No. 826. シオヤトンボの活動.2022.4.30.

今日はとある造成湿地の調査に出かけました.放棄水田を湿地に改造したところで,どんなトンボが集まってくるかを調査するのです.今日は成虫越冬種を見に行くことが目的で,それ以外はおまけというところ.しかし成虫越冬種は全く見られませんでした.いたのは,シオカラトンボ,シオヤトンボ,アサヒナカワトンボ,ハラビロトンボだけでした.

唯一繁殖活動を行っていたのはシオヤトンボでした.今日はオスにもちょっと焦点を当てて撮影してみました.


▲湿地で,倒木に止まって交尾しているシオヤトンボのペアを見つけた.▲


▲交尾を解いたがメスはそのまま静止していて,オスが産卵を催促している.▲


▲やがて,メスは,産卵を始めた.▲


▲オスは上空を飛んで警護する.飛びながら動き回るオス.▲


▲シオヤトンボの産卵.飛ばしている水が濁っていないのが不思議である.▲

今日は気温が17℃,風がどこか冷たいのです.快晴になったのは昼前からで,それまで少し寒かったぐらいですから,トンボたちの活動が鈍かったのかもしれません.

その後,ホンサナエを見に行きましたが,まだ出てきていませんでした.コサナエも見に行きましたが,1ペアだけがいました.変な感じで交尾していました.オスの連結部が外れたのですね.アクロバティックな交尾でした.


▲コサナエのアクロバティックな交尾.▲

ここには,あと,ヨツボシトンボがいただけでした.それにしても本当にトンボの姿が少ない一日でした.早期に羽化したトンボたちは,山の中ででも未熟な時間を楽しんでいたのかもしれません.ゴールデンウィークの後半になったら,出てくるでしょうね.それにしても成虫越冬種,もう消えたのでしょうか…..

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 826. シオヤトンボの活動.2022.4.30. はコメントを受け付けていません

No.825. コサナエたちはまだまだ草原で遊んでいる.2022.4.28.

今日は快晴の一日だそうで,コサナエたちの成熟状況を観察に行きました.今年はフタスジサナエが早くから羽化していたので,産卵に来ることも期待しました.まずはタベサナエから...

▲タベサナエのオス.もう成熟して湿地に出ている.▲

▲タベサナエのメス.まだ複眼がちょっと濁っていて,成熟まであと一歩.▲

タベサナエは湿地の周辺にたくさんいました.オスは成熟している個体もいくらかはいましたが,メスはまだどれも成熟まであと一歩の状態に見えました.もっとも,成熟した個体は隠れているのかもしれません.たくさんの半成熟個体は草むらを行ったり来たりして飛んでいました.

▲まだ多くの個体が草むらで遊んでいる.タベサナエ.▲

未熟なタベサナエのメスとフタスジサナエのメスが,並んで止まっていました.

▲左がフタスジサナエのメス,右がタベサナエのメス.▲

次はフタスジサナエです.フタスジサナエは池の畔でもうたくさんのオスがメスを待って止まっていました.まだ未熟な個体もいますが,繁殖活動は一部で開始されたようです.

▲すっかりと成熟したフタスジサナエのオス.池の畔でメスを待っている.▲

▲メスの方はまだ半成熟的な個体が結構見られた.▲

しばらく産卵を待つことにしたら,合計3頭入ってきました.うち1頭はオスにつかまって道に落ちました.今日の産卵メスは2頭とも短時間で産卵を終えました.まだ成熟卵が多くないのかもしれません.久しぶりの飛翔写真であったこともあり,あまりうまく撮れませんでした.まだ草地で飛び回っているフタスジサナエも多く,本格的な産卵活動はもう少し先になりそうです.


▲産卵にやってきたフタスジサナエのメス.一番下は別個体.▲


▲産卵にやってきたメスをとらえて地面に押さえつけている.▲


▲タベサナエと同様に,まだ草地を飛び回っていた個体もいた.▲

この池には数は少なかったですが,オグマサナエも来ていました.メスは路上で未熟な個体に出会っただけでした.この池でも根気強く待てば,産卵活動が見られるかもしれません.本当にオグマサナエの産卵には出会うのが難しいと感じています.


▲オグマサナエたち.下のメスも大分複眼が透き通ってきている.▲

コサナエ属のトンボは,この産地では,今年は例年になく個体数が多いように感じます.あちこち飛び回る姿は春の息吹いっぱいです.本格的な産卵シーズンは,ゴールデンウィークの後半ごろでしょう.

