アオイトトンボ科  Lestidae Calvert, 1901

 日本国内にはアオイトトンボ科は3属7種が分布する,

 アオイトトンボ属の4種,アオイトトンボ,エゾアオイトトンボ,オオアオイトトンボ,コバネアオイトトンボは互いによく似ていて,いずれも区別が少し難しい.北海道ではアオイトトンボ,エゾアオイトトンボ,オオアオイトトンボが分布しているが,オオアオイトトンボは局地的に産するだけなので,ほとんどの場合,アオイトトンボとエゾアオイトトンボの区別に直面するだけである.これら2種は,♀の場合,エゾアオイトトンボの産卵管の先端部が腹部先端を越えるほど長く,エゾアオイトトンボは縁紋がアオイトトンボに比べて短いという(杉村ら,1999).本州以南ではエゾアオイトトンボを除く3種の区別を必要とする.

 ホソミオツネントンボ属のオガサワラアオイトトンボは小笠原諸島にのみ分布し,他のアオイトトンボ科の種はそこに分布しないので同定上の問題はまずない.

 オツネントン属のオツネントンボとホソミオツネントンボ属のホソミオツネントンボは,成熟した時には色彩が全く異なるのでほとんど見間違うことはないが,未熟なときに同じような褐色の色彩をしており,間違いやすい.これらは縁紋の位置で区別するのがよい(図3).



 本州以南に分布するアオイトトンボ属3種は,♂の場合,尾部下付属器を腹面から見て区別するとよい(図1).また成熟すると腹部先端部に白色の粉を吹き白くなるが,オオアオイトトンボは第10腹節だけが白くなるのに対し,他の2種は第9,10腹節が白くなる.なおアオイトトンボは胸側にも白い粉を吹く.
 ♀の場合は少し難しくなるが,まず翅胸側面の金属緑色の部分の先端が,第2側縫線に全く届かないのがコバネアオイトトンボで,届くか届かないかくらいで点で接する程度のものがアオイトトンボ,広く接するのがオオアオイトトンボである(以上は♂でも同じ).産卵管はオオアオイトトンボがいちばん大きく発達し,続いて,アオイトトンボ,コバネアオイトトンボは産卵管の発達が悪い.これら3種はいずれも産卵管の先端は腹部の先端を越えない程度であるが,北海道のエゾアオイトトンボはこれを大きく越えるという(杉村ら,1999).


図1.本州以南に分布するアオイトトンボ属3種の♂の比較

図2.本州以南に分布するアオイトトンボ属3種の♀の比較


 オツネントンボとホソミオツネントンボは,未熟なときに色彩がよく似ているが,前翅後翅を重ねて翅をたたんでいるときに,縁紋の位置を確認すれば簡単に区別できる.


図3.オツネントンボとホソミオツネントンボの区別点


杉村光俊・石田昇三・小島圭三・石田勝義・青木典司,1999.原色日本トンボ幼虫成虫大図鑑.北海道大学図書刊行会.


アオイトトンボ科 Family Lestidae

  オツネントンボ属 Genus Sympecma
001. オツネントンボ Sympecma paedisca

  ホソミオツネントンボ属 Genus Indolestes
002. ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus
CR+EN 003. オガサワラアオイトトンボ Indolestes boninensis

  アオイトトンボ属 Genus Lestes
003. アオイトトンボ Lestes sponsa
004. エゾアオイトトンボ Lestes dryas
005. オオアオイトトンボ Lestes temporalis
VU 006. コバネアオイトトンボ Lestes japonicus


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