No. 836. 近所の公園で.2022.5.22.

今日はいい天気ですが,孫が来ていて,どこへも行けません.そこで,散歩という口実で,孫と一緒に近所の公園に出かけてきました.ここは,夏にタイワンウチワヤンマを見に来ることが多い公園ですが,この時期に行くのは,実は初めてです.何がいるのかそういう意味では楽しみです.

まずはシオカラトンボ,クロイトトンボ,ショウジョウトンボなどの普通種です.


▲シオカラトンボの警護産卵.▲


▲クロイトトンボの個体数は多かった.▲


▲産卵するショウジョウトンボのメス.▲

最近クロイトトンボもうじゃうじゃいるところが少なくなってきたので,たくさんいるのは嬉しいことです.スイレンの葉の上を飛び回っていました.そしてもう一つ嬉しかったのが,ヨツボシトンボが飛び交っていたことでした.ヨツボシトンボの次の観察地を探さねばと思っていたので,これくらい(10頭はいた)飛んでおれば,見ていて楽しむことができそうです.


▲ヨツボシトンボのオス.元気に追いかけあいをしていた.▲

そしてもう一つ,フタスジサナエがいたことです.2オス2メス見ました.うち1オス1メスはタンデムになって樹上へ上がりました.他は,産卵に来ていたメスと,水際でメスを待つオスです.


▲産卵にやってきたフタスジサナエ.▲


▲水辺でメスを待つオスのフタスジサナエ.▲

思ってもいないトンボに出会えて,来た甲斐がありました.こんなことでもなければ,今日などは絶対北部へ行っているでしょうね.この公園にも,面白いトンボたちが集まっていることがわかりました.

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No. 835. ムカシトンボを見に行ったが… 2022.5.19.

一昨日の午後あたりから天気が回復し,昨日も晴れ,今日は三日目の晴れの日です.こういう晴れの日が続いたときは,あまり繁殖活動が活発にならないのですが,明日からはまた下り坂になりそうなので,先日の続きで,ムカシトンボを見に行きました.

着いたとき,まず,産卵痕を探しました.それはすぐに見つかりました.写真を撮るにはちょうど都合のよいところに生えている蕗があって,ここに来ればいいと前回思っていたところなのですが,そこにびっしりと付いていました.他にも付いているところがあって,おそらく昨日一昨日の二日の間に一気に産卵に来たのでしょう.


▲いろいろなところに付いていた産卵痕.▲

ちょっといやな感じです.今日は産卵意欲のあるメスがもういないかも…,まあ,仕事の関係で来れなかったので仕方がありません,待つことにしました.9:30ごろにまずオスが飛びました.しかしメスを探すような飛び方ではありません.9:40ごろ,続いてメスが入りました.すぐ近くに止まったのですが,草陰になっていてカメラを向けることが非常に難しい位置です.案の定,ガサゴソやっていたら,すぐに逃げてしまいました.写真は1,2枚しか撮れませんでした.


▲ムカシトンボの産卵.▲

なんと,4時間ぐらい粘りましたが,今日はこれだけでした.オスが2回くらい飛びました.しかし探雌飛翔という感じではありません.晴れて気温も高いのですが,最初のいやな予感が当たりました.写真のムカシトンボの複眼が透き通っています.もう活動期も後半のようです.一昨日と昨日がピークだったのかもしれません.今年はタイミングが外れたかな…

ヒラサナエに転進しました.


▲ヒラサナエの交尾.▲

ヒラサナエもまだ若い感じです.今日処女飛行に飛び立った個体も見ました.ムカシトンボを待つ間も,クロサナエやヒメクロサナエが飛びましたけれども,これも,繁殖活動の飛び方ではなくビュンビュン行ったり来たりするだけでした.今年のこの山は春が遅かったのかもしれません.もう少し時間をおいてまた来ることにしましょう.

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No. 834. アサヒナカワトンボの着色翅.2022.5.18.

今日は晴れなのに午前中は仕事が入っていました.午後,近所になら出かけられるということで,市内のアサヒナカワトンボを見に行くことにしました.この場所は,着色翅の個体が見られるということを,もうずっと以前に聞いて知っていました.これまでも機会があるたびに出かけて探してきました.うっすらと色づいた個体は過去にも見つけていますが,今日は,本格的に茶色の翅のアサヒナカワトンボに出会うことができました.


▲翅が茶色に着色しているアサヒナカワトンボのオス.▲


▲一番上と同じ個体を別の角度から撮影したもの.▲


▲この個体の標本写真.▲

この個体は,いわゆる橙色翅のアサヒナカワトンボとはちょっと違うようです.下の写真は,淡路島に産する橙色翅のオスです.見てわかるように橙色の部分は,翅脈まで橙色で,べたっとした一様な橙色になっています.しかし上の個体は翅脈が黒く,これは透明翅型の形質です.また淡路島産の個体の翅胸前面には白粉が付着していますがここの個体にはそれがありません.これも透明翅型の形質です.浜田・井上(1985)によると,これは,f-esakii (橙色翅型)と f-strigata (透明翅型)の中間型とされています.