コサナエ属に混じってまたこれも数が多かったのが,シオヤトンボ.すっかり成熟が進んで,多くのオスが白粉を帯び,湿地の上で激しくバトルを繰り広げていました.この成熟したてのオスの,灰青色の粉,マリンブルーの複眼,黒と黄色の胸側,橙色の縁紋,普通種ですがオシャレな色彩の組み合わせで,気に入っています.


▲成熟したてのシオヤトンボのオス.胸側に黄色と黒の縞模様が残るのがいい.▲

さて,この池での楽しい観察はこれくらいで終え,春の新出トンボを探しに行くことにしました.まず先日成虫越冬種をたくさん見た池に足を運んでみました.前にも書きましたが,ここはいつも春一番のシオヤトンボを見に来るところです.しかし今年はシオヤトンボの姿が全く消えていました.おそらく池の一方にある湿地状の彼らの生活場所が,水位の低下か何かで長期間干されていたのではないでしょうか.この池に連なる上段の複数の池も今年は水位が非常に低いのです.そのせいか,他のトンボの姿も全くありません.

成虫越冬種は冬の水位低下の影響を受けないのでたくさん集まっていたのでしょう.その成虫越冬種,今日はホソミオツネントンボが1頭いただけで,他は姿がありませんでした.もう繁殖活動期が終わったのでしょうか.今までの感覚ならゴールデンウィーク中頃ぐらいまでが繁殖活動の盛りだったように感じます.生物季節が早まっている感が強いです.そのことと関連あるようなことが,次の池でありました.ギンヤンマの産卵です.


▲ギンヤンマの単独産卵.翅はまだ輝いている若々しいメスだ.▲

4月中の産卵を見ることは今まではありませんでした.私的に,今までの最も早い記録は5月8日の産卵でした.掲示板にもギンヤンマが飛んでいる報告がありましたし,そこでは真っ赤なショウジョウトンボさえ5月25日に飛んでいたそうです.このメス単独で産卵していますが,交尾を経験しているのかなぁ.オスは全くこの地には姿がありません.

さて,最後は,アオモンイトトンボとアジアイトトンボの確認です.いつもの観察池に行きました.今年3回目になります.今日はやっと出会えました.まだ羽化したての個体がひらひら飛んでいたりして,ようやく羽化が始まったという雰囲気です.生物季節が早まったと書きましたけれども,ここのアオモンイトトンボとアジアイトトンボの出現は,例年より遅い気がします.


▲アオモンイトトンボ同色型メス.▲


▲羽化して間もないアジアイトトンボ.▲

撮影したアジアイトトンボで,腹部第9節の水色部分が少し他の腹節に広がっている個体を見ました.ちょっと珍しい斑紋異常です.


▲腹部第8節後縁と第10節にまで水色部分が広がっているアジアイトトンボオス.▲

あと,2番目に立ち寄った池で,ヨツボシトンボを1頭見ました.写真にはなりませんでしたが,最初の池ではトラフトンボが通過するのも見ました.ということで,新出トンボ5種,うち,写真は4種です.


▲最近はヨツボシトンボもうじゃうじゃいるところがなくなってきた.▲

明日はまた天気が荒れるそうです.あさって以降の観察になります.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.825. コサナエたちはまだまだ草原で遊んでいる.2022.4.28. はコメントを受け付けていません

No.824. コサナエの災難.2022.4.19.

コサナエ属の3種の出現を見たので,今日は残りの1種,コサナエの羽化を見に北部へ出かけてきました.風は涼しくまだ20℃になっていません.最初に川に入り,ダビドサナエなどの羽化が始まっていないか見てみました.なかなか見つかりませんでしたが,合計3頭が飛び立ち,1頭だけなんとか写真にできました.羽化殻は2個ありました.

▲羽化殻から飛び立って止まったダビドサナエと,その羽化殻.▲

川ではこれ以上のトンボは見つかりませんでしたので,次はカワトンボが入り込む谷筋に行ってみました.途中流れの縁からカワトンボが2頭ほど飛び立ちました.谷筋に入っていきますと,ニホンカワトンボがあちこち飛んでいました.

▲ニホンカワトンボの未熟な個体.上がオスで下がメス.▲

アサヒナカワトンボも少し混じっていました.しかしすでに細流の縁でなわばり活動をしている個体がいました.縁紋はまだほんの少し赤みを帯びている程度で腹部の白粉もまだうっすらという感じの個体でした.でも他のオスとバトルをやっていましたから,もう十分成熟気取りでした.

