デジタルトンボ図鑑
ネキトンボ Sympetrum speciosum Oguma, 1915
ネキトンボ:♂,京都府京都市.♀,京都府京都市
♂,1997.9.23.(左),♀,1997.9.23.(右)./ スケール:1.0cm. 140% on 150ppi.
赤色♀,兵庫県加東市
赤色♀,2000.9.18. / スケール:1.0cm. 162% on 150ppi.
<分類学的位置>
 トンボ目 Order Odonata
 トンボ科 Family Libellulidae
 アカネ属 Genus Sympetrum

<分布> 
 本州・四国・九州に分布し,九州周辺の離島でも見られる.本州では,以前は福島県より南西の都府県に分布するとされていたが,近年,岩手県(伊藤,2018),山形県(玉田ら,2021),青森県(奈良岡・幸田,2022)へと分布が北上している.
 またかつては,本原名亜種 Sympetrum speciosum speciosum は日本特産亜種とされており(杉村ら,1999;井上・宮武,2005),台湾には別亜種のタイワンネキトンボ Sympetrum speciosum taiwanum が,インド・ネパールには Sympetrum speciosum haematoneura が分布するとされていた.しかし現在はこれらはすべて原名亜種と同一亜種であるとされている(例えば,Kalkman, 2020).したがって,現在の海外分布域は,パキスタン,ブータン,ネパール,インド,ベトナム,台湾,韓国となる.
 学名に関しては,亜種がなくなったため,Sympetrum speciosum という表記になった.

<特記事項>
 翅の基部がオレンジ色に着色しているトンボで,キトンボほど広がらない.胸側に太い黒条が1本ある.これらの特徴から他のアカネ属各種との区別は容易である.♀には,成熟したときに腹部上部が赤くなる個体とならない個体とがある.


伊藤 智,2018.岩手県からネキトンボの記録.Tombo 60:113-114.
井上清・宮武頼夫(監修),2005.トンボの調べ方.日本環境動物昆虫学会編.文教出版.大阪.
玉田昭洋・岡村悠紀・富樫祐介,2021.山形県でネキトンボの発生を初確認.Tombo 63:79-80.
奈良岡弘治・幸田洋平,2022.青森県で発見されたネキトンボ.Tombo 64:43-44.
V.J. Kalkman, R. Babu, M. Bedjanič, K. Conniff, T. Gyeltshen, M.K. Khan, K.A. Subramanian, A. Zia & A.G. Orr, 2020. Checklist of the dragonflies and damselflies (Insecta: Odonata) of Bangladesh, Bhutan, India, Nepal, Pakistan and Sri Lanka. Zootaxa 4849(1):001-084.

<生体写真>
オスの生体写真

メスの生体写真