もう梅雨が明けてしまって,今日の外気温は37℃.体温越えです.こんなに暑ければトンボたちも大変だろうなと思いつつも,元気にしているか近所の公園へ見に行ってみることにしました.幸い薄雲が多く直接の日差しはあまり強くありません.ターゲットはベニイトトンボの産卵です.
いやはやトンボたちは暑い日差しの中,元気に活動しています.特に元気なのはチョウトンボとショウジョウトンボ.強い日差しが射す公園の池の上を,なわばりを防衛しメスを獲得するために飛び回っています.メスの方も次々に産卵しに来ています.
▲産卵に来たチョウトンボのメスたち.下はオス型色のメス.▲
シオカラトンボはちょっとバテ気味で,日陰に入っています.コシアキトンボはもともと日陰が大好きなヤツですから日向には遠慮がちに出てきています.ショウジョウトンボは腹部挙上をして太陽と戦っています.
▲オスが仲良く並んで腹部を持ち上げている.ショウジョウトンボ.翅はボロボロ.▲
さて,ねらいのベニイトトンボは,日向で頑張っていました.ただ,まだ時間が早いのか,オスが単独で飛び回っているだけです.キイトトンボも含め,こういう色が派手なトンボたちは,本当に日差しをものともせず日向で活動しています.
▲オスたちは単独で水際の草に止まっている.▲
▲しばらく探すと,産卵しているカップルに出会った.▲
▲運良く,岸に近づいてきた.▲
▲やがて産卵を再開したが,手前の草が邪魔で,引っこ抜こうとしたら産卵を止めた.▲
このペアは岸近くが好きなようで助かりました.もう1ペア産卵していましたが,こちらは岸から離れるように移動していきました.ということでこの子たちに付き合うことに決めました.オスはかわいそうに翅がちょっと傷んでいますね.
▲30分ぐらい待つと,やっとオープンなところで産卵してくれた.▲
ベニイトトンボは37℃の炎天下でも元気で活動していることが分かりました.これで予定は終わりというところですが,そろそろヤブヤンマが出てくるころなので,林の中にぶら下がっていないか見に行くことにしました.暑いときは薄暗い林の中でのトンボ探しが最高です.
ヤブヤンマはぶら下がってはいませんでしたが,薄暗い池の周囲を飛んでいました.オスです.ヤンマがぶら下がりそうな周辺の木の枝をつつくように見回る仕草が観察できました.これきっとメスを探しているんですね.しばらくすると姿が見えなくなりました.どこかへ行ってしまったか,止まったのでしょう.
ほどなくすると,もう1頭ヤブヤンマが入って来ました.黄色い縞模様が見え,今度はメスのようです.少し飛ぶと池に突き出た枝に止まりました.撮影のチャンスです.近づくと飛び立ちました.するとどこかに止まっていたのですね,先ほどのオスが体当たり,メスをつかんだ状態で道ばたに置いてある枯れ枝の束の中に落ちました.そのまま動きが見られなくなりましたので近づいてみると,枝に絡まるように2頭が引っかかった状態でじっとしています.それでもオスはしっかりと交尾をしていました.
▲枯れ枝の束に引っかかった交尾態.2頭にピントが合う角度では細枝が邪魔になる(下).▲
なんとまあ,ちょうど交尾している部分が細枝に引っかかっているようです.これ下手に動くと交尾が外れそうですね.しばらく観察していると,やがて意を決したように飛び立ち,遠くの木の方へと飛び去っていきました.
以前もヤブヤンマのオスがメスを捕まえたとき,木の枝の中に落ち込んだのを見ました.その後交尾が外れたとき,メスがオスの腹部先端に噛みつきました.いやはやオスも体を張った交尾なんですね.
さてこれを見てしまったので,産卵にも来るかもしれないということで,可能性のある場所へ行ってみますと,きちんとメスが産卵にやって来ていました.当たるときは予想がすべて当たるんです.
▲産卵に来ているまだ若いメス.▲
ヤブヤンマのメスはどこで産卵しようか迷っているような飛び方をしていました.こういうときは追いかけてはダメで,じっと池の畔にしゃがんでいるのが正解です.ヤブヤンマに限らず,メスはオスに見つからないように物体の陰に隠れて産卵するのがが好きなのです.つまり私自身がその陰になる物体と化すのです.思惑通り足下に止まって産卵を始めました.こうまで計算が当たるとなんか恐ろしい感じですね.
▲本当に足下すぐで産卵しているので写真にはむしろ撮りにくい.▲
写真を撮りやすいような位置に少し体を動かすと,このメスはさっと飛び上がってしまいました.まだ若いので,敏感なのでしょう.こうなるともう近づけません.次の場所に止まっても,ちょっと動いただけでさっと産卵を止めてしまいます.やがて,オスが入ってきて追い回し,このメスは逃げていきました.
7月3日にヤブヤンマの産卵を観察したのは初めてでした.帰りにウチワヤンマのメスが池の畔で休んでいるのに出会いました.
▲ウチワヤンマのメス.▲
37℃の中,3時間ほどの観察でした.体重が1kg減りました.汗のせいでしょうね.こんな日はこの辺が限度です.