▲アサヒナカワトンボの成熟したてのオス.なわばり静止である.▲

さて,コサナエを見に行くことにしました.10時半ぐらいです.日差しは申し分なく羽化していてもいい感じでした.しかし,羽化殻は10個以上あったのですが,羽化している個体がいません.もう一つ別の池にも行ってみましたが,同じ状態で,羽化殻だけしかありませんでした.遅かったかと思いました.

▲コサナエの羽化殻.全部で10個以上はあった.▲

あちこち,未熟個体を探してみましたが,見つかりません.樹上に上がっているのでしょうか.12時を過ぎ,もう一度最初の場所へ戻りました.すると,羽化しているコサナエを1頭見つけました.最初来たときはまだ涼しいくらいでしたから,これくらい暖かくなった時間に羽化を始めたのかもしれません.

▲コサナエメスの羽化.静止期.▲

やがて腹部を抜き,順調に羽化を観察できるかと思い,まあ1頭だけでも見られただけよし,と腰を落ち着けたときでした.突然,羽化していたコサナエが向きを変え,水の中に入るような動きを見せました.どうしたのだろう? よく見ると,なんと,アメンボがへばりついて口吻を体に突きつけようとしているのです.


▲さあこれから翅の伸長だと思っていたとき,突然水の中に入るような動作をした.▲

コサナエは,結局一周して,元の位置に戻って,羽化殻につかまり羽化を継続し始めました.途中でやめる訳にもいかないのでしょうね.アメンボが反対側にくっついているので,私も反対側に回り込んで観察を続けました.果たしてこの状態で羽化を無事完了できるのだろうか,興味はその一点になりました.

▲結局元の位置に戻って羽化を再開した.アメンボはしっかりとくっついている.▲


▲羽化を続けるコサナエに馬乗りになって襲い続けるアメンボ.▲

アメンボも,口吻がなかなか突き刺さらないのか,ごそごそと動き回っています.で,このまま無事羽化してしまうかもしれないという期待が持てました.このとき別の場所からコサナエが処女飛行に飛び立ちました.もっとよく見渡しておくのだったと思いましたが,飛び立って止まったところを撮っておきました.


▲もう1頭近くで羽化していたみたいだ.完全に見落としていた.コサナエ.▲

ちょっと目を離した間に,アメンボがいなくなっていました.アメンボのヤツ,口吻が突き刺さらないので諦めたかな,と思ったりもしましたが,写真を撮ってみると,体液が出ていました.突き刺さっていたのですね.


▲緑色の体液がしみ出ている.かなり影響があるのではないかな.▲

コサナエはなおも羽化を継続しましたが,やはり異変が起き始めました.肛門水が出てきたのですが,それがやたらでかく,うまく落ちません.腹部に水を押し出す力が入らないようで,肛門水を落とすことができないみたいです.


▲肛門水を落とすことができず,どんどん大きくなっていく.▲

そしてとうとう耐えかねたのか,翅を半開きにして,すぐ横の枯れ枝によじ登り始めました.アメンボもまだくっついていこうとしています.


▲羽化殻を離れ,枯れ枝によじ登り始めた.アメンボもまだくっついている.▲

そして最後,木の枝にぶら下がるようになりました.その後しばらく見ていましたが,やがて,風で,枯れ葉が揺れるように,ぶらぶらするようになりました.足でしがみついたままどうやら絶命したようです.木によじ登ったのは,本当は処女飛行に飛び立ちたかったのかもしれません.おそらく力尽きて,よじ登るのが精一杯だったのでしょう.でも最後まで一歩でも高く空を目指して行く姿に,ちょっとお涙ちょうだいになりました.


▲最後はこの状態で,風にぶらぶら揺れていました.▲

コサナエ属は本当によく羽化不全があるのですが,こうやって他の生物に狙われているのですね.そういえば,先日もタベサナエがカエルにやられていました.少し横には,少し以前に何かにやられたコサナエの遺体が水につかっていました.


▲少し以前だろうか,コサナエが羽化できずに死んでいる.羽化殻はコサナエ.▲

コサナエは不幸な目に遭いましたが,すぐ足下ではシオヤトンボが羽化していて,こちらは元気に飛び立っていきました.


▲シオヤトンボの羽化.▲

その他,ホソミオツネントンボやホソミイトトンボが活動していました.

