兵庫県の幼虫ガイド
H053. ミヤマサナエ Anisogomphus maacki
ミヤマサナエ終齢幼虫
写真1.ミヤマサナエ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長25mm前後.2016.4.10.
<特ちょう>
 ミヤマサナエはサナエトンボ型の幼虫です.写真1の矢印のように,前あしと中あし(脛節:けいせつとよばれる部分の先)の外側にはっきりとした大きなとげが出ています.後ろあしにはそのとげはありません(写真1).腹の横のとげ(側棘:そっきょく)は第7−9節にあります.また小さなとげ(背棘:はいきょく)が,第9節の背中の部分に見えます.触角(しょっかく)は棒のような形をしていて,はば広くありません.翅芽(しが)は開かずまっすぐ後ろにのびています.

ミヤマサナエのそっきょくとはいきょく ミヤマサナエとミヤマサナエ
写真2.腹部の第6−9節に側棘があり,8,9節に背棘があります. 写真3.ミヤマサナエとミヤマサナエの比較.


<よくにた幼虫との区別>
 ミヤマサナエによくにた幼虫に,ホンサナエがいます.写真3のように,ミヤマサナエでは腹部の第7−9節にだけ横のとげ(側棘)がありませんが,ホンサナエではそのとげは腹部の第6−9節にあります.しかし,ホンサナエの中には腹部の第6節の横にとげがないものがいますので,確実な区別点にはなりません.もう一つの区別点は,写真3のように,腹部の第9節の形が,ミヤマサナエとはちがいます.ミヤマサナエでは黄矢印のようにカーブが急になっています.これは全体的な感じですが,ミヤマサナエの方がホンサナエより黒っぽく,腹部もうすっぺらい感じがします.

<さがす場所のヒント>
 ミヤマサナエは川の住人です.用水路などではほとんど見つかることがありません.大きな川で,砂がたっぷりと底に積もっているようなところを好みます.下の写真は,メスがやって来るのを待っているミヤマサナエのオスです.このような川の砂の中にもぐりこんで生活しています.なお,ミヤマサナエは,兵庫県では見つけるのがとても難しいトンボですので,ほとんど採れることはありません.

ミヤマサナエの産卵場所.
写真6.産卵にやって来るメスを待つオス.砂がたっぷりとたまった,はばの広い川に住んでいます.