No. 949. コサナエ属羽化本格化.2024.4.13.

昨日はよく晴れましたが所用があって観察休止.今日は薄曇り的でした.昨日羽化した名残と今日の羽化個体を探しに出かけました.いつもの池の水辺をのぞいてみましたら,いくつかの羽化殻が付いていました.持ち帰って確認しました.


▲今日持ち帰った羽化殻は3種類.兵庫県南部のコサナエ属全部いました.▲

タベサナエは腹部第10節が短く,おまけに背棘がありますので間違えることはありません.しかしフタスジサナエとオグマサナエは,現場で見ただけではどうしても迷いが生じます.でも上のように複数採集して並べてみると,違いが見えてきます.オグマサナエは一回り大きいです.そして腹部第10節の幅に対する長さの比が違っていて,オグマサナエの方が大きく(細長く)なっています.

それでもなお,※印の個体はオグマサナエとフタスジサナエの中間的なサイズであり,腹部第10節の幅に対する長さの比がそれほど大きくない(細長くない)ように見えます.こういうのが判別困難な個体です.上の写真で右上の羽化殻は,以下で紹介する羽化観察したオグマサナエの羽化殻で,間違いなくオグマサナエです.そこで,羽化殻を裏向けてこの確実な羽化確認個体と※個体,およびフタスジサナエを比較してみました.裏向けて比較するときは,腹部第10節だけでなく腹部第9節も見た方がいいのです.

すると,※個体とオグマサナエの羽化確認個体にはほとんど違いがありませんが,フタスジサナエの方は,腹部第10節の長さも明らかに短いし,腹部第9節の最大幅に対する長さの比が明らかに小さく,長さが短く見えます.これで※個体がオグマサナエであることが確認できました.

いずれにしても,図鑑や当サイトなどで記述している区別点には,結構変異があることがこの例で分かります.確実な羽化殻の標本を手元においておくことが大切ですね.さて話を戻しましょう.


▲オグマサナエの羽化殻(上)とタベサナエの羽化殻(下)

水辺に結構羽化殻が付いており,オグマサナエが6個程度,フタスジサナエが1,2個,タベサナエは,別の池ですが,10個以上見られました.これらは昨日と今日で羽化したものと思われます.こんな感じで羽化殻を探しているとき,1頭のオグマサナエのオスが羽化途中なのを見つけました.


▲オグマサナエオスの羽化.▲

すでに何度か述べたように,羽化途中のオグマサナエとフタスジサナエの区別が難しいので,慎重に写真を検討しました.複眼背面が灰色をしていること,そしてなにより尾部上付属器の突起がはっきりと写っており,この写真の個体はオグマサナエで間違いありません.


▲上の羽化写真個体の尾部上付属器上の突起.オグマサナエであることが分かる.▲

さらに処女飛行に飛び立った個体を4頭見ました.タベサナエとオグマサナエ,あと2頭は不明です.


▲処女飛行に飛び立ち草地に止まったタベサナエのオス.▲

あと草地をうろついて,昨日以前に羽化した未熟個体を探してみました.1頭陽だまりに止まっていた未熟個体を見つけました.オグマサナエでした.


▲草地を飛び回る未熟なオグマサナエ.▲

いよいよコサナエ属も動き始めました.本格的な春のトンボシーズンの始まりです.あと数日もすれば,たくさんのコサナエ属トンボがひらひらと飛ぶようになるでしょう.それにしてもオスばかりが見つかります.やはり雄性先熟なのでしょうね.一度どこかで羽化の時期と性比を調べて確認する必要があるようです.

あとホソミイトトンボ,シオヤトンボを見つけないといけません.

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No.05. フタスジサナエ,羽化殻

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