10月中旬に入りました.例年なら,アカトンボの活動が最も活発に見られる時期です.ただ,今年はアカトンボやアオイトトンボ属など,秋のトンボの成熟や活動開始が少し遅れているようなフィールド感覚があります.先日のフィールド調査でもアキアカネが平地ではまったく見られませんでした.そこで,今日は兵庫北部へ出かけ,もう一度アキアカネの出現を確認する調査を行いました.結果アキアカネは平地で活動を開始していました.
▲産卵するアキアカネのペア.写真はすべて同じペア.▲
この場所は,数年前は非常にたくさんのアキアカネが飛んでいたところですが,今年はほんの10頭前後を見かけただけでした.ただ,写真のように産卵しているペアも2ペア見られました.そこで少し場所を変えましたところ,そこではもう少し数が多くいました.
今年はネキトンボにあまり出会えていないので,次にそれを探しに行きました.ネキトンボは数頭見られましたが,これも数年前に比べると著しい減少です.
▲連結打水産卵するネキトンボのペア.▲
普通はネキトンボは最後まで連結産卵することが多いようですが,今日は,他のオスがいないせいか,すぐに連結を解除し,メスは単独で産卵するようになりました.ただしオスはかなり執拗に警護し続けていました.
▲単独産卵に移行したメス.▲
▲並行に飛翔して警護するオス.▲
▲メスが止まればオスも止まる.ハッチョウトンボみたい.▲
あと見かけたアカトンボは,コノシメトンボの単独産卵,ナツアカネ,ノシメトンボ,キトンボでした.
▲停止飛翔するキトンボ.▲
▲日向に静止するナツアカネメス.▲
あと季節バズレのチョウトンボが飛んでいました.止まらなかったので写真にはなりませんでしたが,結構新鮮な感じのする個体でした.今年の気温の高い状況が,トンボたちの生活史の枠組みを決めている季節的制御のあり方に影響を与えていないか心配です.変な時期に変なトンボが出てくると,特にそういう心配が頭をもたげます.
そうそう,それから,アオイトトンボの活動が活発でした.アオイトトンボは9月下旬が最盛期のように思っていますが,この私のフィールド感覚も目の前の現実に会わなくて,ずれてきているような気がします.