No, 973. キイロサナエなどの確認調査.2024.7.3.

沖縄県から帰ってきたら,地元は梅雨真っ盛りでした.今日久しぶりに晴れたので,6月に確認しなければならないトンボを見に行くことにしました.今日は現況調査で,確認できたら次に行くという流れの予定です.しかしちょっと異変を感じましたので,後ほどお話しします.

まずは一番のねらいはキイロサナエです,7月に入ると一気に数を減らすトンボですから,7月に入りたての今の時期は,出会うにはもう最後のチャンスです.


▲いつも通りの場所にキイロサナエのオスたちが止まっていた.▲

キイロサナエとくれば,同時期に確認しなければならないトンボに,モートンイトトンボがいます.そこで,例年モートンイトトンボのたくさんいる休耕湿地へ行ってみました.雨が降り続いてせいか水は多かったですが,モートンイトトンボが全く見当たりません.いつもなら飛んでいるハラビロトンボもほとんど姿を見せません.ここは大きな個体群でしたので,たとえ時期が少し遅くなっても,少数は生き残っているものです.それが1頭も見当たらない.キイトトンボが時折飛ぶだけです.

そこで別の場所へ行ってみることにしました.しかしそこにも全く姿がありませんでした.ハッチョウトンボが活動しているだけでした.これは後でまとめます.

まあ仕方がないので,今度は今が出現初期のヒヌマイトトンボの確認に行くことにしました.ところが,ヒヌマイトトンボが全く見当たりません.一緒に生活しているアジアイトトンボもいない.オオシオカラトンボが1頭だけ,行ったり来たりしているだけでした.

モートンイトトンボ,ヒヌマイトトンボ,全く姿を見ることがなく終わりました.イトトンボ類は,クロイトトンボとキイトトンボがいくつか飛んでいただけでした.ホソミオツネントンボはまだ生き残っている個体がいたのに....とにかくイトトンボの姿が少ないのです.


▲イトトンボ類の姿が少ないのに,ホソミオツネントンボはまだ元気だった.▲

まだデータで証明できるほどではありませんが,印象として,今年はトンボの消長,特に没姿が早く一斉に起きている感じがします.今回のモートンイトトンボの未確認は,発生したが没姿してしまったのか,出現しなかったのかは確認できません.後者であればいやな感じがします.

イトトンボ類は,池の表面などに伸びている沈水植物や浮かんでいる藻などにつかまって生活しています.水面付近は直射日光を受け高温になりやすい環境です.適度な高温は成長を早めますが,暑すぎると溶存酸素も減り,高温の影響で幼虫が死滅することも考えられます.トンボ減少に薬剤の影響が言われていますが,高温が続く春から夏にかけてのトンボ幼虫に対する影響は,かなり大きくなってきているような予感がします.

さて,それ以外の不均翅類は季節交代が進みつつあります.まずまだヤマサナエが生き残っていました.


▲ヤマサナエのメス.産卵弁を確認したので間違いない.▲

ウチワヤンマが,久しぶりに流れでなわばりを張っているのを見ました.ここの観察場所はかつてに比べるとウチワヤンマが減少しました.


▲小川でなわばり活動を展開するウチワヤンマ.▲

アキアカネの未熟個体が,あちこちの草むらで見られました.多分水田や休耕湿地で羽化したものと思います.こちらはきちんと羽化しているんですね.


▲羽化直後と思われるアキアカネが水辺に止まっていた.▲

チョウトンボが活動を開始していました.これからしばらくはチョウトンボがたくさん舞う池の風景が楽しめそうです.


▲いよいよ夏の季節の到来だ.チョウトンボが舞い始めた.▲

さて,今日は兵庫県の日本海側は35℃の猛暑日の予報です.11:00過ぎには,日向ではすでに35℃になっていました.私は暑さには強いと思っていましたが,今日初めて熱中症になりかけた自分を感じました.立ちくらみがひどく歩けないほどになりましたし,ほんのちょっと歩いても呼吸がすぐに速くなり息苦しくなりました.また汗も大量にかきました.そんな中,ハッチョウトンボの撮影に集中していました.


▲ハッチョウトンボの交尾と交尾後の静止.▲

ハッチョウトンボは交尾が終わってもすぐには産卵を始めず,メスにしばらく静止する時間があります.オスはその間じっと近くに止まってメスの産卵開始を待ちます.メスが飛び立って産卵を始めると,近くに寄り添って警護します.他のオスが来るとメスから離れてでもそのオスを追い払います.


▲産卵するメスを警護する交尾オス.▲

ハッチョウトンボのメスは,産卵を中断してよく止まります.理由は分かりません.


▲何回か打水すると,すぐに止まるメス.▲

そんなメスと付き合いながら写真記録をとり続けました.しかし中腰になると呼吸が速くなりとても苦しくなります.これはだめだと感じながら,早く産卵が終わってくれと願っていました.写真を撮りに来てこんな思いをするのは初めてでした.


▲産卵を続けるハッチョウトンボのメス.▲

やっとのことで産卵が終わると,私は日陰に入り休息.しかし呼吸が普通になったと思っても歩き始めると立ちくらみ,呼吸速度の上昇が襲ってきます.少しずつ移動し,やっと車に戻りました.その後,大量の水分補給と,アイスクリームを食べて体内から体を冷やしました.車のクーラーも十分効かせて体表面も冷やしましたら,やっと元の状態に戻りました.夜,肉をむしゃむしゃ食べたら元気が復活したようです.皆さんも熱中症にご注意ください.

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今日今季初めて出会ったトンボ
No. 42. チョウトンボ.オス.
No. 43. キイロサナエ.オス.
No. 44. アキアカネ.オス.
・このまま行ったらモートンイトトンボを見ずに終わるかもしれない.
・グンバイトンボも時期が終わりそうだ.

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