります.

マユタテアカネのそっきょくとはいきょく マユタテアカネの触角と背中のはん点
写真2.腹部の第8,9節の横に小さなとげ(側棘)があります.
どちらも短く,第8節のとげの先は第9節の後ろはしにとどきません.
先のとがった背中のとげ(背棘)が,腹部の第4−8節にあります.
写真3.マユタテアカネの全体図.全体的にほっそりした感じがします.
触角は糸のように細いです.
 


<よく似た幼虫との区別>
 マユタテアカネはアカトンボのなかまです.アカトンボの幼虫は,どれもとてもよく似ていて,トンボの専門家でも見分けられないことがあります.とくに,写真8の,腹部の第8節の横のとげが短いグループは,区別が難しくなっています.ですから,区別がつかなくて迷っても,それはしかたがないことです.みなさんもたくさん研究をして,見分け方を見つけてください.
 さて,マユタテアカネは,池でも川でも.いろいろなところで,ほかのアカトンボとまじってよく採れます.それだけに区別をしっかりする必要があります.まず川で幼虫を採ったとき,ミヤマアカネにまじって採れることがあります.ミヤマアカネとの区別点の一つ目は,下唇(かしん)の長さです.写真4のように,マユタテアカネの方が少し長くなっています.また全体的な感じは,写真5のように,マユタテアカネの方がほっそりしていて,ミヤマアカネの方がまるっこい感じです.さらに,写真8のように,腹部の第9節の横のとげがミヤマアカネより長くなっています.ただし,ミヤマアカネの中には,腹部の第9節の横のとげが長いものがあるので,注意が必要です.

マユタテアカネのそっきょくとはいきょく マユタテアカネの触角と背中のはん点
写真4.マユタテアカネとマユタテアカネの下唇の長さのちがい.
マユタテアカネの方が少し短い.
写真5.マユタテアカネとマユタテアカネの全体的な姿のちがい
マユタテアカネの方が丸っこい感じがする.


 もう一つ,マユタテアカネは,マイコアカネとも区別がつきにくいです.写真6のように,マイコアカネの腹部の第8,9節の横のとげは,マユタテアカネよりやや太く長くなっています.また泥(どろ)を落としたとき,写真7のように,マイコアカネの腹の先のほうは,広く茶色に色づいているのが見られます.

マユタテアカネのそっきょくとはいきょく マユタテアカネの触角と背中のはん点
写真6.マイコアカネとマユタテアカネの,側棘の太さと長さのちがい.
マイコアカネの方が少し太くて長い.
写真7.マイコアカネとマユタテアカネの全体的な姿のちがい
マイコアカネの腹の後半部は,全体的に茶色になる.


 さらにマユタテアカネは,ヒメアカネタイリクアカネコノシメトンボとも区別がつきにくいです.ヒメアカネはマユタテアカネよりかなり小さいです.

そっきょくの長いアカトンボ5種.
写真8.腹部の第8節の横のとげの先が第9節の後ろはしにとどかないアカトンボの幼虫.大きさと,第8節,第9節の横のとげの長さの比かく.
<さがす場所のヒント>
 マユタテアカネは川や池に住んでいます.写真8のように,池のまわりの浅いところなどで産卵します.卵はそのまま冬をこし,次の年の春に幼虫が誕生します.そして,7月のはじめには羽化して親になってしまいます.ですから,幼虫の採れる時期は,4月から7月に限られています.とくに終齢幼虫は,6月から7月にかけての短い期間にしか採れません.

マユタテアカネの産卵場所.
写真7.産卵にやって来たオス・メスのペア.池のまわりの浅いところで,腹部の先を水面に打ちつけて,卵を産みつけます.