▲淡路島の橙色翅型のオス.2011.5.15. 撮影.▲


▲上記の今日の個体は翅脈が黒いままである(翅室の白濁は汚れ).▲

今日はこの個体が一番色が濃く着色していましたが,淡く着色した個体もいくつか見られました.


▲淡く橙色に着色した翅を持つアサヒナカワトンボのオス.▲


▲これも翅が淡く色づいている.前縁部が特に赤く光っている.▲


▲これもわずかに色づいているが,もうほとんど普通の透明翅型といってよい.▲


▲これは普通の透明翅型オスといえる個体である.▲

このように,いろいろな段階の翅の色をしたオスが見られるのが,ここの個体群の特徴です.兵庫県では,アサヒナカワトンボの透明翅型オス,透明翅型メスの組み合わせが基本で,橙色翅は淡路南部の一部地域だけということになっています.そういう意味で,神戸市のここの個体群は興味深く,遺伝子プールに他とは違った特徴があるように見受けられます.

さて,昼からここを訪れたので,ちょうどアサヒナカワトンボの繁殖活動時間帯に一致しました.着く早々,交尾態のペアがあちこちで観察されました.


▲タンデム形成から,移精行動,そして交尾へ.このオスも翅が淡く色づいている.▲


▲葉上ばかりでなく流れの近くでも交尾をしている.いずれもだいたい13:00頃.▲

少し流れの中を歩いてアサヒナカワトンボたちを探してみますと,あちこちで産卵をしているメスが見つかりました.いずれのメスもすぐ近くに縄張りオスがいて,警護されていました.


▲オスに警護されながら朽ち木に産卵するメス.▲


▲産卵するメスたち.▲

さて,仕事帰りに立ち寄った観察でしたが,目的の着色翅の個体も観察できましたので,これでよしとしました.アサヒナカワトンボ以外には,若いヤマサナエがいました.ここは毎年ヤマサナエが結構たくさん見つかるところで,産卵観察にいいかもしれません.


▲ヤマサナエのオス(上)とメス(下).それなりに個体数が見られる.▲

というところで今日は終わりです.

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No. 833. ヒラサナエ羽化.2022.5.10.

明日からしばらく雨天続き.今日は北部は晴れるとの予報で,ムカシトンボを見に行きました.ちょっと時期的には早いタイミングですが,この時期に行ったことがないこともあり,行ってみることにしました.結果は,3頭のオスが通過しただけで,まだ繁殖活動を始めている風には見えませんでした.

そこで転進して,ヒラサナエを見に行きました.湿地を歩くとヒラサナエがひらひらと処女飛行に飛び立ちました.まだ羽化期なのですね.これではムカシトンボのタイミングも早すぎる,と納得しました.このあたりの春は,ちょっと遅いようです.


▲ヒラサナエの羽化殻.後頭角にとげがあるのがはっきりとわかる.▲


▲処女飛行に飛び立っていったん着地したメスのヒラサナエ.▲

数匹がこのような感じで飛びました.もうちょっと体が硬化した黄色いトンボはいないかと探しましたら,少し奥の方に集まっていました.


▲ヒラサナエはほとんど分散しないので,かたまっていることが多い.▲

ヒラサナエの若い,淡色部が黄色い個体はいつもながらなかなかきれいです.だんだんと淡緑色になっていくので,この時期のトンボが好きでよく見に来ます.今日もそれを見に来たという感じです.


▲もう少し日が強く射していると黄色が映えるのだが...上がオス下がメス.▲

ということで,今日は終わりにしました.この週末か来週あたりがムカシトンボの最盛期になりそうです.

最後に,この湿地にはウスバシロチョウが多いので,ついつい目が行ってしまいます.今日のゲストで一枚載せておきます.


▲ウスバシロチョウ.▲

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No.832. 夕方のお散歩。2022.5.7.

この週末は,連休疲れをとるために,休養の予定でした.それでもこれだけ青空が広がるとじっとしていられなくなり,夕方にコサナエ属が産卵に来ることを確かめに,お散歩をしてきました.池の畔に座ってじっとトンボを眺めるだけです.16:00ぐらいから18:00ぐらいまで座っていました.池にはフタスジサナエとオグマサナエのオスが止まっていました.


▲フタスジサナエのオス.16:20.▲


▲オグマサナエのオス.16:59.▲

17:10ごろ,フタスジサナエが産卵にやってきました.しかしあっという間に2頭のオスに追いかけられ,そのうちの1頭にお持ち帰りされてしまいました.陽はもう山の稜線に沈んでいますが,空はまだ青空が広がっていて,明るい状態です.昨日のホンサナエでもそうでしたが,晴天の日は,オスの「帰宅」が遅いようです.次にメスが入ったのは17:23でした.


▲フタスジサナエのメス.17:23.▲

このメス,ストロボの光ですぐに飛び去ってしまいました.そのあと,17:30ごとにもメスがやってきましたが,これもあっという間にオスにお持ち帰りされました.あとは18:00まで音沙汰なしでした.やはり夕方には産卵にやってくるようです.ただ,気温の高い快晴の日は,オスも意外と遅くまで粘っているようです.少し気温が低い曇りの日の方がいいのかもしれません.

涼しい夕方のひとときでした.

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