例年行っている源流域のトンボ調査です.今年は少し出現が遅れているような気配があったのですけれども,結果的には例年通りといった感じに見えました.ムカシトンボが遅れているのかもしれないと先日判断していました.しかし今日の感じではむしろ早まっていたのかもしれません.ムカシトンボが羽化する時期には気温が高かったですから.今日の現地滞在時間は,9:15から13:30でした.
▲メスを探すように飛ぶムカシトンボのオス.▲
今日はムカシトンボは,オスが4回通っただけでした.メスを探すような飛び方をしていました.ジグザグに飛んで植物の間をのぞき込みます.写真には撮りにくい相手です.
クロサナエは,今日は4回産卵に入って来ました.これは多い方だと思います.流れ中央の同じ石の上で3回と,あとは別の場所でした.
▲1頭目のメスの産卵.10:05.▲
▲流れ中央の石の上で産卵するので背景の石が濡れて光っている.▲
▲これは2回目に産卵に入って来たメス.腹部の黄斑が1頭目とは異なる.12:08.▲
これもいつもの行動ですが,不思議とメスが産卵に下りてくると,少し間を開けてオスが同じ場所に下りてくるのです.もう何年もクロサナエを観察していますが,これはかなり高い確率で起きています.今回は2分後に産卵場所のすぐ横に下りてきました.
▲2頭目の産卵のあと,すぐそばにオスが下りてきた.12:10.▲
次のメスは流れの横の岸辺で産卵していましたが,発見が遅れて近づこうとしたときに産卵を止めたように見えました.近寄ってみると草の葉に止まり,なんと卵をポタポタと落としているように見えます.正確に言うと腹部先端に卵が付いています.これ遊離性静止産卵でしょうか.空中産卵をするナニワトンボやマダラナニワトンボで観察したことがあります.この個体は40秒近くこの状態でした.
▲3頭目の産卵メス.遊離性静止産卵!?.12:55.▲
3回産卵に出会うと,もう成果としては十分です.13:30に切り上げることにしました.するとこれもよくあるパターンですが,帰ろうとするとやってくるというヤツです.
▲帰り間際にやってきた4頭目の産卵メス.13:14.▲
さて源流域のもう一つのサナエトンボ,ヒメクロサナエです.こちらは,オスが時々下りてくるパターンで,いつも通りといったところです.メスもねらっていたポイントにぴったりと入って産卵をしました.さっと入って来て貼り付くように石に止まり,産卵を始めました.途中移動することなく同じ場所で産卵し続けました.近づいても逃げないいい性格のメスでした.ただ,写真の撮りにくい位置で,全部同じアングルの写真になってしまいました.ですので,1枚だけ紹介しておきます.
▲縄張りというより,メスが来そうな所を巡回して止まっているように見える.▲
▲時々は,流れから離れた草に止まって休息しているように見えるオスもいる.▲
▲静止接水産卵.11:57:20″-12:01:19″までの4分間の産卵であった.▲
最近ムカシトンボの産卵に出会っていません.今年は植物の生長が悪い感じがして,この谷に集まっていないのかもしれません.産卵痕も見つけられませんでした.
ということで,源流域のトンボ調査は1回で終了できそうです.つぎは中流域のトンボ,そろそろキイロサナエが羽化を始める時期です.