今日は,姿を消したのではないかと思われるトンボを探しに,過去の産地へ出かけていきました.ねらいは,カトリヤンマ,エゾトンボ,マダラナニワトンボです.まず森林公園の散策路に入りこんでいるカトリヤンマを探してみることにしました.ここには湿地も点在しており,かつてはエゾトンボもよく飛んでいました.
公園に入ってまず見つけたのは,高い木の枝先に止まる,アカネ属のトンボです.写真は撮りましたが,拡大してみるとナツアカネにように見えました.
▲木のてっぺん付近の枝に止まるアカネ属,おそらくナツアカネのメス.▲
次に明るい池をのぞいてみました.そこにはオオルリボシヤンマが1頭だけ飛んでいました.ここは標高が低い場所ですので,やはり秋には低地に下りてきます.
▲池の上を行ったり来たりして飛ぶオオルリボシヤンマのオス.▲
雑木林の散策路に入ると,カトリヤンマが飛び出し,目の前を行ったり来たりしましたが,やがて姿が見えなくなりました.いたことはいましたが写真にはなりませんでした.湿地の上を飛ぶエゾトンボの姿はなく,この公園ではエゾトンボは非常に見つけにくくなりました.この初夏にそれらしい個体を見ていますので,まだいることはいるのでしょう.湿地状の池の横の道にヒメアカネがぽつんと止まっていました.
▲ぽつんと1頭だけ止まっていたヒメアカネのオス.▲
次に公園を出たところの水田地帯を散策しました.まだ稲刈りは始まったばかりのようで,ほとんどの水田は稲が実ったままです.電気柵の棒の先に,ネキトンボのメスが3頭止まっていました.メスは池から離れた,こういった草原ふうの景色のところで過ごしているんですね.オスは池でメス待っているようですが.
▲まだ若そうなネキトンボのメス.▲
▲公園の池でメスを待っているネキトンボのオス.▲
ここまで歩いてきて,見たトンボは,カトリヤンマ1頭,オオルリボシヤンマ1頭,ヒメアカネ1頭,ナツアカネらしいトンボ1頭,ネキトンボオス1頭+メス3頭,リスアカネ1頭,シオカラトンボ2頭,ウスバキトンボ1頭,ハグロトンボ1頭です.約30分ほど歩いてもこれだけしかいません.端境期でトンボは少ないのですが,本当にトンボの姿がありませんね.
次は,マダラナニワトンボやエゾトンボがいたところへ行きますが,少し車が走る道路に沿って歩かないといけません.今日は車を使わず,一万歩以上歩くという覚悟できています.しかしほとんどトンボの姿はなく,オニヤンマが横を通り過ぎたりしましたが,退屈至極です.周りは田んぼなのですけどね.
約30分ほど歩いて,目的の谷に入りました.ウスバキトンボが1頭飛んでいます.その横の水田では,水がたまって湿地状になったところに,シオカラトンボとオオシオカラトンボが群れていました.
▲水田縁の湿地状の所に群れるシオカラトンボ.▲
▲電柵に止まるオオシオカラトンボ,腹部を曲げて何をしているのだろう?.▲
さらに歩みを進めていきますと,空き地の上空をコシアキトンボが2頭,摂食しているのに出会いました.この時期のコシアキトンボは結構珍しい部類に入ると思います.少し頑張りましたが,いい位置に来てくれず,陰になった写真しか撮れませんでした.
▲高い所を摂食しながら飛ぶコシアキトンボのオス.▲
道ばたには,所々にリスアカネのメスが止まっていました.リスアカネは日陰が好きなトンボですが,メスはそういったところを離れて,こういった日当たりのよい草原的な風景の所でくつろいでいるんですね.ネキトンボといっしょで,オスはメスを近くの池で待っているのに….
▲明るい水田地帯でくつろいでいるリスアカネのメス.▲
▲メスがやって来るのを池で待つリスアカネのオス.▲
このリスアカネのいた池に立ち寄った後,上空を通り過ぎるトンボのシルエットを見ました.腹部の膨らみかたが,エゾトンボ属のものと判断できました.エゾトンボはいると確信しました.が,まだ確定ではありません.
さて,いよいよ水田地帯を抜け,休耕田,いや放棄水田といった方がいいような状態の所に到着しました.昔マダラナニワトンボがいた池を覗いてみました.リスアカネが産卵をしていました.アオイトトンボもいます.色がきれいで,コバネアオだったらいいのになどと思いましたが,正真正銘のアオイトトンボでした.池に上るとき,ヌスビトハギの洗礼を受けました.Gパンに大量の種が付きました.これ取るの大変だ.
▲若いアオイトトンボは太陽の光を浴びるとなかなかきれいだ.▲
今日は産卵だ何だという生態観察が目的ではないので,リスアカネの産卵やアオイトトンボのタンデムに目もくれず,先を急ぎました.湿地状の放棄水田横にはヒメアカネが止まっていました.湿地だからヒメアカネがいるんですね.
▲ヒメアカネは複数見られた.▲
少し進むと,いました.エゾトンボ.放棄水田の上を悠然と飛んで,目の前を通り過ぎました.でも同じ所を行き来するという感じではなく,1,2度旋回すると姿を消しました.しばらくするとまた現れましたが,同じような飛び方です.1個体しかいないので,縄張りを持つ必要がないかのような飛び方をしています.
エゾトンボがまた来るかも知れないので,時間つぶしにヒメアカネを探しに放棄水田に下りてみました.でもナツアカネのオスが1頭止まっているだけでした.その後待ってもエゾトンボは帰ってきませんので,今日はここまでとしました.結局写真にはなりませんでしたが,まだこの地域からエゾトンボが姿を消していないことだけははっきりしました.
▲ナツアカネは本当に翅を取ったら唐辛子だ.別の1頭は稲の上を飛んでいた.▲
今日は,繁殖活動をしていないトンボたちの姿を見ることができました.いつもの観察が本番の舞台だとすると,舞台裏を見ているような感じでした.カトリヤンマとエゾトンボがまだ生き残っていることは確認できました.あと車の所まで帰って,12,000歩足らずで終了でした.そうそう,マダラナニワトンボはもちろんいませんでした.