No. 904. 神戸のトンボ調査(5).2023.5.11.

ここのところ天気がよかったのですが,所用が続き,やっとのことでトンボを見に出かけることができました.今日は,今年の一つのテーマである地元神戸のトンボを確認する調査を続けることにしました.春の早い時期にしか出てこないトンボが探せるのももうあとわずかです.特に今年は早い感じがしていますので,時期を逃すことができません.今日のねらいはトラフトンボとヨツボシトンボとオグマサナエです.

まず前回フタスジサナエがたくさん生き残っていたところへ,オグマサナエを探しに行きました.ここにはオグマサナエの記録もあるからです.できるだけ今までのぞいたことのない池を目当てに,観察に入りました.二つ目の池があたりでした.タヌキモとヒシが繁茂しており,腐植酸性質のいい池です.最近はこういった植生が外来生物に荒らされて消えてしまっている池が多いのですが,この池はアカミミガメも入っていないようでした.そして嬉しいことに今日の目的であるトラフトンボとヨツボシトンボが飛んでいました.


▲No.11:トラフトンボ.2頭のオスが飛んでいた.▲


▲No.12:ヨツボシトンボ.ヨツボシトンボも2頭が池に現れていた.▲

トラフとヨツボシはセットになっていることが多いのですが,それがこの池では実現されていました.ヨツボシトンボを神戸市内で見るのは,私は久しぶりです.トラフトンボも同じくです.ちょっと気合いを入れて探せばまだ見つかるようですね.

この池はなかなかいい池なのですが,コサナエ属の姿がほとんど見られません.目を凝らして探すと,フタスジサナエが1頭だけ池に出て,メスを待っていました.


▲フタスジサナエのオス.成熟して池に出てきている.▲

さて,次の池に向かいました.途中で,フタスジサナエのまだ未熟な感じのするオスに出会いました.ただ数はメスが多かったです.


▲移動する道の途中に止まっていたフタスジサナエたち.▲

さて次の池は小さな池です.やはり腐植酸性質の池で,水は黒っぽい色ですが,きれいです.ヒメガマとヒツジグサが生育していました.池に着いたとき,向こう岸の方からクロスジギンヤンマのメスらしいのが飛び立ちました.池を出て行ったので,ちょっと残念な気がしました.池には成熟したフタスジサナエが活動をしていました.オグマサナエはいませんでした.


▲草の葉に止まってメスを待っていたフタスジサナエが摂食した瞬間.▲

フタスジサナエの写真を撮っていると,目の前におそらく先の個体でしょう,クロスジギンヤンマが産卵に降りてきました.そしてヒツジグサに止まって,おもむろに産卵を始めました.クロスジギンヤンマは神戸市内でもそれなりに出会えるのですが,写真に撮りやすい条件に巡り会うことがありませんでした.やっとという感じで,神戸産クロスジギンヤンマの産卵写真をゲットしました.


▲No.13:クロスジギンヤンマ.これで「神戸のトンボ」のページの写真ができた.▲

この池にはオスが入ってきて,植生の中を順次のぞき込んでいました.オスに見つかると強引に連れて行かれることが多いので,そういったシーンが見られるかと思って期待していました.でも私が陣取っているからでしょうか,オスは私の前にだけはやって来ません.ですからこのメスは最後まで産卵を続け,池を出て行きました.

さて,その後もしばらく新しい池をのぞき込みながら移動しました.シオカラトンボやクロスジギンヤンマは飛んでいますが,肝心のオグマサナエの姿がありません.トラフトンボが飛んでいる池はありました.


▲トラフトンボが1頭だけ飛んでいる池があったが,他には何もいなかった.▲

すぐ横の溝に,成熟したニホンカワトンボが止まっていました.こんな流れにいるなんて,ニホンカワトンボが中流域のトンボであるとはとても思えませんね.ニホンカワトンボはおそらく近くの小川から来ているのだとは思いますが,池の上でもオス同士が追いかけ合いをしていました.


▲コンクリート護岸された用水路で活動するニホンカワトンボ.▲

ということでお昼がやって来たので,オグマサナエは諦めました.また別の場所を探ってみます.神戸市内でこの時期に見つけておかないといけないトンボは,あとダビドサナエ,ムカシトンボ,ヒメクロサナエ,ヤマサナエなど,川のトンボと,ムカシヤンマ,サラサヤンマといった湿地のトンボです.これらの湿地のトンボが難しい.サラサヤンマは最近見つけたという情報をいただいているのですが,ムカシヤンマは全く無しです.よほどの幸運に出会わねばならないでしょう.

さて,お昼とはいえ,まだ少し時間的にはトンボを探せるので,ヤマサナエが羽化していた公園に行ってみることにしました.前回フタスジサナエがたくさんいたので,それもどうなっているか見てみたいと思います.フタスジサナエは激減していました.またヨツボシトンボとトラフトンボの姿がありませんでした.そしてショウジョウトンボが出現しており,なんか季節が前に進んだような印象を受けました.


▲フタスジサナエは数頭出会っただけであった.▲


▲クロイトトンボはまだまだ羽化を続けておりたくさん活動していた.▲


▲ショウジョウトンボが姿を見せていた.▲


▲ヤマサナエは成熟していて2頭のオスが流れに出ていた.▲

ヤマサナエが活動を始めていたので,少しの間メスを待ってみましたが,来ませんでした.こちらは日を改めて本気で観察する必要があるでしょう.

神戸市内のトンボ,最大80種との出会いを目指していますが,たぶんオツネントンボは逃したように思います.9日に,所用の空き時間を使って,オツネントンボを探しに過去の記録地に行ってみましたが,オツネントンボどころか,トンボはシオカラトンボ2頭ととクロイトトンボ1頭,ギンヤンマが1頭飛んでいただけでした.

現在13種と出会って写真が撮れています.

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