ダビドサナエはもっともふつうなサナエトンボの一つだ,という意識がありました.過去形で書いているのは,かつて私は幼虫をすくって調査をしていましたので,どこの川でも網に数多く入るからでした.しかし,私の過去の記録を見てみると,フタスジサナエなどと比べてみると,成虫があまり記録されていません.さらに最近はダビドサナエの姿を見る機会がほとんどないことが,気になっています.
そこでダビドサナエの成虫を探しに出かけることにしました.過去に記録のあるところを4ヶ所まわってきました.まず第一の場所では,ヤマサナエ,アオサナエ,ミヤマカワトンボ,ニホンカワトンボがいました.ダビドサナエは姿が見られませんでした.
▲ヤマサナエのオス.▲
▲アオサナエのオス.▲
▲ミヤマカワトンボのメス.▲
そこそこのトンボがいるのに,かつては複数いたダビドサナエがいないのは変な感じです.第二の場所はこの場所のさらに上流です.しかしシオヤトンボがいただけで,サナエトンボの姿はありませんでした.やはりダビドサナエには会えません.
第三の場所は,かつてダビドサナエの産卵を撮影した川です.しかし川にはラン藻がたくさん生えていて,なんかかつて訪れたときのような清流の感じがしません.いたトンボも,アオサナエが1頭,ミヤマカワトンボが1頭だけでした.ここはダビドサナエ,ヤマサナエ,ミヤマカワトンボ,ニホンカワトンボがたくさんいた場所です.でもダビドサナエはもちろん,今はほとんどが姿を消していました.
最後に,ダビドサナエ成虫をまだ見ていない場所を選びました.ここはヒメサナエをよく見に来る場所です.ここでやっと2頭のオスを見ることができました.
▲2頭のダビドサナエのオス.▲
この状態がふつうなのか,かつてより数が減っているのか,まだはっきりとしません.ただ,以前は見ようと思えば成虫を見つけることはそれほど難しくないトンボでした.最近普通種と思っていたトンボがいつのまにか数が減っているということがあります.ノシメトンボなどはそのよい例です.ダビドサナエ,今後もちょっと注意してみていく必要がありそうです.