No. 978. ヒメサナエとオジロサナエ.2024.7.21.

いつものところへ行って,いつものトンボがいるのを確認して,そして安心して帰る,という観察が年に何回かあります.このヒメサナエとオジロサナエの観察もその一つです.この場所は工事によって一時崩壊するのではないかという恐れがありましたが,工事が終わって3年,どうやら生き延びたようです.工事終了後の原状復帰もすばらしく,ほとんど昔と変わらない状態です.

さてこの時期,産卵活動に的を絞った場合,ヒメサナエには少し遅くオジロサナエには若干早いという微妙な時期です.まずオジロサナエ.川にも出てきており,オスとしては繁殖活動期に入っているといってもよい状態でした.


▲産卵場所の環境でメスを待つオス.▲

オス同士のバトルも繰り広げられ,久しぶりにオジロサナエの活動を楽しみました.しかし草むらにたむろしているオスもいて,これからという感じもしました.


▲草むらにたむろするオジロサナエのオス.▲


▲これはたむろしているのではなく流畔のシダ植物の止まっている.▲

結局オジロサナエについては産卵活動を見ることはできませんでした.オスはそこそこいたので,時機が到来すれば結構産卵活動も盛んになるのではないでしょうか.オジロサナエについてはやはり早朝をねらわないといけないかもしれません.

一方ヒメサナエについては,流れに出ているオスの数が非常に少なかったように感じました.


▲暑い日差しの中で頑張るヒメサナエのオス.外気温37℃!.▲


▲ヒメサナエのオス.ときどき日陰にも降りてくることがあった.▲

ヒメサナエの数が減っているというより,やはり時期がちょっと遅いのだと感じました.というのは,オスの数に比して,今日はメスに結構よく出会いました.まず流れに沿った道を歩いていると,川からヒメサナエのメスが飛び出してきました.


▲流れから飛び出してきて葉に止まったヒメサナエのメス.▲

また観察地に着いたとき,メスが流れに降りてきました.このメスは産卵せずに飛び去りました.私の接近がよくなかったかもしれません.


▲観察ポイントに降りてきたヒメサナエのメス.▲

そして,産卵にはのべ3回現れました.面白いことに私が腰を下ろしている真ん前に産卵に来たのです.それも2回も.私がオスに見つからないような遮蔽物に見えたのかもしれません.長時間腰掛けていると石に見えるのかも.


▲目の前に降りてきて産卵を始めた1回目のメス.座ったままカメラを向けた.▲


▲ヒメサナエの擬瞳孔が面白く,こちらを横目で見ているみたいだ.▲

あと1回の産卵は,水面上を激しく移動して連続打水するような産卵で,ホバリングして間欠打水する,写真のような産卵とは異なるものでした.

オスの方は,何度か川面に降りてきたものの,粘り強くメスを待つ個体はいませんでした.一方,草むらでは何頭か見かけました.


▲流れに出ず草むらで過ごすヒメサナエのオス.▲

という感じで,感触としては,時期と時間を選べば,ここで楽しい観察が出来るかもしれないという感触を得ました.

ここへ行く途中,アカトンボの未熟個体を2頭見ました.一つはミヤマアカネのオス,もう一つはナツアカネです.ナツアカネの未熟な個体は,成熟個体の多さと比べてあまり見かけることがないので,こんなところに一人でぽつんといるんですね.


▲ミヤマアカネの未熟なオス.▲


▲ナツアカネの未熟なオス.▲

ということで,今日は2時間ほどで観察を終えました.なにしろ外気温37℃の危険な暑さでしたから.

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今年初めて出会ったトンボたち.
No. 50. オジロサナエ,オス.
No. 51. ヒメサナエ,オス・メス・産卵
No. 52. ナツアカネ,未熟オス.
No. 53. ミヤマアカネ,未熟オス.

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