北部はひっそりと春が始まっているようでした.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.824. コサナエの災難.2022.4.19. はコメントを受け付けていません

No.823. シオヤトンボ産卵始まる.2022.4.17.

今日は朝から花粉症が出て,鼻が壊れたみたいな状態でしたが,どこにいても同じなので,トンボの出現状況を見に行くことにしました.日付をみるとまだ4月18日です.例年ですと,そろそろフタスジサナエの羽化が始まるかな,というくらいのタイミングです.しかし,今年はすでにたくさんのフタスジサナエが羽化しており,かなり季節が早く進んでいるように感じます.が一方,タベサナエがまだまだ羽化しているなど,ちょっと出現順の混乱も感じられます.

今日は仮称AからEまで5カ所の観察地に行ってきました.AとBは近くにあり同じようなトンボがみられます.今日の収穫はオグマサナエに出会ったことです.これでコサナエ属3種の出現が確認できました.あとは北部のコサナエだけです.その紹介の前に,やはり春一番のトンボの面目躍如ですね,シオヤトンボがもう繁殖活動を開始していました.オスもすっかりと成熟しており,湿地のあちこちで飛び回っていました.

▲シオヤトンボのオスもすっかりと成熟している.新鮮で美しい.A地点.▲

このオスは下の産卵メスを遠くから見守っている個体です.メスが産卵しているすぐ横で,別のシオヤトンボが羽化をしています.コサナエ属と同じように,羽化がだらだら続いているのが今年の春の特徴のようです.


▲産卵するメス.産卵するすぐ横で別のシオヤトンボが羽化している.A地点.▲

少し離れたところで,湿地からタベサナエが飛び立ちました.飛び立ったところには羽化殻が残されていました.タベサナエもまだ羽化が続いています.


▲タベサナエの羽化殻とそこから飛び立って止まったタベサナエのオス.A地点.▲

▲B地点でも羽化したてのタベサナエのメスが止まっていた.▲

フタスジサナエは,B地点では羽化の盛りという感じでした.先日30個以上の羽化殻を見つけたのはA地点で4月12日でした.今日はA地点では全く羽化殻が見つからなかったので,やはり近所でありながらも,生息場所によって,羽化のタイミングは微妙に違っているんですね.


▲B地点では,今がフタスジサナエの羽化の盛りのよう.▲


▲フタスジサナエのオス(上:B地点)とメス(下:A地点).▲

そして今日はやっとオグマサナエに出会いました.B地点には以前からオグマサナエがいたのですが,タベサナエが入ってきてからどうも数が減ったように感じていました.今日羽化直後らしい成虫を見つけたので,羽化殻をちょっと真剣に探しましたら,同じB地点でも,植生のない,堰堤のところから急に深くなるような一番奥の池で羽化殻を見つけました.別の生息地でも同様に,岸から急に深くなるような,植生がない池でよく見つかります.多の2種とは微妙に好みの微小環境が違うようです.


▲オグマサナエの羽化殻.植生がない池の倒木につかまって羽化している.B地点.▲


▲羽化殻のついていた池のすぐそばに止まっているオグマサナエたち.B地点.▲


▲B地点だが少し離れたところ.まだ翅が白く曇っている羽化直後のオグマサナエ.▲


▲A地点.撮ってすぐ逃げたので,後で写真を見て気づいた.オグマサナエのメス.▲

今日はB地点で,足下から飛び立つたくさんのコサナエ属を見ることができました.この風景が好きで毎年春が来るのを楽しみにしています.ただこれを写真で表現できないのが残念です.

さて,次は,かつて定点池と称して,毎年春に必ず観察に立ち寄っていた池(D地点)に行ってみました.この池は,隣の池が工事によって改修され,その間水を落とされていたりして,トンボにとって厳しい状態が去年から続いていました.今日は水位は復活し,以前の様相とよく似た状態になっていました.ただ,たくさん生えていたカンガレイが,全く芽吹いていません.水を落としていた影響があったのかもしれません.それでも,枯れ草が浮いているあたりに,成虫越冬種が集まっていました.個体数は多くはありませんでしたが,この池で久しぶりに成虫越冬種3種を見ることができました.


▲オツネントンボ.産卵もしたが敏感で写真にはならなかった.他に1オスいた.▲


▲ホソミオツネントンボ.3頭ほど見かけたが,タンデム態は見られなかった.▲


▲ホソミイトトンボ.2ペアが産卵,単独オスは数頭見られた.以上D地点.▲

これをいいスタートとして,この池が以前のように活気ある状態に戻ることを期待したいです.連休あたりにきてみると,その答が分かるでしょう.

