神戸のトンボたち
K068. アキアカネ Sympetrum frequens
オスの静止.2010.12.4., 神戸市西区.
オスの静止.2010.12.4., 神戸市西区.
 神戸市では全域で見られるもっともふつうのアカトンボでした.記録地以外にも,過去には各地に記録があったはずです.しかし1997年あたりから,このアキアカネの数が明らかに減ってきました.1990年代の半ばころまでは,夏の六甲山頂や摩耶山頂で,木の枝の先に群がるようにたくさんのアキアカネが止まっていましたが,現在ではきわめてわずかの数しか見ることができません.この原因は温暖化とか水田のほ場整備とか,あるいは稲の品種が変わったため田への水入れの時期が変わったとかいわれることがありますが,最近では農薬の影響であるというのがもっとも確かな説として受け入れられています(神宮字ら,2009).
 本種は5〜6月頃に羽化し,そのまま高い山の山頂付近に上って夏を過ごします.暑さを避けるために山に登るという考え方が一般的です.かつて夏の六甲山や摩耶山へハイキングに出かけたときに草むらの葉や木の枝に集団でとまっていたトンボは,多くがこのアキアカネでした.秋になって涼しくなると平地へ降りてきて稲刈りのすんだ田んぼや,浅く泥が露出したようなため池,また市街地では公園の池,プールなどにも産卵に来ます.
 ナツアカネより少し遅れて産卵のピークが来るようで,水田での産卵の場合,ナツアカネは稲刈りの前,アキアカネが後のような印象が持たれます.
 最近は,アキアカネの平地での出現が,11月を過ぎて数が増える傾向が見られます.9月や10月の初めにはあまり姿を見かけません.何の証拠もありませんが,温暖化が影響して出現時期が気温の下がる時期にシフトしたと考えることができます.
神宮字 寛, 上田 哲行, 五箇 公一, 日鷹 一雅, 松良 俊明,2009.フィプロニルとイミダクロプリドを成分とする育苗箱施用殺虫剤がアキアカネの幼虫と羽化に及ぼす影響.農業農村工学会論文集,77(1):35-41.