6月12日以来,ずっとナニワトンボの未熟個体を探しに出かけていました.例年であればアオハダトンボやヒメサナエなどを見に行く時期なのですが,それらをすべてキャンセルしてこれ一本に絞った探索を続けました.生息地の池を訪れ,枝先を見て回ります.今日は到着と同時にやっとナニワトンボを見つけましたが,なんと,もう青白い粉を吹いていました.実はこの場所は6月12日以来で,今までは別の場所へ行っていました.
▲ナニワトンボのオス.もはや粉を吹いている.▲
その後も丹念に探しましたが,ナニワトンボ自体が見つかりません.しかしリスアカネが結構たくさん止まっていました.リスアカネとナニワトンボはだいたいセットですから,これがたくさんいるということは,可能性は十分あります.しかしリスアカネも,すでに腹部が赤くなっている個体もいて,ちょっと時機を逸したかなと思ってしまいました.
▲リスアカネたちもすでに羽化をしていて,腹部が赤い個体もかなりいた.▲
1時間以上探索しても見つかるのは粉を吹いた青白いオスばかりです.6頭ほど見かけました.ダメかと思ったとき,遠くの樹間に止まる未熟個体を見つけました.
▲池に張り出した木の枝の中に止まるナニワトンボのメス.▲
しかしこれはメスです.オスの未熟な個体が見たかったのです.しばらくこの個体を見ていると,飛び立って姿を消しました.池の反対側へ行ったかもしれないと思い,移動しました.そして慎重に木の枝の先を探すと,いました.オスが,それも2頭,さらにメスが1頭も.ほぼ同じ場所に止まっていました.
▲ナニワトンボの未熟個体.上2つはオス,下がメス.▲
枝の高い位置に止まっているので,どうしても見上げたようなアングルになります.いつも思いますが,1つ見つけると,次々に目に付くようになるのが不思議です.1時間以上見つけることができなかったのに.そこで,もう一度戻りつつ,青白い粉を吹いたオスがいたあたりを丹念に探しました.すると,本当に不思議,次々と見つかります.
▲上からメス,オス,オスの未熟なナニワトンボ.▲
いずれも見上げるようなアングルですが,一番最後のだけは目の高さに止まっていました.といってもいずれも水面に延びた枝先なので,近づくことができません.ただ一番下の個体は摂食でしょうか,時々飛んで止まり直しますし,一番近い距離に止まっています.そこで,なんとかふつうの高さのアングルの写真を撮れるよう待つことにしました.オス君との我慢くらべです.そしてついにチャンスが訪れ,飛んで止まった瞬間に横を向き,写真をテイクすることができました.
▲腹部背面が黒みを帯び,粉を吹き始めようとしているのかもしれない.▲
粉を吹いている個体がすでにいることを考えると,未熟な個体を見ることができるのはとても短い間のような気がします.あと1週間もすれば,全部粉を吹いているかもしれませんね.いずれにせよ,ずっと心のどこかにくすぶり続けていたナニワトンボの未熟個体の探索,やっと答えを出すことができました.
全然別の話ですが,6月4日にキイロヤマトンボを探しに行った時に見た,コヤマトンボのように見えた個体が実はキイロヤマトンボだったことも判明し,いまのところ最近調査していないトンボの調査に成果が出ており,やっと気持ちが晴れたような気がしています.
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▲2025.6.4. キイロヤマトンボ.兵庫県北部.▲