神戸のトンボたち
K010. ハグロトンボ Atrocalopteryx atrata
オスの縄張り飛翔.1991.6.1.,神戸市北区.
交尾.2010.9.4.,神戸市北区.
 ハグロトンボの,確認できた市内での記録は,北区,西区,垂水区,須磨区,長田区,灘区にあり,主だったほとんどの川に記録があります.記録されていない残りの区でも,六甲山地を流れる河川を探せばおそらく見つかると思います.
 ところで,ハグロトンボは私が小さかった頃には,身の回りの川にたくさんいたように記憶しています.市街地でも,過去の記録には苅藻川,福田川などの記録があります.このトンボはシオカラトンボと同じくらいポピュラーで,子供の夏休みの自由研究の昆虫採集では必ず標本になっていたトンボです.
 しかし神戸市内での状況は一変していると言ってよいでしょう.福田川の奥畑付近は今は完全にコンクリートで固められ昔日の面影はありません.また神戸電鉄谷上駅前を流れる山田川(志染川)では,1970年代にはハグロトンボが群れ飛んでいたものですが,北神急行のターミナル建設で河岸がコンクリートで固められ,ほとんど姿を消してしまいました.現在では,市内の限られた場所にのみ多産しますが,他の場所では,時々少数の個体を見る程度にまで減少しています.