さて,他のC地点,E地点はほとんど成果がありませんでした.C地点は秋にオオキトンボやタイリクアカネを見に来るところですが,春の状態はもう一つでした.処女飛行に飛び立ったシオカラトンボがいました.E地点はアオモンイトトンボの多い池ですが,まだ羽化していないようでした.あと,アジアイトトンボの姿をちらっとだけ見ました.ということで,今日の新顔を最後に掲載して,今日の報告を終わります.


▲シオカラトンボ.C地点.▲


▲クロイトトンボのメス.池から飛び立った.D地点.▲

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.823. シオヤトンボ産卵始まる.2022.4.17. はコメントを受け付けていません

No.822. シオヤトンボが出てきた.2022.4.12.

今日も春のトンボの出現状況を見に行きました.ねらいはオグマサナエです.まずは去年オスがなわばりをしていた池をのぞいてみました.するとすぐに1頭のサナエトンボが羽化しているのが目に付きました.オグマサナエかと思いましたが,なんとフタスジサナエでした.早いですね,もうフタスジサナエが出てきています.しかも,あちこちに羽化殻がいっぱいついていました.ざっと数えただけでも30個以上はありました.

▲フタスジサナエの羽化.すぐ横にも羽化殻があるが,すでにたくさん出ている.▲

フタスジサナエの羽化は4月後半が普通と思っていますが,4月12日の羽化確認はおそらく私的には新記録ではないかと思います.ここではタベサナエもすでにかなり成熟状態が進んでいるようでした.一昨日は何も飛ばなかったのに….

▲タベサナエのオス.翅もしっかりとしてきている.▲

それからシオヤトンボが,10頭以上飛び回っていました.本当に不思議です.一昨日の方がよく晴れていたのに姿が見られませんでした.すでに粉を吹きかけている個体もあり,一昨日以降の羽化とは思えません.

▲シオヤトンボのオス(上)とメス(下).▲

このあと,例年オグマサナエが見られるところへ行ってみましたが,まだ姿はありませんでした.そこで今日はオグマサナエは諦めて,一昨日見かけたオツネントンボについて,産卵活動を期待して立ち寄ってみました.いました.全部で6頭見かけました.数が少しだけ増えています.最初に見たのが単独のメスで,しばらく見ていると産卵を始めました.個体数が少ないせいか,オスに見つからないんでしょうね.

▲単独で産卵するオツネントンボのメス.▲

撮ろうと思っていたビデオにも記録したので,連結で産卵している個体はいないか,探してみることにしました.途中,オスが追いかけ合いをしていました.数がいるといろいろな行動が見られてうれしくなります.

▲オツネントンボの単独オス.単独オスは少なくとも3頭はいた.▲

少し進むと,タンデムのオツネントンボが飛ぶのが目に入りました.なかなか敏捷で,近寄らせてくれません.産卵を始めてもすぐ飛び立ちます.

▲スゲの間を飛び回るオツネントンボのタンデムペア.▲

▲ときどき止まって産卵するが,すぐに飛び立つ.▲

ときどき見失ったりしながら,気長に落ち着いて産卵するのを待ちました.脅かさなければ必ずチャンスは来るものです.しばらくしてやっと,一カ所で集中して産卵を始めました.まずは遠くから,そしてゆっくりと近づいて至近距離から撮影しました.もちろんビデオにも余裕を持って記録できました.

▲まずは遠くから,そしてそーっと近づいて近くから撮影した.▲

こういうときはライブビュー撮影が楽です.今のカメラは背中の液晶ビュワーを引き出して水平にできるので,水面ギリギリにカメラを置いて撮影できます.そうしないとなかなか両方にピントが来ません.あと,ホソミオツネントンボやホソミイトトンボたちも,一昨日ほどではありませんが,活動をしていました.日によって活動個体数に変動があるようですね.

▲ホソミオツネントンボの産卵.▲

▲ホソミイトトンボの産卵.▲

去年はかなり苦労しましたが,今年はいとも簡単に越冬3種の活動を見ることができました.年によって見やすさに違いがあります.帰り際,ホソミイトトンボが潜水産卵をしていましたので,これを撮って今日は終わりにしました.

▲ホソミイトトンボの潜水産卵.▲

ビデオはまた後日公開します.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No.822. シオヤトンボが出てきた.2022.4.12. はコメントを受け付けていません